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「組織のネコ」が大集結!予算0円・即日満席の自走型イベントで“ネコ”は何を語るのか?~組織のネコカンファレンス vol 0.1 組織での働き方を問う レポート~

楽天大学学長の仲山進也さん(通称:がくちょ)の著書『「組織のネコ」という働き方 「組織のイヌ」に違和感がある人のための、成果を出し続けるヒント』によれば、組織で働く人は、組織に忠実な「イヌ」、自分に忠実な「ネコ」、ネコの進化系である「トラ」、群れを統率する「ライオン」の4種類の動物に例えられる。そして、本来「ネコ」な人が「イヌ」のように働くとしんどくなるので、まずは「イヌの皮をかぶったネコ」は皮を脱いでネコを目指すことを提案しています。このたび、この書籍に共感した「ネコ」や「トラ」たち80人が「組織のネコカンファレンス」と題して集結しました。自由な場で生き生きとするネコたちは、いったいどんな時間を過ごしたのでしょうか。(文/永井公成、写真/株式会社UNISON HYBRID 代表取締役 西舘聖哉氏、永井公成、平井征輝)

組織のネコイベントのこれまで

QUMZINE編集部は、「組織のネコ」が集まるイベントが、2023年8月22日にコクヨの運営する働き方の実験場「THE CAMPUS」内イベントホール「CORE」で行われるとの情報を入手しました。

「組織のネコ」たちが企画するイベントということもあって、いったいどんな内容になるのか、はっきりした情報はわかりませんが、とにかく行ってみましょう。

品川駅港南口近く、THE CAMPUSの中にある「CORE」はコクヨのオフィスの敷地内にあるイベントホール。新しくて緑もあってとってもおしゃれです。調べてみると、昨年できたばかりのよう。

仕事を終えた「組織のネコ」たちが徐々に集まり、午後7時になりました。『組織のネコ カンファレンスVol.0.1 〜組織での働き方を問う』が始まります。「Vol.0.1」というのがもう謎です。


まず登壇したのは今回のイベントのきっかけである『「組織のネコ」という働き方 』の著者であり、”がくちょ”として知られる楽天大学学長の仲山進也さんと進行役の辻貴之さん。『組織のネコ』に関連するイベントが生まれた経緯について話し始めました。

もともと2022年2月22日(スーパーネコの日)の3日前、辻さんから仲山さんに「今、デパ地下にいるんですけど・・・」とメッセージが送られてきたことから始まったそうです。

辻さんは、デパ地下でネコの形をしたロールケーキが2月22日発売という告知を見かけたそうで、「ビジネスギョーカイでネコといえば、『組織のネコ』だ」と思い、「がくちょは何かネコの日にちなんだイベントをやったりしますか?」と連絡したとのこと。

仲山さんは「今のところ、何も考えていませんが、一緒にやります?」と返信。これをきっかけに、『組織のネコナイト』というオンラインイベントが2022年2月22日(スーパーネコの日)に開催されることとなりました。時間は20:00から22:22までの2時間22分。開催3日前に決まったイベントにもかかわらず、60人もの参加者が集まりました。

それが好評につき「あと3回くらい続けてみましょうか」と毎月「ネコの日」である22日に開催することに。毎回参加者が10名ほど集まり続けたため継続することになり、かれこれもう1年半以上続いているそうです。

ちなみに、3〜4か月目くらいに参加者が改めて一人ずつ自己紹介をしたところ、メンバー全員が「何をしているのか簡単には伝えられない」ことから、10人が自己紹介しただけで2時間22分が終わってしまったそうです。

その後、2023年2月22日に1周年を迎えるタイミングでコロナ禍が収束してきたことから、遂に初のリアルイベントを実施。オンラインではすでに何回も顔を合わせているけど、リアル初対面ということで、とても盛り上がったといいます。その勢いで、「皆で何かイベントをやってみましょうか」という流れになり、今回の『組織のネコカンファレンス』の開催へと繋がりました。

今回のカンファレンスは、告知して即日、定員の80名に達してしまったといいます。しかも、企画メンバーみんながそれぞれ自分の強みを発揮して運営にかかわり、イベント費用0円で開催されたのだとか。

企画のブレスト中に、サイトつくる強みを持っている人が「粗いけどサイトつくっちゃったよ」と言い、事務局的強みを持っている人が「事務局やります」と言い、Peatixの中の人が「わたし受付やります」と言い、コクヨの中の人が「うちの会場、使えますよ」と言い、司会的強みを持っている人が「司会やります」と言い、カメラ的強みを持っている人が「撮影します」と言い、おにぎり的強みを持っている人が「おにぎりにぎります」と言い、接客的強みを持っている人が「受付、手伝います」と言い、コンテンツ的強みを持っている人が「やること考えます」と言い、トラ的強みを持っている人が「なんでもやるよ」と言って分科会を担当してくれた結果、予算0円で、本格的で楽しいカンファレンスが成立してしまったといいます。

ちなみに、会場を手配したコクヨの城間健市郎さんは「いす-1グランプリ」の運営協力もしているそうです!「いすー1グランプリ」とは、商店街や公道、競馬場のパドックなどを椅子で走るという競技で、日本各地で大会が行われているそう。普段人が集まらない場所に人が集まることで、関係人口を増やす取り組みになっているとのこと。

会場にはコクヨのチェアが配置されている中、城間さんによると、「通常のチェアには前後に揺れるメカが入っているのですが、「ing」というチェアには横に揺れるメカも入っていて360度揺れることができ、バランスボールに乗っているような座り心地」だそうです。その結果、座っているだけでも運動になり、8時間普通に仕事をしているだけでおにぎり1個分のカロリーが消費でき、インナーマッスルが鍛えられるとのことです。参加者からは実際に座ってみて「これ、ほしい!」という声が聞かれました。

「おにぎり的強み」を発揮したのは、佐賀県で「おにぎり神谷」を開いている神谷よしえさん。「おにぎりを握る場所があればどこへでも飛んでいく」とのことで、このイベントのために自宅のある福岡から炊飯器を下げて来場されました。イベント中、4回に分けてご飯が炊け、多くの参加者が並んで「おいしい!」と言いながら、大分県産のかぼすを絞ったおにぎりをほおばっていました。

トラリーマンと語らおう

今回のメインイベントは、「オープン・スペース・テクノロジー」をアレンジした進行。分科会形式で、事前にトークテーマのオーナーを決め、参加者は自分の好きなテーマの分科会に移動します。

仲山さんによれば、当初は自由な動き方を好む「ネコな人」の集まりなため、イベントの2時間全てを「自由」とすることも考えたそうなのですが、「意外と人見知りを発動する人もいそう」とのことで、テーマごとに分かれる座談会形式にしたとのことです。かつてオンラインで実施していたイベントでも同様なことをされていたそう。

今回は『組織のネコ』の書籍でトラリーマン(社命よりも自分の意志や使命を優先する「トラ」のような働き方をする会社員・公務員)として紹介されていた人たちの多くが集結できたため、トラリーマンが分科会オーナーになることに。なお、座談会のルールとして、「ハチ」という分科会を自由に行き来する行動や、「チョウ」というどの分科会にも参加しない行動も推奨されています。

分科会に先立ち、オーナーとしてトラリーマンの皆さんが壇上でテーマを発表しました。

  • 我堂佳世さん「ネコからトラになるには?」

  • 戸村朝子さん「組織のネコの生き方を語ろう【大企業編】」

  • 流郷綾乃さん「組織のネコの生き方を語ろう【中小企業・スタートアップ編】」

  • 伊禮真さん「副業という天国を知っていますか?」

  • 倉貫義人さん「ネコがマネジメントをするとは?」

  • 都竹淳也さん「最近オモシロいと思ったことは?」

  • 竹林一さん「ネコとイヌのコミュニケーションのあり方とは?」

  • 島原万丈さん「好きなことを仕事にするには?」

  • 倉成英俊さん・渡辺裕子さん「組織のネコが独立するとは?」

どの人の話も聞きたくなるくらい魅力的なものばかりです。

トラの皆さんは『組織のネコ』の書籍に「組織にいながら自由に働く事例」として登場した人ばかり。具体的にどのような方々なのか、またどのようなレベルで「トラ」なのかについては、ぜひ書籍をご確認ください!

テーマの紹介の後、実際に分かれて座談会開始です。傍から見ていると、なかなか他では聞くことのできない濃厚な話が展開されていました。

「トラリーマン」の名付け親である藤野英人さんは、道に迷ったとのことで第1ターンの途中から合流。すんなり場に溶け込んでいました。

分科会は、第1ターン終了後、予定では別テーマに移動して第2ターンが行われるはずでしたが、参加者全員が思い思いに話したい人と話したいことを話す自由すぎる展開になっていました。

がくちょはおにぎりタイムです。

ネコたち全員集合!

最後に参加者みんなで集合写真を撮影。

飛騨市長である都竹淳也さんから「またこんなイベントを飛騨でやりましょう!」という声も出たところでお開きになりました。

『組織のネコ』という本に共感した人同士のコミュニティが自然発生的に出来上がり、有志が自らの強みを活かすことで、開催費用0円で80人もの人が参加するイベントが行われたのは、かなり興味深い出来事です。今回のイベントをきっかけに毎月22日に行われているオンラインのコミュニティもさらに活性化されるでしょう。

…あ、そうそう。実は今回参加された方の中には、以前QUMZINEで取材させていただいた方が何人もいたんです。ぜひこちらの記事もよろしくお願いいたします!

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