「メタバース」やソニーのEVだけじゃない!CEATEC 2022で見つけた面白いモノたちを紹介します
最新の技術を生かした製品やサービスが展示される「CEATEC」。幕張メッセでリアル展示されるのは、今年が3年ぶりとのことです。オンラインでも開催され、幕張とオンラインを合わせると562社/団体が出展。海外からも合計27か国が出展しています。
大規模な展示会ですが、ざざっとみたところ「AIを使ったソリューション」「サステナビリティを意識したソリューション」「XRを使ったソリューション」が多めだと感じました。もちろん多種多様な製品が展示されているので、これらに当てはまらないものも多くあります。JR西日本、パーソル、自治体など、テック企業以外の組織が出展しているのも印象的でした。
その中でも人気だったのは、「メタバースEXPO」のコーナー。MetaやDNP、テレビ東京、サイバーエージェントなどが出展していたようです。常に30分待ちと人気で、メタバースというワードについて興味を持つ人が多くいることがうかがえました。時間の関係上こちらには訪れなかったので、窓の杜やJ-CASTニュースなど他社メディアで情報を補完してください!
メタバースEXPOもいいのですが、今回はCEATEC 2022を訪れた筆者目線で面白いと思ったものをご紹介します。
ソニー
ソニーのブースもメタバースEXPO同様、整列入場するほどの人気でした。
一番の目玉展示はEVの試作機のSUV「VISION-S 02」。CES2022で発表されたもので、「ソニーの自動車」については以前から報道がなされていますが、実物が目の前にあるとちょっと感動しますね。
センサーについて様々なノウハウを持つソニーがそれらを活かして車を作ったということで、車外はもちろん、室内ミラー、車内など様々なところにセンサーを設置し、安全で快適な走行に役立てるそうです。
また、5Gと自動運転技術の発展を見越して設計されていて、車内を移動空間からくつろぎとエンターテインメントの場所と再定義。インテリアには音響や映像環境を快適に過ごすための設備が備わっているとのことです。
どれくらいの価格で市場に投入されるのか気になるところですが、今後の発展にも期待しましょう。
そして、「なるほど」と思ったのが「バーチャルプロダクション」の展示。ぱっと見、大画面の前でスタッフのお姉さんが体操をしているだけに見えます。
こちらは大型LEDディスプレイと撮影機材を合わせた「バーチャルプロダクション」のためのソリューション。大型ディスプレイの前で被写体を撮影することで、後処理することなくCGと実写を組み合わせた映像制作を行うことができます。例えば、人物にフォーカスを合わせると、LEDディスプレイに映し出された風景を実際の風景と一緒に撮影したかのようにぼかす、なんてこともできるそう。このソリューションをつかうことで、クリエイターの場所と時間の制約がなくなるほか、ロケをしているかのような映像をスタジオ内で撮影できるので、移動にかかる温室効果ガス排出量の削減にも貢献するとのこと。この視点は「たしかに」って感じですよね。
みずほリサーチ&テクノロジーズ
みずほリサーチ&テクノロジーズは、「近未来体感ミュージアム」をコンセプトとして、一般の人にもわかりやすく最新技術を展示していました。
「AIヨガインストラクター」では、ウェブカメラで得られた人の姿から姿勢推定を行い、正しいヨガのポーズができているかリアルタイムで判定し、正しいポーズでなければ助言してくれます。
「話せる美術館」では、展示物を鑑賞する人たちの間で感想や気づきを共有する対話型鑑賞のファシリテータをアバターにおきかえ、鑑賞者が発話した感想を動的に表示しています。
このほかにも、自分好みのアバターが手軽に作成できる「AI顔キャラクター自動生成」や、カツラ感のない合成を実現する「ヘアアレンジシミュレータ」など、多数の展示がされていました。
シャープ
シャープも様々な展示を出していました。中でも注目されていたのが、CEATEC AWARDで経済産業大臣賞を受賞した『屋内光発電デバイス「LC-LH」』。一般的なソーラーパネルは屋内の光源だと光が弱くて発電できませんが、この製品を用いると屋内の光量でも発電できます。
想定された用途としてはE Inkの小型ディスプレイをつないで電子棚札とするもの。使われているLC-LHのデバイスも、値札同様の大きさ・デザインなので、違和感なく売り場に溶け込めそうですね。
これまではボタン電池などが使われていましたが、この製品を使うことで、電池切れの心配や電池交換の手間、そして使用済み電池を処分する環境負荷もなく使い続けられます。これってすごくいいですよね。
無線通信での活用イメージとして、ビーコンもありました。実際に稼働させていましたが、屋内光で発電しビーコンを発信し続けられています。
Pixie Dust Technologies
多くの企業が派手なロゴで目立つようなブースづくりをしている中、黒一色のブースで、黒一色のデバイスが置かれており、この企業がどんな製品を作っているのか、気になって思わず聞いてしまいました。
卓上には大きめのシャワーヘッドのようなデバイスが置かれています。
スタッフの方に尋ねてみると、これはアンファーと共同開発した、超音波による刺激で頭皮を刺激する家庭用ヘアケアデバイス「SonoRepro」とのこと。スイッチを入れて手をかざすと確かに振動のようなものを感じます。
そして、別の机には同じく黒くて丸いデバイスが置かれています。
この「View of Voice」は、どこから声が聞こえてきたか判断するのが難しい人にとって、このデバイスを使うことで、どちらの方向から聞こえてきたのかがわかるようになるというもの。そういう需要もあるのですね。話者ごとの書き起こしもしてくれますよ。
広義の「波」に関する様々な研究開発を行っている企業のようでした。ちなみに、開発元のPixie Dust Technologiesは落合陽一さんが代表取締役を務めておられるんですね。記事執筆のためにおさらいしていてはじめて知りました。
東京大学 五十嵐研究室
CEATECには大学の研究室からの出展もいくつかありました。その中でも圧倒的な存在感を示していたのがこちら。自動運転の車に親しみを感じる目玉がついています。実はこの目、きょろきょろ動くんです。
自動運転車は人が運転する車とは違い、運転手へのアイコンタクトができず、歩行者などからは運転の意図が推測しづらいという課題があります。自動運転車に取り付けたカメラの映像から画像認識によって歩行者を認識し、視線やアイコンタクトで認識しているということを伝える「目」をつけたのがこの車なんです。走行中、目玉が歩行者の方を向くことで、きちんと「歩行者がいることを認識している」ことを、歩行者に伝えるのに役立てるということですね。
株式会社テンダ
スタッフの方によるデモを見せてもらって「こんなに簡単にできるのか!」と驚いたのがこちら。業務内容のマニュアルを作るときに役立つソフトウェア「Dojo」。
使い方としては、Dojoの開始ボタンを押した後、マニュアル化したい作業を一通り実施して停止させるだけ。
Excel、Word、PowerPointといった静的データやMP4やDHTMLなどの動的データにマニュアルをすぐに出力してくれます。ステップごとに作業が分けて書かれているほか、スクリーンショット内の具体的な操作まで吹き出しで書き込んでくれるのはすごい。社内でマニュアル化された作業を多く扱う企業からはだいぶ重宝されるツールだと思いました。
Y-Brush
外国の企業や組織からの出展も多数ありました。
その中でもフランスとイギリスの出展をいくつかご紹介します。
まずはフランスの「Y-Brush」。その名の通り。Y字の電動歯ブラシを開発している企業です。これを使えば「10秒で歯磨きが完了する」とのこと。
歯磨き粉をつけた後、Y字の歯ブラシを噛んで、左右に動かすと3万4千本のナイロンブラシがすべての歯を磨いてくれるといいます。本当にきちんと磨けるのか気になりますが、メーカーによれば歯医者と一緒に開発しているので効果的に磨くことができるようになっているとのこと。歯磨きというこれまで進化があまりなかった分野にもまだまだ発展の余地がありそうですね。
dean tech
フレンチテックパビリオンを歩いていると、やけにかわいらしいデザインの機械を発見。こちらは「Bob・ル・プチ・食洗機」といい、その名の通り小型の食洗機です。
世界最小&最軽量をうたいます。1~3人分の食器を20分で洗うことができ、おしゃれなカラーのフロントパネルは好きな色に交換できるそう。ワンルームに住んでいることの多い日本の一人暮らしの若者にはぴったりですよね。日本メーカーからできてもよさそうな製品ですが、フランスの企業から出ています。
what3words
フランスパビリオンの次に訪れたのはイギリスのパビリオンでした。全世界を3m四方に区切り、1区画ごとにランダムで固有な3つの単語を組み合わせて割り当て、固有の場所を示すというユニークなサービス「what3words」が出展しています。
大きな建物だと、待ち合わせをした時にその建物のどこにお互いがいるのかわかりづらいですが、このサービスを使えば、3m四方で指定できるので時間のロスを防ぐことができます。筆者は数年前にネットメディアでこのサービスを知ったのですが、現在はどれくらい普及したのか知りたいと思い、尋ねてみました。
配車サービス、ナビアプリ、トラベルガイド、物流企業などで使われているそうです。具体的には、JTBパブリッシングが発刊している観光ガイドやタイムアウト東京、S.RIDEなどとのこと。
場所を3単語に変換するのは無料ですが、APIやSDKを利用する際に費用が発生するとのことです。ちなみに、QUMZINEを運営するフィラメントのオフィスは「///ほたて。きりとり。くらしっく」にあります。
全体を通して
大企業から大学研究室まで幅広く出展しているだけあって、本当に見るものが多くありました。前述したような傾向こそあれ、内容も多岐にわたっていたように思います。製品やソリューションを作り上げるには技術力が必要ですが、その製品で解決しようとする課題や、課題の切り口は、新規事業を創出する際に参考になるのかもしれないなと巡りながら思いました。これからも変化し続けるトレンドに注目していきます。
シリーズ第1回目:コロナ禍で伸びたペット産業の最前線!『インターペット ~人とペットの豊かな暮らしフェア~』レポート
シリーズ第2回目:XRとメタバースのイマに出会える展示会!『Meet XR 2022 in 大阪』レポート
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株式会社フィラメント/Filament Inc.