日本でエネルギー需要が増えている背景とそこに生まれるビジネスについてまとめました|ビジネスキーワード:エネルギー
近年、日本のエネルギー需要は著しく高まっています。生成AI技術の急速な普及により、データセンターや高性能コンピューティングの必要性が高まり、これが直接的にエネルギー需要を押し上げる結果となっています。
また、温暖化対策の一環として再生可能エネルギーへの移行が求められていますが、エネルギー効率の低下や電力供給の不安定化などが課題となり、エネルギー需要が増加する可能性があります。
ちなみに、フィラメント公式YouTubeチャンネル Powered by QUMZINEでグローバルなスタートアップ投資家として有名なリブライトパートナーズの蛯原健さんに今注目しているビジネスキーワードをお伺いしたときもキーワードの1つとして「エネルギー」が挙げられていました。
「エネルギー基本計画」の見直しとエネルギー戦略の変革
今後も増加すると予想されているエネルギー消費の現状を受けて、日本政府は「エネルギー基本計画」の見直しを進めています。
この計画は、日本のエネルギー供給と消費の指針を定めるもので、通常、約3年ごとに更新されます。最新の見直しでは、再生可能エネルギーの更なる導入や、デジタル技術を駆使したエネルギー管理システムの開発が焦点とされており、持続可能なエネルギーシステムへの移行などが強調されています。
エネルギー需要の高まりとその課題から生まれるビジネスチャンス
エネルギー需要の高まりは、一方で新たなビジネスチャンスを生み出しています。では、スタートアップや大企業などはどのような取り組みをしているのでしょうか。
1,NABLA Mobility:「空の揺れ」を可視化で飛行機が排出するCO2を削減
NABLA Mobilityは乱気流の予測や適切な航路の決定を支援するサービスを開発しています。既に発生している二酸化炭素の量を減らすというアプローチですね。「東京からロンドンまで飛行するときに排出されるCO2の量は約280トン」とのことなので、この排出量をゼロにはできなくとも、軽減できるだけでかなり効果がありそうです。
最近は、乱気流による死傷事故も発生しているので、二酸化炭素排出量軽減のみならず人命を救うことにもつながることが期待されますね。
2,ヒラソルエナジー株式会社:先端技術とDXで、太陽光発電所の価値を最大限に引き出す
2017年に東京大学発のIoT技術「PPLC™-PV」(電流型電力線通信技術、Pulse Powerline Communication for Photovoltaic)の実用化を目的に設立されたヒラソル・エナジー株式会社。中小規模の太陽光発電所に携わるオーナー・開発者・投資家に向け、 太陽光発電所の評価・再生・買取など、そのライフステージに合わせたサービスを提供しています。
再生可能エネルギーの課題として、土地が必要・天候に左右されるなどが挙げられます。この課題に、技術とサービスをかけ合わせてアプローチをしていくことで「100年続く太陽光発電」を目指すスタートアップのこれからに期待です。
3,京都フュージョニアリング:脱炭素を実現する、革新的イノベーション“核融合”
京都フュージョニアリングは核融合を行う世界中の民間企業や研究機関などに対し、革新的で高性能な工学的ソリューションを提供していくというビジネスモデルの元、京都大学発スタートアップとして2019年に創業されました。
核融合炉周辺やプラントに必要な機器・システムの研究開発を担うプラントエンジニアリング企業。核融合炉およびフュージョンエネルギーの実現を目指す企業・研究機関と協業し、フュージョンエネルギーの産業化に向けて事業を推進しているそうです。2024年の発電試験開始に向けて、核融合発電試験プラント「UNITY」の建設プロジェクトを推進中とのことで、年内のニュースに注目ですね。
エネルギーが未来を明るくする
日本におけるエネルギー需要の高まりに伴い、エネルギー政策の新たな方針転換が必要とされています。これは同時に新たなビジネスチャンスが生まれているとも言えるでしょう。
今後、日本がグリーンエネルギーとテクノロジーの先進国としてさらにその地位を築いていくために、新たなイノベーションと環境への取り組みが必要です。そして企業から個人まで、一人ひとりが自分にできることをあらためて見直して実践していくことも大切ですね。
【蛯原健さんにお伺いした今注目しているビジネスについての動画はこちらをチェック】
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