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経営学者・入山章栄さんが対談したヤンキー服専門ECの社長が、めちゃめちゃいい人だった話(対談#02)

どうもフィラメントの宮内です。
バースジャパンの石川智之社長、そして入山さん、フィラメント角勝、宮内俊樹の鼎談の第二回です。
前回バースジャパンの始まりから、圧倒的に個性的なビジネスモデルについて、石川さんにお話しいただきました。ぶっちゃけ見た目のいかつさとは全く正反対に、石川社長は本当に腰が低い方です。とっても魅力的なのは、鼎談の発言を読んでも伝わったかと思います。

第二回では、バースジャパンの個性的な商品の数々について話題がもりあがりました。

読んだらぜひ、スキやシェア、フォローを夜露死苦!!

入山:東京にいると、なかなかヤンキーと接する機会もないし、接点がないからどうしてもこういうマーケットのニーズがあるって気づかないんですよね。だからこうやって楽天をうまく使われて、日本中に薄くかもしれないけどこういうのを求めているヤンキーの需要に応えているってのは、我々からするとすごい着眼点だなって思います。

--まさにニッチ市場にフォーカスした成功事例である

石川:ありがとうございます。

宮内:入山さんの講演会に参加されたのって、きっかけって何かありますか?

石川:アイデアの出し方で、イノベーションとはなんぞやというところから、いつもデザインする時にどうしようかなってすごく悩むんですね。どうしたらアイデアって出てくるんだろうっていつも思ってるんですけど、そんな時にイノベーションのお話を楽天のカンファレンスでされるよってことだったので、これは聞いておかないとだな、と思って聞かせていただきました。

入山:僕その時も「自分からちょっと離れたところを見て組み合わせるのがイノベーションの源泉です」ってお話を申し上げたんですけど、でももうされてましよね。このウェブサイトを見ていると与沢翼のパクリとか(笑)。変なんですけど、イノベーションってある意味パクリなので、いろんなものパクってくっつけていったら何か新しいのができる。なので本当に実践されている印象ですよね。

--イノベーションは知と知の新結合である、とシュンペーターも言ってます

入山:もしバースジャパンを知らない人は、こういう服をどこで買ってるんですかね?

石川:ドンキホーテじゃないですかね。

入山:ドンキホーテなんだ!

石川:多分最大のライバルはドンキホーテなんじゃないかなと。ウチみたいなヤンキーチックなものとか、ドンキにあったりしませんか?

角:なるほど、なるほどです。多分ヤンキーはドンキだと思います。

入山:マジか(笑)。

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角:ヤンキーはドンキだと思いますよ。

入山:ヤンキーはドンキ(笑)。

角:僕が住んでいるのは大阪でも南の方なので、わりとヤンキーカルチャーとかはまだ残ってる方なんですよね。「だんじり」に行って盛り上がっちゃうような、ちょっと血気盛んな若い子とかはドンキに行きがちだと思います。

入山:そうか。でもドンキだときっと自分たちが本当に欲しい尖ったやつって少ないんですよね、きっと。

角:多分デザインにこだわりだしたら物足りなくなるんだと思います。そこで仲間の一人がバースジャパンで買ったエクストリームなやつを見せびらかしたら、俺も買うわってすぐ広がっていく感じだと思うんです。そうやって地方のカルチャーがだんだんバースジャパンになっていくというか。

入山:逆に地方にいるとバースジャパンを除けば、ドンキ以外には実店舗としてこういう不良向けの服を売ってる店ってほぼないってことですよね。

石川:多少は探せばあるんでしょうけど、専門店とかじゃないと思うんですよね。

入山:なるほどね。ドンキホーテとは意外でしたね。でも角さんは納得なんですね。

角:ドンキホーテの駐車場に行ってみたら大体分かると思います(笑)。

宮内:こういう商品が求められているといった市場の調査とか、するんですか? 例えば夏の祭りの前にはやっぱり甚兵衛だとか。

石川:楽天の方とかに「この時期は何が売れているんですか?」みたいな話を聞くこともありますし、それをウチのヤンキーファッションとかヤクザファッションにするにはどうしたらいいんだろうなって考えながらデザインしていますね。

宮内:じゃあそこもイノベーションというか、組み合わせがあるわけですね。

入山:今まででこの商品がすごいヒットしたとか予想外の売れ方したとか、ありますか?

石川:全身が龍のデザインのセットアップとかは、8年ぐらいずってやってますけど毎年一番の売れ筋商品になってますね。

角:やっぱり龍なんだ。

石川:そうですね。ジャージなんですけど。

入山:ジャージなんですね!

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石川:ええ。まともな神経してたら着ていけないだろうっていうような服。まあそんな服ばっかりなんですけど、よりすぐりのおかしな服が売れてますね。

宮内:やっぱり突出したほうが売れるわけですね。

石川:多分ドンキとかで売ってるような服じゃ物足りないっていう、神経がぶっちぎれたような人たちが、次の段階で着たくなる服なんでしょうね。

--リスク選好というべきなんでしょうか。違うでしょうか(笑)。

角:これですか。昇り龍柄セットアップジャージ。

石川:それですね。

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角:コピーが「この服を着たお前にビビらないやつはいない」。しびれる!しびれるな(笑)。成人式の時も特需がやっぱりあるんですか?

石川:ヘビ柄のスーツとかはやっぱり出ますね。基本的に今でもそういう人たちって和服や着物の方が多いので、そんなに飛びぬけて売れるってわけでもないんですけど。スーツを着ていかれる方は白いスーツとかヘビのスーツ、ヒョウのスーツとか派手なスーツがその時期は売れたりしますね。

入山:そうかそうか。みんなたしかに和服ですもんね、成人式は。

角:でもヘビのスーツとか、なかなかですね。唯一無二の需要を捕まえていらっしゃる感じですね。購買データの分析とかされたりとかするんですか?

石川:どこの県からの注文が多いかは見ていますね。

入山:地域性とかってありますか? この地域はこういうのが売れるとか。

石川:大阪は派手なのがすごい売れますね。黒字に金、とか。

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角:大阪の秀吉の頃からのカルチャーですね、これ。

入山:北関東とかいかがですか? 茨城とか。

石川:北関東はすごく売れますね、いろんなものが。あと意外だったのが、福島がすごい売れていたんですよね、過去のデータ見ると。多分震災の復興とかで出稼ぎに来てる全国のちょっと荒っぽい人たちの需要だと思うんですけど…。

入山:なるほどー。日本中から福島に来てますもんね。そういう人が着たいんだ。北九州とかあのへんはいかがですか?

石川:北九州は多いんですけど、そこまででもないですね。

角:広島とかは?

石川:広島は少ないですね。そんなに多くはないです。一般的な県に比べると多分多いほうなんですけど、そこまで突出して多くはないですね。

角:ヤンキーといってもこういうタイプが好きって細分化されていっていると思うんですけど、その中でも特に北関東のフィーリングに合うってことなんでしょうかね。

入山:もしかしたら九州の地域性とはちょっとズレてるかもしれないっていう。

角:もし石川さんがよかったら、九州とか広島に行って現場リサーチされるとすごくいいかもしれないなと思います。多分広島とかだと暴走族が多いじゃないですか。

入山:なるほど。暴走族は違うんだ。

角:おそらく。暴走族とかだと、もう少しカッチリしたやつかもしれないですよね。

入山:特攻服的なね。

角:特攻服的なやつ。『特攻の拓』にあるかもしれないみたいな。

入山:逆に石川さんのほうはこだわりがあるんですか? 例えばもし広島や九州の人がもう少し特攻服みたいなものまで考えていたととしても、あまりそういうのは興味がないとか。

石川:う~ん。いや、特攻服とかもやりたいなって気持ちはあるんですけど、特攻服だと刺繍がメインだったりするので、1着ずつオーダーっていう需要が多いんですよね。となるとウチって中国で1デザイン何百枚とかって頼んで仕入れて販売する感じなので。ちょっと今の商売のスタイルとはまだ違うのかなって感じで。

角:なるほど、素晴らしい!すみません。勝手なこと言っちゃって。

石川:いえいえ。それを専門でやってる「プロス通販」っていうお店があったりして、特攻服と学ランの需要は多分そっちでとってると思うんですよ。僕も子どもの頃よく買ってたサイトなんですけど。当時は『チャンプロード』とかって雑誌に載っていた雑誌通販の会社ですね。

入山:本当だ。「プロス通販」っていれるといきなり「ボンタン」が出てくる。「変形学生服・特攻服・刺繍のプロス通販」。なるほどね。

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角:カラー学ラン、カラーセーラー服。

入山:学ランとか特攻服はこっちで、バースジャパンはいわばプレタポルテなんですね。きっとプロス通販にいくような人で、ちょっとこういうのは高いだろうからもう少し安い既製服でいいから欲しいって人がいたらいいのかもしれないですね。

石川:そうですね。

--プロス通販はリスク選好というべきなんでしょうか。違うでしょうか(笑)。

入山:なるほど、面白いな。今後の方向性とか、こういうことをやっていきたいとかってありますか?

石川:いろいろはあるんですけど…。世界中の悪党ファッションが分かるようなサイトづくりをしていきたいなとは思いますね。不良の服装だったり文化だったりがこのサイトにくると分かるような。

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入山:いいですね。

角:すごい。グローバルヤンキーファッション。

石川:あと、海外のヒップホップという文化が日本に入ってきたみたいに、日本の不良ファッションをひとつの文化として、海外に進出させたいなという気持ちはありますね。

--やばい、越境EC、そしてクールジャパンを超えたIP輸出ビジネスである。

入山:それ面白いですね。今日本の例えば漫画って世界的にコンテンツになってるじゃないですか。だから意外と、例えば『クローズ』とか『WORST』って海外であまり読まれてる印象がないけど、あのへんがちゃんと読まれるとああいう格好したいって人が出てきますよね。多分。『特攻の拓』は多分プロス通販のほうだから、『クローズ』とか『WORST』ですよね。

角:たしかにたしかに。『クローズ』とか『WORST』ですね。

石川:僕はもう30代も後半なので、ヤンキーの恰好してますけどもうヤンキーを辞めたいなと思ってる感じで。もうコスプレヤンキーですよ。

入山:ビジネスとして。

石川:ビジネスとしては、いろいろな不良の服装があっていいと思うんです。ヤンキーはこうじゃなきゃいけないというのは別にないと思っていて。「これだったら俺でも着れるかな、自分でも着れるかな」っていう表現方法の選択肢のひとつとして、ロシアンマフィアはこういう格好してるよとか、シチリアの海賊はこういう格好してるよとか、中国のマフィアはこうだよみたいに、いろいろな国のいろいろなファッションが選べても全然いいと思うんですね。

入山:そうか。不良のファッションってちゃんと体系的に見たことないですもんね。アメリカはイタリアンマフィアとチャイニーズマフィアとみんな違う格好ですもんね。

石川:去年から始めたのがメキシコのほうの不良をイメージしたファッションを展開してるんですけど、それは結構調子よく今やってます。「INTERMEX」というブランドで展開しているもので。

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角:これか、INTERMEX。イカツイ!

宮内:すごい全然違いますね。なんであえてメキシコを選んだかみたいなのはありますか?

石川:不良でヤバそうといってまず真っ先に連想したのがメキシコで(笑)。

宮内:ヤバそうな感じしかしないですね。

石川:こいつらが日頃思ってることってなんだろう?って。「のしあがりたい」とか「てっぺんにいきたい」とか「いつかトップをとりたい」って思いは、日本の不良も結構共感してくれるんじゃないかなって思うんです。入りやすいというか魅力を感じやすいというか、僕自身が伝えやすいというか。まずはメキシコから始めて、世界の不良の文化を広めていきたいなと思ってますね。

入山:たしかにアメリカのヒスパニック系っぽい、LAとかにもいそうですよね、こういう人。

石川:メキシコのギャングっていうか、アメリカにいるチカーノファッションにちょっと近いようなイメージかもしれないですね。

入山:なるほど。でもこれはたしかにかっこいですね。これちょっと買いたいな俺。かっこいいですよね、普通に。

角:これはドンキにはないですね、やっぱり。

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【プロフィール】

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入山 章栄 氏
早稲田大学大学院経営管理研究科
早稲田大学ビジネススクール 教授


慶應義塾大学経済学部卒業、同大学院経済学研究科修士課程修了。三菱総合研究所で、主に自動車メーカー・国内外政府機関 への調査・コンサルティング業務に従事した後、2008 年 に米ピッツバーグ大学経営大学院より Ph.D.(博士号)を取得。 同年より米ニューヨーク州立大学バッファロー校ビジネススクール助教授。 2013 年より早稲田大学大学院 早稲田大学ビジネススクール准教授。 2019 年より現職。Strategic Management Journal」など国際的な主要経営学術誌に論文を多数発表。著書に「世界標準の経営理論」(ダイヤモンド社)、他。 テレビ東京「ワールドビジネスサテライト」のレギュラーコメンテーターを務めるなど、メディアでも活発な情報発信を行っている。

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石川 智之 氏
BIRTHJAPAN 代表


1982年生まれ。新潟県出身。高校を中退後、新聞勧誘や悪徳リフォームなどのブラックな職種を経て2006年に起業。
2008年楽天市場に出店。当初は靴やホスト系ファッションを中心に販売していたが2009年頃より極悪系不良ファッションへ路線変更。
自社ブランドの「BLOOD MONEY TOKYO」「INTERMEX」「DIAMOND JAPAN」などの製作を手掛ける。
「店長逮捕●周年セール」「ムショ割」など独自のセンセーショナルなセールを展開し話題を集める。
映画やドラマへも100作品以上衣装提供している。


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(対談#03につづく)

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