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「そうだ 元公務員の社長に聞いてみよう。」 ~自治体DXに立ちはだかる3つの壁と6つの理由~

“そうだ 元公務員の社長に聞いてみよう。”

DX(デジタルトランスフォーメーション)の必要性が叫ばれる昨今。民間企業と同様に、自治体においてもデジタル技術やデータを活用した住民の利便性向上、職員の業務効率化といったDXが推進されています。

2021年9月1日には、日本の新たな行政機関として「デジタル庁」が発足しました。目的は “デジタル社会形成の司令塔として、未来志向のDXを大胆に推進し、デジタル時代の官民のインフラを今後5年で一気呵成に作り上げる” こと。

その実現には、国、自治体、民間事業者、そして生活者を含めたあらゆるステークホルダーとの連携が不可欠です。中でも住民にもっともみじかな行政サービスを担う自治体の役割はとくに重要であり、自治体DXの推進がデジタル社会形成全体に与えるインパクトは極めて大きいと言えます。

一方で、まだ多くの民間事業者や住民は自治体のデジタル化に対して遅れを感じているのではないでしょうか。

「いつになったらペーパーレス化されるの?」

「最新のシステムを導入すれば今よりも業務効率化できるのでは?」

「もっと使いやすいUX、UIのサービスを提供して欲しい」

たしかに、自治体のDXがスピード感をもって進まない状況を見ていると正直ヤキモキしますよね。ましてや民間では普通にできていることがなぜ当たり前にできないのか?と疑問に思うことばかり。

でも待てよ…
これはもしかしたら私たち民間人には到底想像もつかないような自治体ならでは特別な理由や裏事情があるのではないか?と考えました。

そうだ 元公務員の社長に聞いてみよう。”

実は、この「QUMZINE」というメディアを運営する株式会社フィラメントは、公務員出身(元大阪市職員)角勝が創業した会社です。

フィラメントCEO 角勝(すみ・まさる)

まさかこんなみじかなところにライトパーソンがいるとは。自治体ならではのロジックは、元・自治体の「中の人」に聞いてみるのが一番手っ取り早いし間違いない!ということで、さっそく社長の角に聞いてみることにしました。

そして今回は、そこから見えてきた「自治体DXに立ちはだかる3つの壁と6つの理由」についてご紹介します。

自治体DXに立ちはだかる3つの壁と6つの理由

まず角は、自治体DXを阻む「3つの壁」があると言います。

1つ目は「制度の壁
2つ目は「予算の壁
そして、3つ目は「意識の壁

制度の壁」「予算の壁」「意識の壁
それら「3つの壁」をさらに細かくブレイクダウンすると、「6つの理由」が導き出されます。

理由①:職員が仕組みを変えるースイッチングコストを支払うことにインセンティブがない

3年程度の人事異動でローテーションするので、変えた方が良いことであっても任期を“やりすごすインセンティブ”に流されがち。結果、法律の改正等によって先送りにできなくなった担当者は否応なく取り組むが必要ある。いずれにせよ、行政組織では強制的な締め切りをつくらなければ物事は進みにくいのが事実。

理由②:税金の使い道はほぼ全て決まっているので新たなことにかける予算の捻出がほぼ無理

自治体はどこも本当にお金がない。社会保障費が増えるにつれて、財政の硬直化も進む一方。自由に使えるお金はどんどん少なくなっている中で、そこに既に構築した基幹システムのリプレース費用等が加われば、新たな取組みができる余地はごくわずか。

理由③:自治体の仕事のほとんどは法令で決まっているので新たなことをしようという発想が希薄

行政の仕事のほとんどは法律でやることが決まっている。裁量の余地がそもそも限定されている中での構造的な問題として自主的な発想・自由な発想が育みにくい面はあると思う。

理由④:自治体のお客さんは「全ての市民」であるため、全ての市民が常識的に使えるツールが優先

紙とペンで申請書が書けるならそれで十分。むしろタブレットを導入することで機能の重複や余計な管理コストといった無駄が発生するのであれば、導入はしないという合理的な考え方。似たような話に「停電したら使えなくなるなら、それは使い物にならない」という例えがある。

理由⑤:「使いやすさ」に対する諦めが蔓延している

苦役の対価として給料をもらっているという発想があらゆるものに援用されがち。市民にこの考え方が援用されると受益者負担「利益を受けるものは対価を払うのがあたりまえ」という考え方になる。よって「行政サービスを受けるためには市役所まで出向いて行かなければならない不便もやむを得ないこと」だし「給付金を受給するためには申請書を書かなければならないのもやむを得ないこと」となってしまう。なのでデジタル化により誰も面倒なことをしなくてもよい状態というのが良いとは思えないのかも。

理由⑥:業務量が減ったらその部署の人が減らされるから

人が減らされることは、組織内でのその部署の相対的なパワーの減衰・発言力の低下につながりかねないため、当然誰もそれは望まない。一方で公務員にクビはないので、減らされた人員は別の部署へと異動するのみ。つまり見方によっては業務削減努力をしていない部署ほど得をする構造とも言える。

「制度の壁」「予算の壁」「意識の壁」

そうなんです。実は自治体DXがなかなか進まないのは、決して自治体の「中の人」がデジタルに疎いからとか、ITリテラシーが低いからといったテクノロジーに紐づいた単純な理由ではなかったのです。

さらにこの話を受託側として自治体DXに関わる民間事業者(ITベンダーやシステム導入企業)に置き換えて考えてみましょう。おそらく「3つの壁」「6つの理由」といった自治体独自のロジックを理解した上で、緻密にストーリーや理屈を構築し提案を持ち込まなければ、営業チャネルとしての自治体攻略は極めて難しいと言えます。

では、どうすれば「3つの壁」を攻略し、乗り越えることができるのでしょうか?

「3つの壁」攻略のヒントが見つかるイベント

自治体DXを阻む「3つの壁」を攻略するためのヒントが見つかるオンラインイベントが、2月21日(月)16:00より開催されます。

自治体DXに立ちはだかる3つの壁を超えてゆけ!(地域DX推進ミートアップ #04)

主催はヤフーのオープンコラボレーションハブ「LODGE」。
シリーズ4回目を迎えるこのイベントには、公務員から起業家に転身した二人の元・自治体の「中の人」が登壇します。

登壇者お一人目は、札幌市の公務員を辞めて起業した田中寛純さん。
田中さんが設立した「AmbiRise」では、行政の情報システム部で学んだノウハウを生かし、行政の請求業務のDXをサポートする「Haratte」を開発、すでに自治体での実証実験も行われています。田中さんについての詳細は、ぜひ過去のインタビュー記事を事前チェックしておいてください。

そしてもう一人の登壇者は、フィラメントCEO角勝
20年間大阪市職員としての職務を全うしフィラメントを設立。2022年1月には公民共創による社会課題解決を目的として、新たなプロジェクト「公民共創イシューファインダー」を始動しました。田中さんと同じく元・自治体の「中の人」として自治体ロジックを知り尽くす角が、スピーカーとして登壇します。

お申込みはヤフー LODGEのPeatixページにて受付中です。
当日ライブ視聴できない方向けに後日アーカイブ動画も公開予定ですので、ぜひお申込みください!

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