1年間の学びが実を結ぶ!常石グループの「新規事業人材育成プログラム」成果発表会“Demoday”レポート
1年がかりの研修
株式会社フィラメントがサポートする常石グループの「新規事業人材育成プログラム」は、今年で2年目を迎えました。昨年の“1期目”から、QUMZINEを通じてその取り組みの様子をお伝えしています。
今回は、2期目の参加者が研修プログラムの集大成として事業アイデアを発表するピッチイベント“Demoday”の様子をご紹介します。
イベントの冒頭では、フィラメント代表取締役CEOの角勝が登壇し、約1年にわたる研修プログラムの歩みを振り返りました。本プログラムを通じて参加者が培ったスキルや成長する姿を具体例を交えながら紹介し、参加したメンバーの努力と成果を称賛しました。
この1年間でどのような活動が行われたのかを簡単に振り返ります。
プログラムのスタート:プレイベントとキックオフ
■1月:外部講師を招いたプレイベント
2024年1月、福山でのプレイベントからプログラムが始動しました。このプレイベントでは、シャープで新規事業部門をリードし、新たなデジタル端末“ロボホン”を開発した景井美帆氏や、ベストセラー『1分で話せ』の著者である伊藤羊一氏を講師に招き、講演とワークショップを実施。参加者たちは貴重な知見や事例を通じて、新規事業創出の基礎を学びました。
■2月:「Biz Builder」での体験型研修
続く2月には、プレイベント第2弾として、フィラメントが開発したビジネスボードゲーム「Biz Builder」を用いた研修が行われました。この研修では、新規事業創出のプロセスやその魅力をゲームを通じて疑似体験しました。グループ社員向けのオープンイベントとして開催され、多くの参加者が新たな視点やアイデアを得たほか、グループ横断での社員交流の機会としても盛り上がりました。
■3月:いよいよ本格始動、キックオフ研修
そして3月にはツネイシホールディングス本社(広島県福山市)での2日間にわたるキックオフ研修を実施。常石商事、ツネイシカムテックス、ツネイシホールディングスの3社から選ばれた精鋭メンバーが3つのチームを結成しました。チームごとに新規事業創出の専門家をメンターとして迎え、研修プログラムを進めるためのビジネス基礎知識とマインドセットを習得しました。
プログラム中盤:学びを行動に変える取り組み
■4月:リサーチとインタビューを重ねる
4月にはリサーチと顧客インタビューのフェーズに進行。参加者たちはオンライン講座で得た知識を活かし、提出課題に取り組みました。実際に対象顧客へのインタビューを行いながら、課題を深く掘り下げ、事業アイデアの実現可能性を検討しました。
■5月:初のオフサイト研修
座学だけでなく実地研修も積極的に取り入れました。5月には神戸や大阪を訪れるオフサイト研修を実施。起業家や他社の新規事業の実践者から直接話を聞く機会を通じ、事業創出に対する価値観の変化や、既存の枠にとらわれないアイデアを生み出すきっかけとなりました。
■7月:中間発表「事業アイデア明確化ワークショップ」
7月にはプログラム前半の成果を中間発表する2日間の「事業アイデア明確化ワークショップ」が開催されました。ここで参加者たちは、自らの事業アイデアをプレスリリース形式で言語化し、チームごとに発表してメンターや自社の経営層との質疑応答を行いました。このプロセスを通じて、アイデアをより具体化し発展させる視点や手法を身につけることができました。
プログラム後半:成果を形にする取り組み
■8月~9月:ピッチ資料作成とメンタリング
プログラム後半は、メンタリングを中心としたビジネスプランのさらなるブラッシュアップと、ピッチ(事業提案のためのプレゼンテーション)資料の準備を進行。講義ではピッチ資料作成の方法や、新規事業のよくある失敗について学びました。
さらに、9月には大阪でのオフサイト研修を実施。1泊2日のプログラムでは、社外交流イベントとして医療・介護用品を製造販売する企業を訪問したほか、近畿大学の学生起業家と“ピッチ合戦”を通じた交流を行い、未来志向の議論を展開しました。
企業訪問では、新規事業を推進するキーパーソンの実践例や経験談から刺激を受け、参加者の思考に変化が見られました。「既存事業だけでは未来を守れない」「仮説は現場で崩れる。動いて生の情報を掴むことが鍵だ」といった気づきが生まれ、深い学びの機会となりました。
近畿大学「KINCUBA Basecamp」で開催されたピッチセッション「未来ビジョン交流会」では、学生起業家と常石グループの社員が互いの事業アイデアを発表し磨き合う、革新的なピッチセッションが行われました。
2日目は、近畿大学でのピッチセッションのフィードバックを受けて、トータル8時間におよぶ共創メンターとのメンタリングを通じた集中ブラッシュアップワークを実施しました。
■10月~11月:最終準備とオンライン練習
10月には東京でオフサイト研修を実施し、他社の社内ビジコン経験者や新規事業担当者と合同ワークショップを行い、ピッチ内容をさらに磨き上げました。新規事業の“先輩”である社内ビジコンを経験された方々から、顧客理解や事業提案の工夫、チームでの進め方、失敗からの学びについてリアルな体験談を伺い、客観的な視点で新たな気づきを得る貴重な機会となりました。また、新規事業創出への熱い志を共有する異業種の方々との交流を通じ、「自分たちの事業アイデアを実現したい」という意思を強くしました。
2日目はその学びをもとに共創メンターとの集中メンタリングを実施。最終発表に向けてのラストスパートに突入しました。
11月には最終発表を目前に控え、オンラインピッチ練習会を実施。各チームは統括メンターからのフィードバックを受け、最終調整に臨みました。
コメンテーター紹介
続いて、今回のDemodayでフィードバックコメントを行うコメンテーター4人の紹介がありました。コメンテーターはツネイシカムテックス 取締役の端崎 知史氏、常石商事 事業開発本部 事業投資部部長の鯉江 洋輔氏、常石商事 代表取締役副社長の津幡靖久氏、そしてフィラメント代表取締役CEOの角勝です。
ピッチ発表
いよいよ本日のメインイベントである事業提案の発表です。
最初に発表したチームは「つかむテックス」。ツネイシカムテックスの松尾慎伍さん、宮﨑令奈さん、松村章義さんによるチームです。
このチームが発表したのは、安心・安全な現場環境を提供するためのソリューションです。活発なリサーチ活動のなかで、パートナー候補となる企業をすでに見つけており、ヒヤリング先から「サービスの開発にぜひ協力させてください」「楽しみにしています」と期待をかけていただいています。事業の成長フェーズによってビジネスモデルを変え、事業アイデアの発展性についても検討を重ねました。明瞭な口調で聴きやすいプレゼンが印象的でした。
質疑応答では、「よくここまで事業提案を磨き上げてくれた。事業性をさらに見極めて、実現に向けて検討を続けてほしい。このような新しい取り組みは貴重な経験の場でもあり、他の社員も巻き込んで進めていこう」とのコメントをいただきました。
次に発表したチームは「BNG48-神7」。常石商事の橘高啓介さん、池田寛子さん、ツネイシホールディングスの堤大地さんによるチームです。
このチームは、地方で働く人材に都市部と比較して成長機会が少ない現状を課題として捉え、その解決を図るソリューションを提案しました。地元である福山地域のリサーチでの現状を分析し、想定顧客の実利と楽しみの両方を満たすアイデアを考えました。身近なところから事業を展開し、サービス提供先の職種や地域を広げることでさらなる展開を目指します。常石グループの価値観である「地域、社会と共に歩む」を意識した提案でした。
質疑応答では、チームが提案した内容について「何度もピボット(事業アイデアを変更)したにもかかわらず、ラストスパートでここまで提案を磨いたことに感動している」といったコメントや、このアイデアをさらに良くするにはどうするべきなのか、そのためには何が必要なのかについての助言がありました。
最後に発表したチームは「モビサーチ」。ツネイシホールディングスの齋藤爽夏さん、常石商事の内田康博さん、王亜冉さん、原田知徳さんによるチームです。
このチームは、地方での暮らしに欠かせない自動車を購入する際に、車に詳しくない人でも納得の一台を選び購入できるようにするサービスを提案しました。想定顧客にしっかりとインタビューを行って情報を整理し、顧客もディーラーも同時に課題を解決できるソリューションを構築しました。事業の成長フェーズによってサービスの内容も拡大し、顧客にとって当該サービスの存在感が高まる発展を目指します。
質疑応答でのマネタイズについての質問に、顧客の状況に応じた収益化の方法をすでに検討しており、実証に向けて準備していく考えを伝えました。
講評
3チームによるピッチのあと、コメンテーター2名による講評をいただきました。まずはツネイシカムテックス取締役の端崎 知史氏が講評を述べました。
続いて、常石商事 事業開発本部 事業投資部部長の鯉江 洋輔氏が講評を述べました。
個人の学びの振り返り
ピッチの終了後には、参加したメンバー10名がそれぞれ自身の言葉でこの1年間を振り返りました。本業に加え、普段の業務とは異なる様々なワークに参加し、決まった正解のない課題を見つけ解決に取り組むことは簡単なことではありませんでした。しかし、参加者からは「新規事業は不確かなことが多くて、当初はどっちの方向に進んでいいかもわからない状態だったが、メンターさんが少し先を照らして伴走してくださったことで、その状況を少しずつ楽しめるようになった」などの発言があり、研修を通じて事業創出に必要なスキルだけでなくマインドも身についたことを実感していました。
総評
最後に、総評を行いました。
まずは、常石商事 代表取締役副社長の津幡靖久氏の総評です。
最後に、フィラメント代表取締役CEO角勝が総評を述べました。
【関連記事】
QUMZINEを運営するフィラメントの公式ホームページでは、新規事業の事例やノウハウを紹介しています。ぜひご覧ください!