リーダーが"育たない組織"から"育つ組織"へ変えるには②
リーダーが"育たない組織"から"育つ組織"へ変革するためには「リーダー候補生を教育してリーダーに育てる『リーダー育成パート』」と「組織の環境を整備し変えていく『環境変革パート』」の2つのパートが必要です。
今回は後者の『環境変革パート』について述べます。
2-1.リーダーシップが活きるプロセスを整備
まずはリーダーシップが活きるプロセスを整備します。そのためには個人ではなく、組織の環境そのものを変える必要があります。リーダーシップが組織に根付くまでは、慎重にリーダー候補生を守らなければなりません。例えば、既存組織から分離して役員直属のプロジェクトにする、特別チームやタスクフォースにする、定常業務と分離してプロジェクトの時間を最低限確保する、評価のあり方を整備する(定常業務と同じ尺度にしてはならない)などが挙げられます。リーダーシップが活きるプロセスを整備することで、リーダー候補生の活動を全力で支援することが重要です。
また、プロジェクトの特性やチームビルディング、会議と会議のファシリテーションについて知識を揃え、ずれがないようにするのが重要です。
環境を作るのがトップの仕事なので、育成担当、組織の重役、講師や先輩がリーダー候補生を全力でサポートすることが重要です。
これはプロジェクトの成功確率を上げることにも繋がります。なぜなら、組織の重役が「成功」といえばプロジェクトは成功したことになるので、組織の重役がサポートしていればどんなプロジェクトであっても「成功」するからです。成功体験はリーダー候補生にとっての最高の成長機会であり、組織のとって最高の変革のトリガーとなるので重要です。
周囲が全力でサポートすることは候補生の心理的安全性を確保することにもなります。心理的安全性が高い状態を作ることは、組織全体にも波及させ、組織自体の学習も促進するという意図もあります。その一方で、心理的安全性を担保することにより、リーダー候補生は上の立場の人に文句を言えず、どこにも言い訳ができない状態となります。したがってプロジェクトワークは本気にならないとできなくなり、非常に大変になります。
2-2.成長実感のマネジメント
リーダーの育成は長期的な視点で行うのが良いでしょう。しかし、短期的に成長を実感させることも大事です。例えば、会議が予定してアジェンダ通りに終わったら褒める、メンバーをフォローしていたら褒めるなど、小さな成長を褒めるとモチベーションを保ちやすいでしょう。
なりたいリーダー像に対して、どのくらいの期間で成長したいのかを見つつ、成長している箇所を探し、拾い出し、言葉で伝えることが重要です。
できないことを指摘する人が多いですが、プロジェクトワークはチームで働くので、個人の弱み(欠点)をカバーして強みを掛け合わせることが重要となります。ただし、チームの視点で強みにフォーカスしてしまうとマウントの取り合いになってしまいます。チームの目線では個人の弱み(欠点)をカバーすることが重要です。したがって、個人は「強み」にフォーカスし、チームは「弱み」にフォーカスします。
プロジェクトの評価方法
次はプロジェクトの評価方法についてです。
経営者は「プロジェクトが成功したら評価するよ」と言います。そもそも無茶な数字を課していて、達成しなければダメという判断です。「プロジェクトが成功したら評価」や「定常業務と同じ尺度で評価」はすべきではありません。
2-3. 活動を社内に発信
雰囲気作りとして、活動を社内に発信しましょう。
「リーダーが育たない組織」という雰囲気を変える一つの方法として有効なのが、リーダーの育成を始めたことを社内にしっかりと広報し、プロセスを整備し始めたと伝えることです。「組織が変わり始めた」という雰囲気作りが重要です。
一般的に、「リーダシップがある」とは他人から言われるものです。「このメンバーを育成している」ということを予め周囲に伝えておくことで、良いプレッシャーとなります。
「贔屓、ずるい!」という人は当然出てきますが、組織として本気でリーダー育成を始めたことを周囲に伝えることは重要です。個人単位の「リーダー育成」だけでなく、環境を変えていくことも伝えます。組織が変革を始めていることを組織のトップがメッセージを控えめに出すことをお勧めします。
2-4.活動を社外に発信
これまでの段階が完了したら、この活動を社外へ発信しましょう。採用イベントと絡めて、リーダーの育て方セミナーを実施したり、社外向けブログやnoteを作るなど、何らかの外向けの広報活動を行うと良いでしょう。
次回に続きます。
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