XRとメタバースのイマに出会える展示会!『Meet XR 2022 in 大阪』レポート
「XR(クロスリアリティ)」とは、「VR(仮想現実)」「AR(拡張現実)」「MR(複合現実)」などの先端技術の総称です。
VRなどの言葉を聞くと、まずヘッドマウントディスプレイを頭に装着した情景が思い浮かびます。が、それらの技術は実際にどのように使われているのでしょうか?今回は『Meet XR 2022 in 大阪』にて、XR(クロスリアリティ)のイマをウォッチします!
黄色い犬とXRの関係とは!?〜ニコン・トリンブル〜
実際にヘッドギアを装着しての体験ができるブースが多い中、会場で一躍注目を集めていたのがこちらのSpotくん。動画の通り、とても滑らかな動きをしています。SFや近未来を思わせるSpotくんとXR・メタバースの関係について伺うべく、早速ブースに突撃!
こちらのブースを運営している株式会社ニコン・トリンブルは、Trimble社とBoston Dynamics社と戦略的提携し、Boston Dynamics社が製造する自律四足歩行ロボットSpotとTrimble社の測量センサーのコラボレーション製品を販売しています。ついつい黄色のボディに注目してしまいますが、測量センサーとロボットが一体化しているのが注目ポイント。
Spotくんが建築・土木・インフラ・プラントなどの過酷な現場での各種測量計測データを自動で収集してくれます。
古い構造物の測量計測データは残っていないことが多いそう。その建物が改修されているとなると、改修後の建物全体の測量計測データが存在しないなんてことも…。
そこで、Spotくんに建物の中を歩き回ってもらい、一定の間隔で360℃撮影することで各種測量計測データを自動収集。Spotくんの脚が三脚がわりになるので撮影もラクラクです。
撮影後のデータは「Trimble XR10(下記画像参照)」という施工現場用デバイスやタブレット端末を使って、現地での3Dデータ確認ができ、図面の整合性確認や現場での作業確認を迅速化できます。
”XR技術の民主化”、”XRツールを全ての人へ”!〜DataMesh株式会社〜
”XR技術の民主化”、”XRツールを全ての人へ”をコアバリューにサービス開発をしているDataMesh。
最初にブースを見たときに「モノが置いていないシンプルなブースだな」と感じました。それもそのはず、DataMeshが提供しているDataMesh DirectorはMixed Reality技術の業務への導入に際し、実装の"内製化"を支援するサービスです。
もう少し簡単に言うと、XR(MR)コンテンツを導入する際、そのXR(MR)コンテンツの作成をシステム開発会社などに外部発注するのではなく、ユーザー自身がノープログラミングでXR(MR)コンテンツを作成・編集可能になるサービスです。
XR(MR)コンテンツ化したい動的作業やそれに付随する情報はたくさんあるはずですが、それをシステム開発会社に毎度外注していてはコストが膨れ上がってしまいます。そこで、ユーザー自身(たとえば建築会社さん)がパワーポイントを作成する要領でXR(MR)コンテンツを作成できればコストを抑えることができます。
実際にXR(MR)コンテンツを作成している動画がこちら。動画や3Dの編集技術がなくても、なんとなく操作ができそうな感じがします。
現在は、主に建築関係で使われていることが多いようで、たとえば施工主さんや工事現場の近隣住民への説明にも使えるとのこと。こちらの動画では、大林組にて"DataMesh Director"を使って作業手順をMR上で再現しています。
3D開発に知見のない人達でも簡単にXR(MR)コンテンツの作成・編集を行えるようにする手段(DataMesh Director)を提供するDataMesh社の姿勢はまさに、”XR技術の民主化”、”XRツールを全ての人へ”を体現していますね。
複数人同時利用!互いの姿がわかれば可能性無限大!〜エスユーエス〜
エスユーエスはAR/VRを用いた様々なサービスを展開しています。
かなり早い時期からAR/VR事業に取り組んでいることもあり、複数人同時にVRヘッドマウントディスプレイを着用して同じAR/VR映像を見ることができ、しかもその映像内でお互いが今どこにいるかがわかるという技術があります。
この技術を使って、新築マンションの空き部屋にAR越しに家具を配置し、擬似モデルルームを作成。通常、モデルルームを作るには搬入や撤収などを含めて1000万円ほどかかるとのことで、このコストがAR技術によって抑えられるのは衝撃です!
また、夜の状態を事前に撮影しておくことで、部屋から見える夜景も体験できるとのこと。以下の動画を見ていただくとわかるように、複数人で同時に利用し、互いがどこにいるかがわかるようになっています。(相手は実際の姿ではなくアバターで表示されます)
不動産でのAR技術利用以上に驚いたのは、エンターテインメントとしてのVR活用でした。ここでも複数人同時プレイ、かつ互いがどこにいるかがわかるという特徴が活かされていました。
基本的に一人で体験するVRゲームが多い中、複数人同時にゲームができると同じ体験を共有できてあとから会話が盛り上がりそうです。また、ホラーゲームだと驚いて仰け反る人もいるので、相手がどこにいるかわかることで事故防止にもつながるとのことでした。
ブースでは体験コーナーがあったので実際に体験させていただきました。こちらの写真も実際にゲームを体験しているところです。が、ちょっと伝わりにくいですね…!
口元にはマスク、目元にはVRマスク(イラスト参照)、そしてバッテリーを首からぶら下げたら準備完了です。
メガネをしている人だと耳がキャパオーバーになってしまうのではと思い、コンタクトレンズに感謝しました。
実際の映像は写真では伝わらないので、エスユーエスさんが配信しているプレイ動画をご覧ください。
視線と手技を録画して、熟練者の技を学習!〜ホロラボ〜
ホロラボではHoloLens 2(*)を用いたTechniCapture(テクニキャプチャ) という視線と手技を記録するサービスが紹介されていました。
上半身の動きのモーションキャプチャーとそれに合わせた環境音・音声が録音できます。この記録があれば、学習者が熟練者の実際の動きを見て学ぶことができますね。
また、HoloLens越しに見える空間に手放しマニュアルを配置することもできます。
「テレビの電源スイッチはここです」と書いてある付箋がテレビの電源スイッチ部分についているようなイメージをしていただくとわかりやすいかもしれません。HoloLens越しの映像にマニュアルを配置することで、説明が必要な箇所に付箋以上の情報量が搭載できます。
「火や水を取り扱う作業現場」「紙資料が持ち込めない現場」「作業中は両手がふさがっている」などなどの理由からマニュアルを読むことができない場合に、HoloLens越しにマニュアルが確認できればとても便利ですね!
「初級者が中級者になる」ときに役立つTechniCapture(テクニキャプチャ)。しかしながら、「中級者が上級者になる」ときには利用が難しいそうで…。上級者になると手元を見ずに作業をしていたり、手元でAの作業をしながら視線は次のBの作業に向けられていたりするので、手元と視線の録画では追いつけない部分があるようです。最新技術であってもカバーできない部分もあるようですが、そこにさらなる進化の可能性を感じます。
新しい技術を取り入れるときの重い腰が軽くなる!?〜神戸デジタルラボ〜
神戸デジタルラボではDynamics 365 Guides 導入支援 / Remote Assist 導入支援が紹介されていました。
製造業や建築業などでMR( Mixed Reality )技術を取り入れる際、専門家を派遣してMR技術の導入支援を行います。これにより、低コストかつ短期間で導入が可能になるとのことです。
現在、製造業が上記のようなシステムを導入する際、行政がその費用を一部補助しているそうで、それらの紹介等も含めた手厚い導入支援が魅力的だなと思いました。
全体を通して
ヘッドマウントディスプレイを装着して画面を見ながら説明を受けることで、実際の使用シーンをイメージしやすかったです。しかしながら、こうしてレポートを書く段になって、写真ではなかなかあの臨場感をお伝えできないことに気付きました。共有するものというよりも、個々人が実際に体験することに適した技術なのだろうと思います。
これからもさらなる進化を続けていくXR業界に引き続き注目していきます!
今後も、各業界のトレンドを知る「QUMZINE展示会レポート」を執筆していく予定ですのでお楽しみに!
シリーズ第1回目:コロナ禍で伸びたペット産業の最前線!『インターペット ~人とペットの豊かな暮らしフェア~』レポートはこちら↓
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