スウェーデンの家具学校で学んだお二人が東川に工房を構える理由とは?
---先に清水さんが東川のこの場所を見つけて工房を構えられていたということですが、そこからお二人が東川に移住された経緯をお聞かせください。
遠藤さとし(以下、遠藤): 僕はもともと移住は考えて無くて、清水さんの母屋の内装手伝いとかをしながら、別荘感覚でたまに来れればいいなくらいだったんです。なんですけど、そのうち東川が好きになっちゃって移住しちゃったって感じです。妻がたまたま札幌の出身なので親元に近いのはいいだろうというのもありました。
清水徹(以下、清水): 僕も完全移住までは考えてなかったんですが、以前、家具をつくってもらっていた工場との縁で断りきれなくなって築50年古屋付きのここの土地を買っちゃいました。東京と往復しながら自分たちで3年くらいかけて内装をやり替えたりして。そうしているうちに妻も気に入って、子どもが小学校に上がるタイミングで移住しました。
遠藤: そこから自分たちで工房を新築して、家具を展示するもう一棟を建ててます。
---ちょうど製作中の椅子がありますね。
遠藤: これはふるさと納税(東川株主制度)で注文いただいた子ども用の椅子です。あとはキッチンとか、作り付けの棚がありますね。
清水:遠藤さんは家具の中でも箱物(キャビネットや引き出しなど)が得意なので、そういったものが中心になります。スウェーデンのマイスター資格もキャビネットで試験をやるんですよ。
---マイスターは「親方」なので経営能力も問われるんですね。
遠藤: 高いレベルを維持することや、申請の手続きは大変ですけど、マイスター資格は信用になると思っています。資格のために、ちゃんと経営し続けて納税しているという証明も出してますから。
---東川に移り住んでみての感想を教えて下さい。
遠藤: 僕はもともと東川が注目されてるからとかそういうんじゃなくて清水さんが先に仕事で来てるからというのがあったんで来ました。東京とは違う東川ならではの空気感が気に入ってますし、住みやすくて最高だと思います。
清水: 図書館(せんとぴゅあ)やそこでの織田コレクション常設や企画展示など、町の人の企画センスがいいんです。感覚の鋭い人はこんな地方の方がやりやすいかもしれないし、これからそんな町が増えていくんじゃないかと思います。
---とは言え、東川のようにはなかなかいかないと思うんですが、何が違うと感じますか。
遠藤: 町の職員さんがみんなお金のことをしっかりと考えられていることや、松岡町長がコツコツと30年かけて人や仕組みを作ってきたことかなと思います。組織の風通しがよく働き盛りの若い人たちが自発的に動くことができる環境があるように感じますね。
清水:そこは大学の先生も興味を持たれて研究対象にされてます。
遠藤: 東川に来てから自然と自分の町について話すようになりましたね。以前、神奈川にいたときはそんなことまずなかったんです。人が集まったときも東川の話になりますね。お酒が入ってなくても深夜まで町についての激論。(笑)
清水:移住者だけじゃなくて、もともとの住民の方も町に対する意識がめちゃめちゃ高いしセンスがいいですよね。
---強烈な当事者意識を感じますね。他に東川で始めたことはありますか。
清水:遠藤さんの釣りに行きたい衝動...。
遠藤: もともとやってなかったんですけど、一昨年から釣りにハマってて、仕事にならないくらい。(笑)
素人でもほんとにすごい釣れちゃうんですよ。どんどん熊の出る奥まで行って清水さんに心配されるんです。
---ライフスタイルの転換がすごいですね。
遠藤: 僕は30まで普通のサラリーマンだったんですけど、ある時たまたま通りかかった家具製作の工房に弟子入りをお願いして会社を辞めて職業訓練校に入ったんですね。それまでは下北沢に住んで渋谷で仕事をして、サブカルな人たちと交わって、音楽も渋谷系にどっぷりと浸かってました。(笑)
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このあとインタビューは本題から愉快に脱線したサブカルトークがエンドレスに続きました。
東10号工房をはじめとした東川の多くの工房が参加する「TOKYO TORCH 桜まつり 2023」が開催されます。お二人が手掛けた「東川の椅子」に座るファミリーフォトなどのイベントが開催されるので、都内近郊の方はこちらで東川体験をしてみてください。
【東川町が登場!3/17(金)18(土)開催のイベント案内】
【東10号工房】
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