COTEN RADIOの深井龍之介さんとリベラルアーツや学び、歴史をダダしゃべりました 2/2
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COTEN RADIOの深井龍之介さんとリベラルアーツや学び、歴史をダダしゃべりました 2/2

引き続き、COTEN RADIOの深井龍之介さんとの鼎談後編です。2018年にスタートし、いまや大人気となった歴史系ポッドキャスト番組、COTEN RADIO。後編では、株式会社COTENの誕生エピソードからCOTEN RADIOの魅力について、歴史のどうでもいい話まで、ダダしゃべりました。フィラメントの角・宮内と繰り広げる「超雑談」を引き続きお楽しみください。

COTEN RADIO オフィシャルサイト
https://cotenradio.fm/

宮内:もともと起業されたのってどういうきっかけがあったんですか?

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深井:大学を出てから東京で5年間ぐらい働いていて、そのあとにたまたま福岡のベンチャー企業に入る機会があって。27か28歳ぐらいの時かな。その時がちょうど福岡のスタートアップが出始めた頃で、本当に資金調達第1号みたいな感じで入りまして。

そこで資金調達からサービスをつくって、採用して、いろいろな失敗を経験しまして。それで、自分は何に興味があるんだろうっていうことをすごい突き詰めていったんです。そうしたらやっぱり自分は究極的には人文系のことにしか興味ないってことが分かってきて。

宮内:気づいたわけですね。

深井:とはいえ、人文系の仕事を考えると思っても、なかなか仕事にはなりませんよね。それに自分が今まで培ってきたスキルや能力は、ベンチャー企業のノウハウ。なので、自分が興味ある人文学系とベンチャー企業の掛け算で起業しようと思ったというのが、ざっくりとした経緯ですね。

角:「人文科学×ベンチャー」。でも具体的に何するの?ってところにはなかなか到達しにくいですよね。

深井:それで僕らがいったん到達したのが、「世界史のデータベースをつくりたい」っていう事業ですね。ベンチャーで1回失敗した後に、他のベンチャーの役員をやってそれなりに成功体験も積んだんですけど、IT系の企業ばっかりで。AIも活用する企業で役員やCxOをやっていたので、ITに対する感度も高かったんですね。だから技術的なアプローチやスタートアップ的な経営スタイルも導入して、歴史というものを新しく切り取り直すと何がつくれるかなっていうことで、「世界史のデータベース」を思いついた感じです。哲学でも良かったんですけど、人文学の中で歴史って非常にとっつきやすいので、まずは歴史をやっているという感じです。

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宮内:なるほど。めちゃくちゃ勇気出るな、その話。例えば自分が辛い時に、歴史上の誰の気持ちに学べばいいかって検索できたらいいですね。検索して高杉晋作が出てきたら…。

角:「自分と同じ苦しみを高杉晋作も味わっている」ってことが分かる。今までのデータベースだと名前で探しますけど、気持ちで探せるみたいなことですよね。

深井:それ、シンプルにすごくいいですよね。そういうのができるようになりたいなと思ったんです。こういう人生を歩んだ人みたいな探し方。でも本当にまだ何も成し遂げていないから、ようやくスタートラインに立てたなっていう感じですね。

角:出雲高校はちなみに理数科ですか?

深井:いや、全然普通に普通科の文系でした。大学は、九州大学の文学部ですね。

角:大学はどんな感じで勉強されていたんですか?

深井:全然真面目に勉強していなくて。本当に史学も全然勉強していないですし。社会学だったんですけど、授業とか勉強とかはあんまり好きじゃなくて。ちゃんとやっていなかったですね。

角:じゃあ何がきっかけで歴史にこんなに詳しくなられたんですか。

深井:きっかけは、父が結構本を読む人で。それをたまたま読んだらめちゃくちゃ面白くて、そこから歴史本を自分で買って読むみたいになっていって。

宮内:独学なんですね。歴史を独学というのかわからんですが(笑)。

深井:完全に独学です。史学を専門的に学んでいるわけではなく、単に歴史が好きで勉強している人です。しかも1つの特定の時代だけが好きなわけじゃなくて。社会学の思考方法って、比較分析と構造理解なんです。だから史学の人ってディティール好きな人がたくさんいますけど、それとはまたちょっとタイプが違いますよね。

角:史学だと、特定の時代の専門性を極めていく感じになりますよね。実証主義史学というか。そこでいろいろなエビデンスに基づいてしか基本語れない、語らないですし。

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宮内:はからずもCOTEN RADIOは「歴史キュレーションプログラム」って言っているから、吉田松陰とキリストの生涯が重なって見えるとか、そういうことを実際に語られたりするじゃないですか。時代を超えて近しい人物像であったり、近しい考え方、生き方が縦横無尽にクロスしていくから、そこにもすごい面白さを感じますね。

深井:史学領域の人からそういう感想は出てこないですね。あまり不用意なことも言わないですし。

宮内:怒られますしね。

角:史学だと似ているとか似ていないとかって言わないです。パラメーターが違うんだから違う話ですみたいな感じになっちゃう。

深井:それが史学の大切なことですからね。社会学は学問の中でもかなりいい加減な学問というか、コメンテーターに近いんですよね。コメンテーターのすごくしっかりした人たちバージョンみたいな。本当は自然科学も証明できていないんだけど、社会科学は本当に証明できないから、最後の最後よく分からないんですよね。「~かもしれない」とか。「こうだったと自分は思う」とか言って終わるんですよ。史学もわりとそうなんですけど。

角:そうですね。解釈も変化していきますし、確かなことは言えないですよね。

深井:仮説検証が基本的にはできない。

宮内:オレの知っていた源頼朝がもう頼朝じゃなかった、みたいなことが起きますよね。肖像画とか。

角:ありますよね。西郷隆盛は西郷隆盛じゃなかったとかもありますもんね。

深井:ありますね、顔が似てないとか言われて。

宮内:COTEN RADIOで取り上げる人物って深井さんがキュレーションされるんですか?

深井:基本的に自分で決めています。その時興味がある領域をやっている感じです。次はこれ勉強しようって自分が思ったやつをやっています。

宮内:じゃあそこを自分で知りたいという欲求があって、それがそのまま番組になっているみたいな。

深井:自分が勉強している感覚が強いですね。自分が興味ない人だったら本当に興味がないから、番組にするのは無理だなって思います。

角:これから興味が出そうな領域って何かあります?

深井:基本的には全領域に興味があって、やっぱり「全体把握したい」というのが僕の欲求としてあるんです。興味ある領域でいくと死ぬほどたくさんあるんですけど、本当は哲学思想系とかも全部把握したいとかも思っていまして。日本史も真面目にやったら、それだけで一生が終わってしまう。しかも歴史以外も勉強したいから、だいぶ捨てないといけないんですよね、一部を。

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宮内:でも好きそうな人の共通点でいうと、アレクサンドロスとか高杉晋作とか、わりと破天荒な方が多いですね。

深井:破天荒だったり、振り切っている人はやっぱりすごい好きですね。「なんでそんなことした?」みたいなことをやる人が好き。常識の範囲内の人ってあんまり面白くない(笑)。「そうするよね~」みたいなことしかしていない人を見ていても面白くないんですけど、「この状況でそんなことする?」みたいなことをやった人はやっぱり面白いですね。

角:アレクサンドロスはすごいですよね。

深井:アレクサンドロスが面白いのは、うまくいかないことですよね。ずっとうまくいっているのに、ペルシア倒したあとにうまくいかないというのがすごく楽しいところですね。項羽と劉邦だったら、項羽の方をやりたいなと思っているんです。明らかに優秀なのに、うまくいっていないというのがすごく面白いな、と。

角:明らかに優秀すぎると自分で全部やりたくなる症候群に陥るんでしょうね。やっぱりかっこいいですよね、項羽は。

深井:劉邦が結構クズだなと思っているんです。でもクズだなと思う人が漢帝国という今の中国のルーツをつくっちゃう。

角:でも人を立てるというか、人たらし感はやっぱりあるんでしょうね、きっとね。

深井:あるんでしょうね、この人きっと。だから項羽を主人公にした方が面白いかなと思っています。

宮内:深井さんがCOTEN RADIOでよく「優秀」って表現を使うのもすごく面白くて。「この人超優秀」みたいに言われると、すごい身近に伝わってくるんですよね。聞いているうちに生きているような気がしていて、最後に死ぬわけじゃないですか。お相手の樋口聖典さん(株式会社BOOK代表)がアレクサンドロスが死んだり高杉晋作が死んだりすると「もういないんですか?」みたいに言うんですよ。あれがめっちゃ面白くて(笑)。

深井:最初から死んでますけれども(笑)。

宮内:最初から死んでるんだけど、本当に生きているみたいに思うから、死んだ後のほわっとした感じが、伝わってくるんですよね。

深井:そこもいいですよね。COTEN RADIOは、死ぬのがいいなと思っていて。最後死んだところまで見れるのがすごく哀愁があっていいなって思います。

角:死にざまみたいなやつが僕も大好きで。『戦国武将の死にざま』っていうムック本をずっとトイレに置いていて。トイレに入るたびに違う人の死にざまを毎回読んで、自分の中で死にざま観をアップデートしているんですよ。戦国武将って死んだ時に空白みたいなやつが生まれて、そこからちょっと歴史が動く感覚があったりして、冒頭に深井さんがおっしゃっていた余白、考える余地があるのが好きなんです。

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深井:面白そうですね。

宮内:僕、松永久秀の死にざまが好きで。

角:松坂久秀、あの平蜘蛛(久秀が所有していた伝説の茶釜)の人ですよね?

宮内:織田信長に平蜘蛛を渡すぐらいだったら死んだ方がいいって。

角:爆死するんですよね。

宮内:死ぬんだけど「爆死」なんですよ。普通切腹、自害じゃないですか。爆死ってなんだよみたいな。

角:粉々にしたかったんでしょうね、平蜘蛛を。

深井:感情のしこりがすごいですよね。あと感情を隠すっていうのも戦国時代にはなかったみたいで。全面に出すことのほうが美徳だったんでしょうね。

角:社会背景というか、その時の道徳観みたいなやつですね。信長が無礼な茶坊主を切ったっていう「へし切長谷部(へしきりはせべ)」って刀があるじゃないですか。あれとかも、「え、そんなことで殺しちゃうの?」みたいな感じがしますね。

深井:信長はやばいですよね。殺すまでのハードルが低いですよ、彼は。今の人に比べたらですけど。当時の中ではそうでもないのかもしれないですが。

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角:当時でも、まあまあハードル低いとは思いますけどね。せっかくなので、深井さんにちょっとネタを。鳥取城の城攻めの話をどこかでやってほしいなと思っていて。吉川経家が守りで、秀吉が攻めていて、鳥取城が飢餓地獄に変わるやつ。攻め手の秀吉側が、兵糧攻めにすると時間がかかって軍資金も大変なので、事前に鳥取城下の周りで米をたくさん買い占めて、そうすると鳥取城内にこもっている将兵が備蓄米を横流しして着服しようとするんですね。

深井:それはすごい。

角:そこまでデザインしているんですよ、秀吉がすごいのは。なので、城攻めに入った瞬間にもうすでに備蓄米がほとんどない状態。

深井:それはすごいわ。

宮内:すごいビジネスモデル。

角:吉川経家は、絶対これもたへんなと思って自分の首桶を持参して城内に入るんですが、そもそも戦争にならへんのですね、その状態なので。

深井:人肉を食ったやつですよね。

角:そう、飢餓地獄ですね。そこまでが当時の話なんですけど、そのあと2000年代になって鳥取城のゆるきゃらのマスコットを募集した時に、応募があったキャラで「かつ江さん」という人がいてですね。鳥取飢え殺しなんですよね。

宮内:不謹慎(笑)。

角:1回採用されかかったんですよ、かつ江さん。げっそりした女性のキャラなんですけど、僕はそのかつ江さんさんがツボってですね。

深井:これは酷いわ。

角:1回採用されかかって、やっぱりちょっとこれ酷すぎるからやめましょうとなったという、後々の悲劇にまで繋がっているわけです。これが鳥取かつ江さん。

深井:「かつ江さん破門」って書いてある。

角:鳥取城のマスコット3日で停止。ハフィントンポストに記事がありますね。

深井:わずか3日で公開中止。鳥取県では有名なんですかね?

角:いやぁ、知っている人だけじゃないですかね。

深井:やっぱりそうなんですね。学校で習ったりするのかなと思ったけど、そういうわけではないんですね。

角:そうでしょうね。だって僕らだって、出雲で尼子十勇士の話とかそんなに聞かないじゃないですか。

深井:全然聞かないですね。大梶七兵衛は習いましたけど。

角:大梶七兵衛は習いましたね(笑)。

深井:本当に誰も知らない。高瀬川つくった人ですよね。久しぶりに思い出した。古志町生まれで、僕が古志町だったんだよな。

宮内:じゃあ先輩なんですね(笑)。

深井:先輩です。400年ぐらい先輩です。

角:僕はギリギリ習っているけど、石見の方では習わないですよね、この人は。

深井:まあ石見じゃ習わんでしょうね。高瀬川が関係ないから。

宮内:地元トークだけでまだまだ行けそうなんですけど、そろそろ時間が…。

深井:いちばん心配なのは、こんな話ばっかりで、記事としては大丈夫なんですかね(笑)。

宮内:いま役に立つか分からないことを大切にしているので、それはなんとかなります(笑)。

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【プロフィール】

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深井龍之介(ふかい・りゅうのすけ)
株式会社COTEN 代表取締役。島根県出身、福岡在住。

新卒で入社した大手電機メーカーの経営企画を2年で退社し独立。新規事業立上コンサルタントとして3年働く。その後福岡でベンチャー企業取締役を2社経験し、株式会社COTENを起業。現在も複数社のスタートアップ・ベンチャー企業の取締役を兼任しながらCOTENの代表を務める。人文学・歴史・社会科学が大好き。3,500年分の世界史情報を体系的に整理し、200~300冊の本を読んで初めてわかるような社会や人間の傾向やパターンを、誰もが抽出できるように世界史の一大データベースを作成するプロジェクトを進行中。また会社の広報活動としてPodcastで「歴史を面白く学ぶCOTEN RADIO」を放送中で2018年末から開始し、2019年にはJapan Podcast Awards大賞とSpotify賞をダブル受賞。Apple Podcast総合ランキング過去最高1位を獲得。

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