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リーダーが"育たない組織"から"育つ組織"へ変えるには②

NHN PlayArtの柏木誠さんは、“プロジェクトデザイナー”として数々の大企業でリーダー育成の研修に講師として取り組んでこられました。柏木さんは、リーダー育成のためには本人の努力だけでなく、組織の環境変革がまず必要であると説きます。今回は、柏木さんにフィラメントの公式雑談タイム「フィーカ」にお越しいただき、お話いただいた「"リーダーが育つ組織"になるために、企業がすべきこと」についてのノウハウを全4回のシリーズとしてお届けします。今回は第3回目として「リーダーが"育たない組織"から"育つ組織"へ変えるには②」をお届けします。

リーダーが"育たない組織"から"育つ組織"へ変革するためには「リーダー候補生を教育してリーダーに育てる『リーダー育成パート』」と「組織の環境を整備し変えていく『環境変革パート』」の2つのパートが必要です。

今回は後者の『環境変革パート』について述べます。


2-1.リーダーシップが活きるプロセスを整備

まずはリーダーシップが活きるプロセスを整備します。そのためには個人ではなく、組織の環境そのものを変える必要があります。リーダーシップが組織に根付くまでは、慎重にリーダー候補生を守らなければなりません。例えば、既存組織から分離して役員直属のプロジェクトにする、特別チームやタスクフォースにする、定常業務と分離してプロジェクトの時間を最低限確保する、評価のあり方を整備する(定常業務と同じ尺度にしてはならない)などが挙げられます。リーダーシップが活きるプロセスを整備することで、リーダー候補生の活動を全力で支援することが重要です。
また、プロジェクトの特性やチームビルディング、会議と会議のファシリテーションについて知識を揃え、ずれがないようにするのが重要です。

環境を作るのがトップの仕事なので、育成担当、組織の重役、講師や先輩がリーダー候補生を全力でサポートすることが重要です。

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これはプロジェクトの成功確率を上げることにも繋がります。なぜなら、組織の重役が「成功」といえばプロジェクトは成功したことになるので、組織の重役がサポートしていればどんなプロジェクトであっても「成功」するからです。成功体験はリーダー候補生にとっての最高の成長機会であり、組織のとって最高の変革のトリガーとなるので重要です。
周囲が全力でサポートすることは候補生の心理的安全性を確保することにもなります。心理的安全性が高い状態を作ることは、組織全体にも波及させ、組織自体の学習も促進するという意図もあります。その一方で、心理的安全性を担保することにより、リーダー候補生は上の立場の人に文句を言えず、どこにも言い訳ができない状態となります。したがってプロジェクトワークは本気にならないとできなくなり、非常に大変になります。

2-2.成長実感のマネジメント

リーダーの育成は長期的な視点で行うのが良いでしょう。しかし、短期的に成長を実感させることも大事です。例えば、会議が予定してアジェンダ通りに終わったら褒める、メンバーをフォローしていたら褒めるなど、小さな成長を褒めるとモチベーションを保ちやすいでしょう。

なりたいリーダー像に対して、どのくらいの期間で成長したいのかを見つつ、成長している箇所を探し、拾い出し、言葉で伝えることが重要です。

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できないことを指摘する人が多いですが、プロジェクトワークはチームで働くので、個人の弱み(欠点)をカバーして強みを掛け合わせることが重要となります。ただし、チームの視点で強みにフォーカスしてしまうとマウントの取り合いになってしまいます。チームの目線では個人の弱み(欠点)をカバーすることが重要です。したがって、個人は「強み」にフォーカスし、チームは「弱み」にフォーカスします。

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プロジェクトの評価方法

次はプロジェクトの評価方法についてです。
経営者は「プロジェクトが成功したら評価するよ」と言います。そもそも無茶な数字を課していて、達成しなければダメという判断です。「プロジェクトが成功したら評価」や「定常業務と同じ尺度で評価」はすべきではありません。

2-3. 活動を社内に発信

雰囲気作りとして、活動を社内に発信しましょう。
「リーダーが育たない組織」という雰囲気を変える一つの方法として有効なのが、リーダーの育成を始めたことを社内にしっかりと広報し、プロセスを整備し始めたと伝えることです。「組織が変わり始めた」という雰囲気作りが重要です。

一般的に、「リーダシップがある」とは他人から言われるものです。「このメンバーを育成している」ということを予め周囲に伝えておくことで、良いプレッシャーとなります。
「贔屓、ずるい!」という人は当然出てきますが、組織として本気でリーダー育成を始めたことを周囲に伝えることは重要です。個人単位の「リーダー育成」だけでなく、環境を変えていくことも伝えます。組織が変革を始めていることを組織のトップがメッセージを控えめに出すことをお勧めします。

2-4.活動を社外に発信

これまでの段階が完了したら、この活動を社外へ発信しましょう。採用イベントと絡めて、リーダーの育て方セミナーを実施したり、社外向けブログやnoteを作るなど、何らかの外向けの広報活動を行うと良いでしょう。

次回に続きます。

【プロフィール】

プロフィール柏木氏

柏木 誠(かしわぎ まこと)
プロジェクトデザイナー / NHN PlayArt 所属 / SUNDRED セルフデベロップメント産業クエストチーム

プロジェクトにおける最初の難問は「多様なメンバー間で"様々なズレ"があること」これを2つのデザイン側面(設計のDESIGN、意匠のdesign)から整理して「共創の景色 / 実現すべき未来」を描くことで解決するプロジェクトデザイナー。
境界が無いことが当たり前の世界におけるプロジェクトマネジメントについても考えている。HHKB を持ち歩く。

「リーダーが育つ変革プロジェクトの教科書」14章にインタビュー記事も掲載されています。
https://amzn.to/2NG4YES

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