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ビザスクとフィラメントが業務提携し、日本企業のイノベーションを加速させる!(後編)

2020年9月25日、大企業における新規事業開発の一層のスピード加速と、事業創出に向けた支援を強化すべく業務提携を締結したビザスクとフィラメント。その連携を記念した、ビザスク代表・端羽英子氏とフィラメント代表・角勝によるトップ対談の後編です。 *前編はこちら

共に「起業家」としてのキャリアを歩んできた二人だからこそ語れる、新規事業開発を阻むさまざまな課題と障壁の実態。そしてそれらを乗り越えるために必要となる要素。ビザスクとフィラメントがタッグを組むことで、今後両社がどのような新しい価値を提供していくのか、その展望をお聞きしました。

ビザスクが大切にしているものは「信頼」

端羽:新規事業って当然何個かに1個ぐらいしか成功しないわけですよね。それは起業しても同じだから当たり前だと思うんですけど、その失敗事例がぜひ繋がってほしいなと思うんですよね。

角:本当にそうだと思います。新規事業をやっている人の失敗の話聞いたらめちゃくちゃ面白いし、役に立ちますよね。

端羽:新規事業は同じ人に1回でも2回でもチャレンジさせてあげたいなって思います。それこそ1回チャレンジしてパッションがなくなっちゃって、2回目はもう提案しませんみたいな人いるじゃないですか。もったいないですよね。

角:きっとパッションのなくし方によりますよね。「会社の中で潰された」って本人が思っちゃってると、「二度とやるか」みたいな気持ちになったりもする。でもそうじゃない人もいますね。

端羽:明らかに自分のプランニングが足りなかったなと思えたら、絶対もう1回やりたくなっちゃうんじゃないですかね。なので伴走者がいるとすごくいいですよね。伴走者が「いやいや違うよ、ここがイマイチなんだよ」って言ってあげたら自分が反省するポイントが生まれるから。うまくいかなかったとしても学んで終わって、次もう1回やろうと思えるかもしれない。

角:駄目出しはいくらでも言えちゃうけど、「ここはすごくいいから、ここだけを伸ばしたら?」みたいな感じでアドバイスをすると、すごい頑張ってくれるじゃないですか。

端羽:駄目なところって言いやすいから。だからこそ「新規事業を提案した人はかっこいい」って讃えてあげることがすごい大事だと思います。

角:かわいそうなんですよ。「目につくから」「言いやすいから」という理由でのダメ出しは絶対言わないようにしています。

端羽:私、新規事業提案の審査員をさせていただくことがあるんですけど、若い人が提案していて、正直100点のプランとは言えないので通過はしなかったことがありました。でも本人が泣きながら私のところにきて、「何が悪かったんですか?」って言われて。そういうの、いいなと思います。悔しいと思ったのがいいし、悔しくなって聞きに来たのもいいし。そういう人は応援したくなる

角:だからマインドセットの残し方ですよね。そこがすごい大事。僕らが伴走支援するときも、最初はまったくビジネスプランになっていないチームもあったりして、メンタリングにはすごい悩みます。でもポジティブに返すと、次のプランはぜんぜん変わっていって。それを繰り返していくと、締め切りの時にはグッと良いものに仕上がるんですよ。なので、最初にまず第1歩を飛び出したってのは、やっぱり褒められるべき

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端羽:一方で、私はなぜみんな出さないんだとも思うんですよね。提案をなぜしないんだと思っていて。もしかしたら面白いアイデアがあるかもしれないですから。会社の中で提案させてもらえて、誰かがいろんな指摘してくれる。目の前の仕事は忙しいだろうけど、それとは違うことを経験して、会社のリソースを使える、と。こんな素晴らしい機会をなぜ使わないんだろうとも思うんですよね。

角:でもそれは分かりますよ。ビザスクの新規事業担当者レポートでも「経営層の新規事業への理解が浅い」ってのが課題の2位になってますよね。

端羽:ただ新規事業提案制度の審査員って、大抵は直の上司じゃないから「いやいや、あなた分かっていないでしょ」って言い返せるんじゃないかなと思って。あなたを人事評価しない人に提案するんだから、いいじゃんと思う。

角:僕も公務員時代、新規事業の提案制度に応募して、2年連続で入賞しているんです。その2年目に提案したのが、違法駐輪対策をするアイデアだったんですけど。入賞後にプランを具体化していくプロセスで、違法駐輪をやっている部署のすごい偉い人が出てきて、その人がおっしゃったんですよ。「俺たちは違法駐輪をなくしたいわけじゃなくて、苦情処理をしているだけだ」と。こういうマインドセットでやっている人が僕の組織におるのか!と思った途端に俄然やる気がなくなって。阻害要因というか、ポジティブに評価できないとか、オポチュニティを潰しにかかる闇の勢力みたいなのが組織にはたまにいるなと思うんですよね。

端羽:闇の勢力(笑)。そういうのを覆すためにも「あの人がこう言った」っていう、説得力のある知見者の声を言うべきですよ。でも結局それで闇の勢力がいることに気づいちゃって、その結果として今があって、角さんは素敵なお仕事されているわけじゃないですか。

角:なるほど。確かに、それがあっての今ですからね(笑)。

端羽:そうそう。そう考えると、提案してもし認められたらハッピーだし、もし闇の勢力に倒されたら、この組織にいないほうがいいってことに気づけてやっぱりハッピー。ってことは、提案したほうがいいんじゃないかと思うんですよ、どっちにしても。

角:やっぱり提案するべきですね。

端羽:そうです。どう考えても提案するべきだと思うんです。

角:端羽さんめっちゃ面白いですね!(笑)。言われるでしょ?

端羽:ロジカルに考えて、提案しない理由がないんじゃないかって思うんですけど、こうやってすぐ自分のパッションをロジックに乗せていくんですよ(笑)。

角:すごいなぁ(笑)。確かに提案を出すプロセスで、自分が経験していない面白いことがいっぱいありますからね。

端羽:本当にそう。異業種交流会とかオンラインセミナーとか10回ぐらい行ったら、よし!次はアウトプット、提案する番だ、みたいに思って欲しいな。

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角:僕も提案をするまでは、異業種交流会とかに1回も出たことなかったんですよね。でも出てみたら面白くてしょうがないんですよね。「世の中にはこんな面白い人いっぱいおんのか!」みたいになって、そこがはじけるきっかけになった。ビザスクの場合は、そこで自分の仕事している価値を認めてもらえるから、今やっている仕事に対してのエンゲージがより高まるみたいな仕組みがすごいですね。

端羽:みんなが今の角さんみたいにすごい積極的な人になったら、ビザスクは成り立たないかもしれない(笑)。

角:なるほど(笑)。でも世の中の人は大抵みんなシャイですから大丈夫ですよ。端羽さんはシャイじゃないでしょ?

端羽:ビザスクをつくる前は私も金融にいたので、周りに起業家が全然いなかったんですね。そういう意味では、正式ローンチ前のベータ版をお使いの人を見つけてヒアリングしていたので、自分が人脈を超えられないペインを自分で感じていたんですよ。知らない人には聞きに行けないみたいな。人脈と人脈を繋ぐ何かが必要だなというのは、まさに自分が思ったことですね。

角:それでいうと、僕も大阪イノベーションハブの頃って、同じような感じで仕事していたんだろうなと思います。公務員って競合にならないから、企業の人にとっては色がないというか、ビジネス的な背景がない。だから大阪に行ったらとりあえずあの人のところに行けみたいな雰囲気になっていました。だからビザスクもそうだけど、そういうニュートラルな存在、人と出会えるプラットフォームがビジネスチャンスを広げていくってことなんでしょうね。

端羽:そういう存在がないと、なかなか人の壁って超えられない。自分だって知らない人からいきなり会いましょうって言われたら、忙しいときには特に躊躇しちゃいます。でもすごい親しい人に頼まれたら、会うかもしれないですよね。そういうコネクタが必要ですよね。

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角:ちなみにビザスクを運営するうえで、何か気をつけていらっしゃることはありますか?

端羽:ビジネス上、競合関係の人をマッチングしないとか、そういうルールは十分に作って依頼企業・アドバイザー双方に伝えています。アドバイザーを守るためのルールがあって、信頼されるプラットフォームであること、これはものすごい気をつけていますね。社内に対しても定期的にトレーニングしますし、社外のお客さんに対してもきちんと説明します。昔は海外旅行に行った時に白タクは乗らなかったのに、Uberなら乗るみたいに今はなりましたよね、それがプラットフォームの価値です。「信頼」ですね。

角:同じですね。

端羽:ビザスク上であればちゃんと安心安全のルールがあるから変な情報の取引はないし、規模が大きくなっていっても信頼を守っていくことがすごい大事です。上場したのも、プラットフォームとしての信頼性に繋がるという側面もありますね。

角:上場して、ビザスクの認知度もすごい増えたんじゃないですか?

端羽:でも、まだまだですね。この間、企業の社内勉強会に登壇したんですが、窓口の人は当然ビザスクが好きで社内に広げようと思って呼んでくださったんですが、「ビザスク知っている人?」と言ったら本当に3人ぐらいしか手があがらなくて…。

角:その3人をほめたたえましょう! それに微力ながら僕らも広げますよ!!

端羽:認知度は大事ですね。アドバイザーさんのカバー領域は本当に広くなって、だいたいマッチングできるようにはなっています。けど、クライアントからこの領域の人10人に聞きたいと言われると、3人しか見つかりませんでしたみたいなこともまだあるんですよ。ユーザーインタビューは特に、同じ質問を複数の方にされたいニーズがあるんですよね。

新規事業に必要なのはロジック・パッションで紡ぐストーリー

角:コロナによって世の中がずいぶん変わって、副業に対する考え方も相当変わったと思うんですよ。そこはチャンスですよね。

端羽:何よりもリモートワークが進んだのは、アドバイザーさんにとってもすごいプラスですね。別に日中、本業をさぼっていないんですよ。家で一生懸命仕事していたとしても、通勤の時間がなくなったし、オンラインでの案件が増えましたし。あとやっぱり新しい働き方、自分のキャリアの活かし方とかを考えるようにみなさんなったので、アドバイザーの登録は増えています。

角:むしろ副業が促進されるようになりましたからね。時間が生まれたのもそうなんですけど、周りの目を気にする感覚。あれがリモートワークによって希薄になるというか、自由になったなと思うんですよね。

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端羽:不況の懸念もあるので、自分の将来を考えた時に、「スキルを複線化したい」というのはあると思いますね。時間で評価するんじゃなくて、ジョブ型の雇用や評価が必要みたいな空気になってきていますし。それはビザスクにとってプラスというだけではなくて、新規事業の担当ってそもそもいろいろなチャンスにアンテナを高く持っておいたほうがいいわけで。そういう人たちが活動しやすくなっていますよね。聞く側だった新規事業の方が、使っているうちにアドバイザーになったみたいな事例もありますから。

角:それは面白い。理想的ですね。

端羽:だから我々はアドバイザーさんを守るっていうのと、「人事部に好かれるビザスク」っていうのが大事だと思っています。

角:確かに、人事部に嫌われたら困りますね(笑)。

端羽:人事部の人が「ビザスクに登録してもいいよ」って積極的に社内で言ってもらえるように、いろいろなルールや運用をちゃんと設計しています。

角:素晴らしい!端羽さん、やっぱり超頭いいですね。今日お話しして改めて思いましたよ。

端羽:それは、角さんが面白がれる能力が高いからですよ(笑)。せっかく提携させていただくので、何か面白い勉強会とかしたいですよね。

角:いいですね! 僕が端羽さんとお話ししていて思ったのは、ビザスクって新規事業の加速装置なんですよね。適切な人がアサインされて時間も短縮できて、仮説検証の解像度が高い

端羽:新規事業って、パッションとロジック=根拠、どちらも必要なはずで、両方できるような取り組みを一緒にやりたいですよね。我々はどっちかっていうとロジック=根拠のためのサービスをやってますが、本当にどっちも大事だと思うんです。私は「どこが起業家に向いていたと思いますか?」って質問をよくされるんですが、いつも答えるのは「楽天家であること」なんです。まさにパッションですよね。

角:分かります、それ。僕も公務員を辞める時にそんなにプランは描いてないですから。なんか、やれることをやれたら、なんとかなるだろうみたいな。

端羽:でも、楽天家ってのをもう一段階分解すると、ロジックとパッションに分かれるんですよ。分解していくと、ロジックで考えてもリスクがない、このアイデアが発展しないわけないってことが理解できると、悲観的になる理由がない。そのことと、そもそもこのアイデアをやりたいっていうパッションによって、私の楽天家は構成されていたりします。

角:そうやってロジックに落として考えれば、そんなに大したことじゃない、リスクはないっていう。

端羽:そうなんですよ。何事もロジックに落としていくので、最後は自分がやりたいかどうかっていうパッションが大事になってくる。

角:そこでやりがいを感じて楽しいと思ってずっと続けられるかみたいなやつを。

端羽:大まかにやりたいんですよね、そもそも。周りを説得する材料としてロジックを持ってくるのかもしれない。

角:僕も公務員でしたから、あとづけでストーリーつくったり言い訳したりするのがすごい得意でした(笑)。作文もそうだし、ロジックはあとづけで、ストーリーテラーなんですよね。

端羽:新しいことを仕掛ける人って、必ず周りを巻き込んでいかなきゃいけないから、ストーリーテラーであることってめちゃめちゃ大事ですよね。

角:あ! すごい。すごいとこに話題を繋げますね!

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端羽:私、最初は文章が苦手だったんですよ。わりとロジックの人間なので。だから起業して一番自分が学んだことのひとつは、ストーリーテリングしなきゃいけないんだってことですね。だってスタッフは、私にロジックなんて求めてない。ストーリーを求めているから。

角:いや、これはアレですよ。ビザスク大学をつくるしかないですよ(笑)。ビザスクアカデミーだ。いいインタビューの仕方とか。一緒にロジック大学とパッション大学を(笑)。あと弊社COOの渡邊による「お金のつくり方大学」もできますね(笑)。

端羽:面白そうですね。まずは楽しくイベントしましょう。1日大学みたいな。

角:そうしましょう!(笑)。

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【プロフィール】

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端羽 英子(はしば・えいこ)
株式会社ビザスク 共同創業者 兼 CEO

2001年に東京大学経済学部卒業後、ゴールドマン・サックス投資銀行部門で企業ファイナンスに携わるも妊娠出産のため1年で退職。米国公認会計士試験に合格し、日本ロレアルで予算立案/管理を担当した後、MITに留学しMBAを取得。 ユニゾン・キャピタルでPE投資を5年間行った後、2012年3月に当社設立、2013年10月に「ビザスク」をローンチ、2020年3月に東証マザーズに上場。ビザスクは、「知見と、挑戦をつなぐ」をミッションに、世界中のイノベーションを支えるナレッジプラットフォームを運営している。


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角  勝(すみ・まさる)
株式会社フィラメント 代表取締役 CEO


1972年生まれ。2015年より新規事業開発支援のスペシャリストとして、主に大企業において事業開発の適任者の発掘、事業アイデア創発から事業化までを一気通貫でサポートしている。前職(公務員)時代から培った、さまざまな産業を横断する幅広い知見と人脈を武器に、必要な情報の注入やキーマンの紹介などを適切なタイミングで実行し、事業案のバリューと担当者のモチベーションを高め、事業成功率を向上させる独自の手法を確立。オープンイノベーションを目的化せず、事業開発を進めるための手法として実践、追求している。


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