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不良ファッション専門のEC社長と経営学者・入山章栄さんが対談したら、めちゃめちゃおもしろかった話(対談#01)

どうもフィラメントの宮内です。

早稲田ビジネススクールの入山章栄さんから「実はバースジャパンというすごい面白いことをやってる会社さんがあって…」という話をある日聞きました。

「面白がり力」の高いQUMZINE編集部としては、すぐに悪ノリして、取材・記事化に動いた結果がこの鼎談となります。

「バースジャパンって何?」という疑問を持ったよい子の皆さんは、まずこのトップページをご覧ください。

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ヤバイ、ヤバすぎる。。

というわけで、おそらくQUMZINE史上最大最強のコンテンツ、異色中の異色記事になることは間違いないと思います。

バースジャパンの石川智之社長、そして入山さん、フィラメント角勝、宮内俊樹の鼎談をお送りします。
※時々、経営学的な天の声が出てきますが、文責は宮内です。

入山:以前楽天さんに頼まれて私が同社のイベントで登壇させていただきました。その時に「いろいろなビジネスをされている方が日本中の地方にいらっしゃって、楽天に出店している。楽天はそうしたストアさんのお手伝いということでこうしたイベントをやっています」という一例で、たまたまバースジャパンさん名前を出していただいたんです。これは素晴らしいなと思っていたら、たまたま会場に伺った時に一発で石川さんがバースジャパンだって分かったんですよね。まあ、高輪プリンスホテルの高級ななんとかの間で、一人だけやばい髪型してて、サングラスでしたからね(笑)。それで記念写真とか撮らせていただいて。

じゃあちょっと取材させていただこうということで今日の企画になったということです。せっかくなので、まず石川さんご自身のことを、お生まれは新潟なんですか?

石川:そうですね。新潟生まれの新潟育ちで、起業した時は逃亡生活をしてまして。

入山:逃亡生活!?

石川:ちょっと悪いことして地元にいられなくなったんです。それで埼玉のほうで起業したんですけど、その3年間以外はずっと新潟で過ごしております。

入山:起業をしたのって何歳ぐらいの時なんですか?

石川:もう20歳過ぎてからですね。23歳とかそれぐらいですかね。

入山:ちょっと失礼な質問かもしれませんけど、やっぱり10代の頃は石川さんご自身もツッパリみたいな感じだったんですか?

石川:そこまでではないです。テレビに出て「俺も昔は悪かったんですよ」とか言ってる人ほどは全然悪くはなくて。でも高校生の頃って不良に憧れる時があるじゃないですか。そんな感じですね。

入山:普通にボンタンとか長ラン短ランとか、あんなの着ていたみたいな?

石川:そうですね。ドカン、短ランは着てましたね。

入山:ドカン、短ランなんですね。

石川:でも全然そんな世代じゃなくて。チーマーみたいな恰好が当時は流行ってたんですよ。だからヤンキーの、例えばリーゼントとかボンタン、ドカンとか、短ラン長ランというともう古いよねっていう、そんな時代でしたね。

入山:僕が中学生の頃ってヤンキーが東京でも全盛期で。みんな上野に行って短ランとかボンタンとか買っていたんですよね。その後にチーマーみたいな風になって、渋谷に行って、ブーツカットにベルボトム、みたいな。

石川:僕の頃のヤンキーは、バリバリのリーゼントとかよりも、チーマーみたいな感じの格好してる人の方が多かったですね。で、バイク事故を起こしてしまって、無免許で岩に激突しまして。バイクもバラバラになって自分の身体も結構酷いことになったんですね。それで高校を辞めて、そのあと新聞の押し売りを始めたんですよ。

入山:押し売り(笑)。

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石川:なんかちょっと危ない団体みたいなところにいたんですけど、そこから住宅の押し売りをやったんですが、売っても売ってもあんまりお金がもらえなかったんです。お金がなさすぎてという時に、近所にマックスバリューがあったんですけど、そこに靴が売ってたんですね。かっこいい靴が。「これをネットで売ったら売れんじゃねえの?」っていうので売り始めたのが今の商売のきっかけ。つまり転売ヤーが商売のはじめでしたね。

--キャリアの最初が転売ヤー、まさに価値の低いところから高いところへ移動させて儲けるという商売の基本のキと言えるのではなかろうか。

入山:マックスバリューなんですね、しかも(笑)。

石川:そうです。2足5000円の靴が売ってたんですけど、「これ1足5000円ぐらいで売れんじゃないの?」っていう。

角:すごい!

石川:ネットではそういうの結構あるんです。値段見ても高いし、原宿とか行けばある靴なんですけど、なかなか当時2005年ぐらいの田舎の町には全然そういうのがなかったので、これをヤフオクとかモバオクとかに出して売ったら地方の人とかでも買ってくれるんじゃないかな?って。新潟にはそういうおしゃれなお店があまりないので。

入山:どういう靴なんですか? ヤンキー用の靴?

石川:いや、当時はホスト系というか、お兄系のファッションってのが流行ってた時期で。僕もその頃はちょっと大人しめで綺麗な格好してたので、自分でもこれはいいなと思って買ったんです。モバオクが一番最初でしたね。パソコンとかも全然できないから、ガラケーでちまちま出品してみたいなところから。結構売れましたね。

入山:それでネット通販は意外と商売になるんだって、気づかれたという。

石川:最初は1種類の靴だけをひたすら売ってたんですけど、服もやってみようかなと思って、浅草橋とか日本橋とかの問屋街に行って、ホストが着るような白いスーツを仕入れたんです。そこの店がそういう不良ファッションの販売をやっていて、不良ファッションって面白そうだなと思って、本格的に始めた感じですね。

入山:なるほど。

石川:当時の不良ファッションって全然売り方が面白くないというか、魅力が商品にしかない感じだったんですね。お店に行ってもそうですし、ネットでも。お店に行って買い物をするわくわく感があんまり感じられないような市場だったんですよ。

「面白いことってそれ自体に価値があるんじゃないかな?」っていうので、だったらもっとこんな売り方ができるんじゃないの?とか、もっとかっこよく写真撮ったり、もっと面白い売り方ができたりするんじゃないのかなっていうので、自分も不良に憧れていた時期があって感覚が分かるような気がしたのでやってみたんです。

--まさに差別化戦略、USP(Unique Selling Proposition)である

入山:でもいわゆる昔からのヤンキーみたいな服って地方でも廃れているんじゃないかとか思われたりしなかったんですか?

石川:廃れてはいたんですけど、ヤンキー漫画では昔のオールドスタイルのリーゼントが出てきたりとか、短ラン・ドカンが出てきたりっていう。下火ではあっても全国を探せば一定の需要はあるんじゃないかなと思いました。

不安はあったんですけど売ってみないと分からないので、とりあえず何着か仕入れて売ってみたら結構調子よく売れたという感じですね。

--まさにリーンスタートアップ である

入山:最初はどの地域からすごく受注があったとか、あるんですか?

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石川:やっぱりヤンキーが多いところですよね。北関東の栃木、茨城、埼玉、群馬とか。あとは大阪とか福岡とかも多いですね。最初はホスト系の服を1、2年ぐらいやっていて、そのあとヤンキー系の服をちょっとずつ始めてだんだんとシフトしていったので、わりと調子よく進んできたと思います。

入山:僕が楽天さんから話を聞いて素晴らしいなと思ったのが、きっと日本中のいろいろな地方に広く薄くヤンキーの方がいて、かっこいいヤンキーの服を欲しいなとか思っているはずなんですけど、一方で店が少なくなってきてますよね。だから、そこでバースジャパンさんがあるのはめちゃくちゃ大きいですよね。

宮内:そういう発想や商売の基本って、どういうところから学んでいったんですか?

石川:それは新聞屋と住宅の押し売りをやってた時じゃないですか。やっぱり門前払い食らっちゃうんですよね。「新聞屋です」とか「住宅のリフォームどうですか? 屋根いりませんか?」って言っても、みなさん毎日のようにそういう営業を受けているので、度肝を抜くような何かがないと話は聞いてもらえないし、面白い話じゃないと興味を持ってくれない。なのでまず興味を持ってもらえるような提案やアピールをしていかないとですよね。

--まさにハイ・インパクト・マーケティングと呼ぶべきだろうか

入山:そういう意味では、今のバースジャパンがド肝を抜くようなウェブサイトだから。やっぱりガッて掴まれますよね。

角:デザインもすごいし、マウスオーバーするとそこに怖いおっちゃんがついてくるみたいなインタラクションがあったり、クリックしたい、好奇心をくすぐる設計になっていますよね。石川さんご自身がそういう方なのかなと思ったんですけど。

石川:結構物好きな人間かもしれないですね。「これ面白い」とか「これやってみたい」とか。多分ヤンキーって結構そういう気があって。思いついたらすぐ行動しちゃう「衝動制御障害」みたいなやつなんですよ(笑)。雑談とか飲み会の席とかで話して「バカじゃないの?」って言われるようなことを、本当にやっちゃう感じですよね。

入山:今は仕入れ先は東京のお店が多いんですか?

石川:ウチはヤンキーのジャージとかヤクザ向けのスーツとかなんですけど、仕入れじゃなくてほぼ90パーセント以上は自社で生産してますね。

入山:自社生産ですか!

石川:最初は仕入れだったんですけど、ヤンキーファッションとかヤクザファッションが下火になりすぎちゃって、どこを探しても仕入れができなくなっちゃったんですね。なので中国でつくってるんですけど。

入山:それはデザインみたいなのをつくられて、どこかのつくってくれるところに外注してる感じなんですか?

--こ、これはSPA(Specialty store retailer of Private label apparel)ぢゃありませんか。。

宮内:中国の人はヤンキーを理解するんですか? それ聞きたい。

入山:分からないでしょうね……。

石川:あんまり柄の意味とかについては話し合わないので。「これはこういうふうにプリントして」ってだけは言いますけど。

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角:龍とか中国本場ですからね。

入山:縁起がいいみたいな感じですかね、中国だと。

石川:まあ派手ですねとかって言われます。プリントがすごい柄が多いので、あんまりやりたがらないんですよね、めんどくさいとか言って。プリントが多いとミスも起こりますし、今は品質の向上ですごく悩んでますね。

入山:品質の向上!

角:買われた方からクレームとかそういうのってきたりとかするんですか?

石川:ありますあります。全然ありますね。

角:やっぱり。怖いクレームですかね?

石川:でも、割と真摯に対応してますね。前はすごんでくる方とかいらっしゃったんですけど、お礼状を気合がはいったやつを送るようにしてからは…。

角:ちょっと待って。なんですかそれ。お礼状見たいんですけど(笑)。

石川:これですね。

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角:これをもらってクレーム言える人はいないですね。ちなみに店名はどういう意味なんですか?

石川:特に全然深い意味はなくて。商売始めて3、4か月ぐらい経った時に、お店の名前も全然決まっていなかったのでなんか決めなきゃいけないなと思って、目の前にあったCDの名前が『BIRTH(バース)』っていうCDと『JAPAN(ジャパン)』っていうCDで。もうこれでいいよってできたのが「BIRTHJAPAN(バースジャパン)」です。ちなみに尾崎豊と長渕剛のCDですね。

宮内:なるほど! 分かりやすいですね、それは。

入山:そうするとデザインは石川さんがされてるんですか? このTシャツとか甚兵衛とか。

石川:そうですね。最終的に決めるのは自分なんですけど、デザインサイトでデザイン自体を買ったりもしますし、デザイナーに描いてもらうこともあります。あとイギリスにバースジャパンのファンの方がいらっしゃって、その方に描いてもらったりとかもありますね。

入山:その方はデザイナーさんなんですか?

石川:ですね。すごい日本のカルチャーが好きで、ヤンキー文化とか和柄のデザインを勉強しているみたいで、バースジャパンのデザインさせてくださいなんて言ってくださって。やっぱりすごい上手なんですよね。日本の人よりも日本っぽいデザインをつくるというか。

角:国際的なファンの方がおられるんですね。突き詰めていくって大事だな。

入山:バースジャパンを立ち上げた当時から楽天市場に出店されてるんですか?

石川:楽天は2008年からなので、立ち上げて何年かしてからですね。それまではヤフーショッピングとかヤフオク、モバオクが多かったですかね。あとDeNAがやっていたビッダーズとか。

入山:楽天に出店するようになってから、だいぶ売上も変わってきましたか?

石川:いまは主力の売上が楽天で。それまでほかのサイトでいっぱいあった売上がみんな楽天にもっていかれるような感じになったりとか、楽天に出してよかったなと思いますね。

入山:サイトは石川さんの本当に独自の。ずっと独学でここまでつくられたっていう。

石川:専門的な分野は僕は全然分からないので、例えばマウスを動かすようにしてくださいってのはクラウドワークスみたいなサービスを使って部分的にやってもらったりはするんですけど。

角:でもなによりワードセンスが独特ですよね。

石川:そうですか?

角:「1秒で…」とか。なんですかね。

石川:「秒速で悪党に」みたいなやつ。

角:そうそう!「凡人は秒速で悪党に、悪党は一瞬に極悪人になれる」とかね。

入山:これは石川さんが考えられたんですか?

石川:そうですね。でもその秒速でってやつは、与沢翼さんの「秒速で億稼ぐ」みたいなやつをちょっとモジってみた感じですね。

宮内:僕が好きなのは、このFacebookの「絡もうぜ」っていうコピーが(笑)。

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角:やっぱりセンスがないと、なかなかこれは書けないんじゃないかなと思いますよ。

2/3はこちら


【プロフィール】

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入山 章栄 氏
早稲田大学大学院経営管理研究科
早稲田大学ビジネススクール 教授


慶應義塾大学経済学部卒業、同大学院経済学研究科修士課程修了。三菱総合研究所で、主に自動車メーカー・国内外政府機関 への調査・コンサルティング業務に従事した後、2008 年 に米ピッツバーグ大学経営大学院より Ph.D.(博士号)を取得。 同年より米ニューヨーク州立大学バッファロー校ビジネススクール助教授。 2013 年より早稲田大学大学院 早稲田大学ビジネススクール准教授。 2019 年より現職。Strategic Management Journal」など国際的な主要経営学術誌に論文を多数発表。著書に「世界標準の経営理論」(ダイヤモンド社)、他。 テレビ東京「ワールドビジネスサテライト」のレギュラーコメンテーターを務めるなど、メディアでも活発な情報発信を行っている。

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石川 智之 氏
BIRTHJAPAN 代表


1982年生まれ。新潟県出身。高校を中退後、新聞勧誘や悪徳リフォームなどのブラックな職種を経て2006年に起業。
2008年楽天市場に出店。当初は靴やホスト系ファッションを中心に販売していたが2009年頃より極悪系不良ファッションへ路線変更。
自社ブランドの「BLOOD MONEY TOKYO」「INTERMEX」「DIAMOND JAPAN」などの製作を手掛ける。
「店長逮捕●周年セール」「ムショ割」など独自のセンセーショナルなセールを展開し話題を集める。
映画やドラマへも100作品以上衣装提供している。


▼鼎談の模様を収めた迫力のダイジェストムービーも是非ご覧ください!


(対談#02へつづく)




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