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1分で読める!|部門間の壁を越える人材育成とジョブローテーションの課題|新規事業お悩み相談室 ー第84回ー
“挑戦を楽しめる人と組織をつくる 企業変革の伴走者”株式会社フィラメントです。フィラメント公式YouTubeチャンネル Powered by QUMZINEでは毎週水曜日に『新規事業お悩み相談室』を配信しています!
本記事では、新規事業お悩み相談室@YouTubeを、1分で読めるダイジェスト版としてお届けします。
❓部門間の壁を越える人材育成とジョブローテーションの課題
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💬相談員たちの回答:
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角:本日のご相談は「部門間の壁を越える人材育成とジョブローテーションの課題」についてです。質問者さんは前職が行政ということですが、お堅いところ出身の僕としては、この状態は一言で言うと官僚主義的状態と言えるかなと思っています。行政ではジョブローテーションが頻繁にあるのは皆さんご存じの通りなんですが、こういう状況になっているんだけどどうすりゃいいんでしょうかという感じですよね。
こちらは、いつものことながら、大企業社員としての実績も豊富な村上さんからお聞きしてみてもいいですかね?
村上:まず、相談内容をよく読んでみたいんですけども、「全社を牽引できる人材を発掘・育成したい」と書いていらっしゃる。要はいろんな部門を知っているリーダー、役員候補を見つけたいのが1点。もう1点が新規事業創出。で、なんでこの2点が1つに合わさってしまったのかというところに僕は違和感があります。
日本の会社でも海外でもいろいろな部署を経験した上で実績を残した人を役員にしましょうというのはわかります。その場合、人材のレビューをして、その幹部トラックを作って、それに対してどういう機会を与えていくかみたいなところで、対象者の人たちに対して戦略的なローテーションというかアサインメント ていうのはよくあると思うんですよね。子会社の社長をやってみるとか。でもそれって新規事業は関連してないですよね。
角:たしかに。
村上:なので、「幹部候補を育成のための人材育成の手法」がまず必要。で、それとは別で新規事業も必要ということですよね。たぶん、これをいっしょにされちゃっているのと、そしてそのソリューションがジョブローテーションになっているのが違和感があるというところが僕の率直な反応です。
全員じゃないのかもしれないですけど結構広範囲にジョブローテーションを導入されたのかなって質問から読み取れます。幹部トラックのローテーションがうまくいくのっていうのは、前述の期待値も含めて本人が理解しているからこそ「新しいところでも頑張ろう」って思うわけじゃないですか。それもナシに「色々知ってほしいから次はここ行ってね」となると、「自分の仕事じゃないしな」とか「これは向いてないんじゃないか」みたいな話になっちゃうと思うんですよ。なので、本当に広範囲なジョブローテーションをやる場合には、目的をしっかり共有して、キャリア面談などで「こういう経験があるとこうなるよね」「ここに将来的に行きたいんでしょ。だからこういうステップになるよね」みたいなストーリーがない限りは、皆さん困惑しちゃいますよね。
目的が「全社を牽引できるリーダーシップ育成」と考えるのであれば、ちょっとジョブローテーションとは違うところにソリューションがあるかもしれないので、その場合はジョブローテーション自体を再考された方がいいんじゃないかと思いました。
角:それはそうですねえ。
村上:一方で社内ビジョンは全然別ですよね。これは角さんも実際に社内ビジコンなどのお仕事をされていますけど、要は今のアサインメントとは関係なくプロジェクト的にできるわけですよね。逆に、新規事業の視点で言うと、専門家が集まったオープンな場所で、アイディア出しや楽しみながらディスカッションをするところから新しいアイデアって出てくるものですから、その人たちが必ずしもジェネラリストである必要はないわけです。 であれば新規事業に必要なのは、いろんな人材が集まってワイガヤできる場だったりしますよね。なので、そうなるとこちらもやっぱりソリューションと課題感がちょっと合ってないなと感じます。人材育成と新規事業、それぞれを分解してしっかり何をやりたいのか考え、それに合ったものってなんなんだろうを検討するというのを広範囲で見直してはどうかなと思いました。
角:いやあ、まさに的確な分析とご意見でしたね。ジョブローテーションをするのは基本的にジェネラリストを作るためではありますが、ただその引き出しの多いジェネラリストと新規事業というのは全然違うことはないながらもそれぞれ別物であるということですね。「広範囲にジョブローテーションの制度を導入することが新規事業に繋がる」というのは、ちょっといくつかのパーツが欠けてるかなという感じになっていると思いますね。分解してみるというのが非常に大事な視点かなと思います。続いて、蛯原さんはいかがでしょうか?
蛯原:弊社も「”日本の大企業さんの新規事業”を「スタートアップ」と組みながら作っていきたい」というときにこういう場面はよく遭遇します。質問冒頭で「全社を牽引できる人材を発掘、育成したい」と書いておられましたが、はっきり言ってそんな人材はいないです。いたとしても役員、はっきり言ってもう社長や副社長とかそのレベルの人です。だから、そうい人材がいたら素晴らしいですが、現実的にはちょっとありえない状況というか幻を想定してらっしゃる。基本的に大組織の正しい姿というのは、分担した役割に集中してもらうことによって効率的に拡大していくものです。もちろん、それがあまりに硬直化しすぎたらさすがに良くないですが、「自分の仕事ばっかりやっていてよくない」みたいなことを言うのは、社員に自己矛盾を起こさせますから無茶ぶりなんですよね。だからそれはあんまりしない方がいい。
もう1つ、「なんかジョブローテーションってワードを久々に聞いたな」って気が私はしています。どちらかというと、日本社会や日本企業(特に大企業)って、報道などでは逆の方向に行っているように私は認識しています。「メンバー制からジョブ制にしましょう」と言ってアメリカ企業化したいみたいな方向ですよね。で、私はそれは良し悪しだと思っているんですが、いずれにせよポイントは、おそらく村上さんがおっしゃる通り、それは新規事業の話ではないということです。
新規事業の話って、オーナーシップの問題なんですよ。そこで我々がよくやるのは、プロジェクトのなるべく最初の段階から関係しそうな部門の方を巻き込むこと。それによって、オーナーシップアタッチメントみたいなものをそのプロジェクトに入れる。なので、全員を引っ張るスーパーマンみたいな人がいるといったこととはちょっと違うのではないかと感じました。
角:この議論をすればするほど「ジョブローテーションは何のためにやるのか」ということになってくるかなと思うんですけど、 行政にいた時の経験からすると「いろいろな部署の状況や、どういった論理でその部署が動いているのか」とそれぞれの部署のロジックやパターンを理解する。それによって、1つのパターンにとらわれず、各部署の立場・状況・受けているプレッシャー・何を求めているかといったことを推測する能力を獲得するためなんじゃないかなと僕は思ってたんですよね。
ジョブローテーションによって、相手の立場や状況を推理する能力が獲得できるならばそれはすごくいいことですし、役職が上に行けば行くほど必要な能力だと思います。それが結果として、顧客の状況を推理する能力につながる場合もありますが、一方で、いくらジョブローテーションをしても、そういう能力を獲得できない人の方が実は多かったりする。なので、その違いは何なのかっていう原因分析、そして、「相手の気持ちがわかる能力獲得のための方法論」のための別なアクションやアクティビティが必要なんじゃないかなと思いました。
「ジョブローテーション」と「新規事業」を分けて考えながら、アクティビティとしてなにか別種のものを考えることも必要なのかなと思いました。 電機メーカーBさん、ぜひ参考にしていただければと思います。
📝回答のまとめ
1,部門間の壁を越える人材育成の課題:
・ジョブローテーションの目的の再定義
・リーダーシップ育成と新規事業創出の分離
・組織内における人材育成の戦略的アプローチ
2,効果的な人材育成とイノベーション創出の方策:
・目的を明確にした戦略的ローテーション
・各部門の論理と状況を理解する能力の育成
・プロジェクトベースのオーナーシップ醸成
部門間の壁を越える人材育成には、ジョブローテーションだけでなく、組織の目的を明確にし、戦略的なアプローチが必要である。新規事業創出とリーダーシップ育成を別々に検討し、各部門の状況を理解し、プロジェクトへのオーナーシップを醸成することが重要となる。
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