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ソーシャルメディアとは「実社会」そのものである ~アースメディア・松本淳さんが語るソーシャル時代の歩き方~ 2/2

「会ったことはないけど、なぜだか親近感とシンパシーを感じる人」

SNSでの情報発信と人的ネットワークの可視化により、オンライン上の目に見えない心理的結びつきと信用の大切さを強く感じるようになった昨今。コロナ禍におけるオンラインシフトと、働き方・キャリア観の変化により、その勢いは今後ますます加速していくと考えられます。

従来の「会社」という閉ざされた空間ではなく、「社会」つまり「ソーシャル」こそが私たちの働く場所・生きる場所になったとき、人々はジブンの価値をどのように定義し、発信し、他者に示していけばよいのでしょうか?

今回は、フィラメント/QUMZINEが今もっとも “親近感とシンパシーを感じるあの人” アースメディア代表・松本淳さんをゲストに迎え、SNSを駆使したソーシャル時代の働き方と生き方、そして信頼についてフィラメントCEO・角勝とQUMZINE編集長・平井がお話を伺いました。(文/QUMZINE編集部、マルヤマトモコ)

いざ投稿しようとすると手が止まる。何を書いたらいいですか?

平井:例えば普通の会社員の人がSNSを始めようとしたときに、一番難しいのがおそらくコンテンツ作りです。書く時にどういったことを心がけるといいですか?

松本:日々たくさん考えたり妄想したりしても、それを言語化することにハードルを感じる人は多いですよね。言語化の練習の一番いい場所がSNS。反応があるから書けるし、繰り返せば徐々にできるようになりますよ。発信していくとインプットすべきことも見えてきます。

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角:普通、すぐには書けないですもんね。

松本:僕もFacebookで地道に10年ぐらい練習して、今があります。

角:僕は書くときに、「敵をつくらない」「クラスターや人の顔を思い浮かべて書く」「いいねをどんどんする」など、10か条の戦略を持って書いています。

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松本:1から10まで全部共感です。僕もほぼこの通りですね。

角:やった嬉しい!でも、「家族でたこ焼き食べました」みたいな、LinkedInではそぐわない感じの内容もあるじゃないですか。書くネタのおすすめはありますか?

松本:発信内容については「2軸」あって、まず「有益か無益か」という縦軸。あと右が「具体性、個別性」で左が「一般論」という横軸も大事で。よく皆さん左に行って、エジソンが言ったみたいな「何度も誰でも言っているわ!」という教訓みたいな話を言っちゃうわけです。

求められているのは右上の「有益で自分のこと」、例えば「〇〇という会社でこういう仕事していて、こういうことがイノベーションですよ」みたいな。有益かつ面白い個別論。これを狙っていくのが一番いいと思います。

応援したくなるのは、頑張っている人の未完成のストーリー

角:内容がポジティブだと、みんながいいねをしやすいですね。僕もやっていたのは個別論×パブリック性×有益な投稿で、さらに自分がそれをやる熱意とかをまぶしていました。

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松本:そこはすごく賛成です。完成していたり、何者かである必要はありません。SNSはむしろ未完成の自分が成長している姿を見せて「今頑張っています」という方が喜ばれ、応援される傾向にあります。AKBみたいなものです。そう考えると、書くことはたぶんあるはずなんです。逆に、偉そうに「これはこうだぜ!」と言う人に「いいね」はつきません。

角:上からでは謙虚さが感じられないんでしょうね。めちゃくちゃタメになる話です。

平井:発信して新たに繋がる人たちとのコミュニケーションを、うまく継続させていくコツはありますか?

松本:SNSは、基本的に発信するものではなく、コミュニケーションするためのものだと考えたほうがいいんです。だから当然自分の投稿にコメントをくれたら返したほうがいいし、人のポストにもコメントしたほうがいい。自分からのギブファーストが大事です。

角:それにしても松本さんが800通DMを送ったとか、「できるの?」とか思っちゃいますが。

松本:日に割れば1日100通ずつ送っていけばいけるじゃないですか。全然たいした数じゃないですよ。しかも今回DMを送ったのは僕の相互フォロワーさん、つまり交流がある人なので、全然抵抗もなく送れました。

角:それは真似しやすいですね。

SNSでもネットショップでも相手は人であり実社会

角:SNSを運用する時には、やっぱり人をちゃんと見てやるというのは大事ですよね。

松本:そうなんです。だからDMは自分で1通ずつ打っています。顔や人となりがある程度頭に入っているし、手間はかかっても濃くできる。人は「こんなの自動化しろよ」と言いますが、そこは譲りません。

角:たしかに、相手の顔が思い浮かぶようなことがなければ当然信頼関係はできません。実際、松本さんからメッセージきた時は、ちゃんと自分のことを認識されている雰囲気がすごくあります。

松本:インタラクティブもあるし、やっぱりタイミングとかも大事。送る内容はほぼコピペでも、個別性を感じてもらえるように自分で1通1通送っているから、当然みなさんに納得いくような内容に変わっています。

平井:この話は、SNSだけじゃなくてネットショップの担当の人とかもすごく参考になるお話だと思います。

松本:ネットショップも実社会でもたぶん同じです。ソーシャルメディアは実社会。実社会のあるべき姿をちゃんとやればという話であり、それをLinkedInで構築したいですね。

オンラインの世界に目を向けないことは命取り!?

平井:これから積極的にSNSで発信していこうとする会社員の人たちにとってすごく参考になると思うので、松本さんが働くことや生きることをどのように考えて発信されているかを、お聞かせいただけませんか?

松本:発信しなければ、会社の中に閉じこもってしまうことと変わりありません。これはLinkedIn日本代表の村上臣さんとの対談でも話しましたが、所属しているのは本来「会社」じゃなくて「社会」。社会に所属しているのであれば、社会に対して発信して関係性を持たなくてはいけません。
社会に所属していると、最悪リストラになってもなんとかなるので、自分の居場所を会社以外につくりましょう。これは全社会人マストだと思います。

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角:みんな会社に所属していて、実社会は町内会ぐらいだと思っている節がある気がします。令和の現代、世界はオンラインとオフラインの2つに増えているのに、オフラインの世界しかないと思い込んでいる人は、オフラインの世界でのつながりが断たれた時に即死です。

松本:本当、まさにそうです。

角:だからオフラインとオンライン両方の世界に対して戦略を練っておかないと。会社からSNS禁止とか言われて、それに従っていた人が急にリストラされちゃったりした時に、どう思うのかな…。

なんならオフラインの頑張りをオンラインでも人に見せて応援してもらうことによって、オンラインの世界での成長につなげていったらいいんじゃないかと思います。

松本:まさにそうですね。素晴らしい!

LinkedInにはより自由な転職や異動を叶える可能性がある

松本:僕のビジョンは、HRにおけるソーシャルリクルーティングです。20年以上HR分野に携わっていますが、やっぱりコストが高い。LinkedInであればソーシャルリクルーティングが実現できるので、本当に一刻も早くこの世界観を日本に広めたいんです。

角:みんながやるようになれば、人材がもっと自由になりますね。

松本:本当にそこなんです。コストの問題が解決できればもっと人が動けるので、活性化する場が増えます。

角:自分のやりたいことの実現性や満足感、リスクもしっかり納得した上で、異動やシフトチェンジをするイメージ。それがもっと自由になればということですよね。

松本:だから個人の発信が必要なんです。自分は何者か、どんなことをやりたいかを発信すると企業側が発見してくれるから、謙虚にそれを発信するべきだと思います。

平井:SNSを今やっていない人は、たぶんこの動きをバーチャルな世界だけで起こっていることだとすごく軽く見ていると感じています。だからこそ、危機感を持って記事をちゃんと読んでもらって、実際の行動に移してもらうところまでが、QUMZINEがやらなきゃいけないことだなと思っています。

角:本当になんかもう心が洗われましたね。もう1回頑張ろう。

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【プロフィール】

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松本 淳(まつもと・じゅん)
株式会社アースメディア 代表取締役CEO


1997年同志社大学法学部卒業後にインテリジェンス(現パーソルキャリア)に入社、人材紹介事業の立ち上げメンバーとして事業企画を担当。 2003年HRテックのジョブダイレクトを創業、革新的なビジネスモデルが市場に評価され急成長する。2008年、上場準備を進める途上でリクルートによるM&A提案を受け事業を売却。

その後は国内およびアジア諸国にて国際NGOなど非営利組織の支援に携わる一方、国内外の多くの起業家、経営者のメンターも務める。現在は、リンクトインなどの各種ソーシャルメディアを基盤とする「ソーシャルリクルーティング」の可能性を追求し、再び人材業界に新しい価値をもたらすべく事業を推進中。若手世代の支援のみならず、一生涯起業家として自分自身の可能性を追求する。

iU情報経営イノベーション専門職大学客員教授/リンクトイン公式クリエイター/一般社団法人ソーシャルアントレプレナーズアソシエーション理事

LinkedInプロフィール
https://www.linkedin.com/in/jnmatsumoto/

著書『リクルートに会社を売った男が教える仕事で伸びる50のルール』

株式会社アースメディア

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