楽天大学・仲山進也学長と角勝の「面白がり力」特別授業 「めざせ黒ポンハンター」
熱を持って社会をリフレームし続けるビジネスパーソンと、CEO角勝による対談シリーズ。今回は、Yahoo!アカデミアの運営メンバーである石山 園子さんを招いて、角と楽天大学の仲山学長の二人が「面白がり力」を指南するという趣向でお送りいたします。
前編では、「面白がり力を鍛えるにはアウトプットが必要」という気付きで終わりました。後編では、まさかの黒ポン大喜利大会に!? 聞き手はフィラメントの .コネクター、宮内俊樹です。
*本記事は、2019年5月に㈱フィラメントのコーポレートメディアで公開された記事の再掲です。
【プロフィール】
仲山進也(なかやま・しんや)
仲山考材株式会社 代表取締役/楽天株式会社 楽天大学学長
慶應義塾大学法学部法律学科卒業。シャープ株式会社を経て、1999年に社員約20名の楽天株式会社へ移籍。楽天市場出店者が互いに学び合える場として2000年に「楽天大学」を設立、商売系・チームビルディング系を中心に46,000社の成長パートナーとして活動中
2004年、Jリーグ「ヴィッセル神戸」の経営に参画。2007年に楽天で唯一のフェロー風正社員(兼業自由・勤怠自由の正社員)となり、2008年には自らの会社である仲山考材株式会社を設立、Eコマースの実践コミュニティを主宰している。2016〜2017年にかけてJリーグ「横浜F・マリノス」とプロ契約、「コーチのコーチ」やジュニアユースの育成を手がける。2018年、クラフトビール「よなよなエール」メーカーの「ヤッホーブルーイング」エア社員。
著書『組織にいながら、自由に働く。』『今いるメンバーで「大金星」を挙げるチームの法則』『あの会社はなぜ「違い」を生み出し続けられるのか』『あのお店はなぜ消耗戦を抜け出せたのか』『「ビジネス頭」の磨き方』など
石山園子(いしやま・そのこ)
2013年ヤフー株式会社に新卒入社。
入社後、人事部配属。給与計算や入社手続きなどを担当。
2016年4月より、Yahoo!アカデミアへ異動。
企業内大学として、次世代リーダーの育成を行う。現在に至る
角勝(すみ・まさる)
1995年~2015年、大阪市役所にて勤務し「大阪イノベーションハブ」の立上げと企画運営を担当。2015年、大阪市を退職し、フィラメントを設立。多くの企業で新規事業開発プログラムの構築・実行支援や独自設計したワークショップとコミュニティマネジメント手法を用いた人材開発・組織開発を手掛ける。
2016年には企業アライアンス型オープンイノベーション拠点The DECKの立上げにも参画し、他のコワーキング・コラボレーションスペースのコンセプトメイキングや活性化にもアドバイザリーを提供。
「黒ポン」を取るつもりでインプットする
角:石山さんは、ライトニングトークでスライド作ったりとか、そういうのもないですか?
石山:実はあんまりないですね。どこから始めればいいのでしょうか? ブログでしょうか?
角:ライトに取り組めるものがいいかもしれないですね。別に仕事じゃなくてもなんでもいいので、これについて語ってみたいというのはありますか?
石山:いま現状、語ってみたいものがないんです。その場合はどうしたら?
角:休みの日はどうやって過ごすんですか?
石山:友人とご飯食べに行ったりとか、近所を散歩したりとか。そういうのが大半ですね(笑)。
角:ご飯は何が好きとか。
石山:なんでも好きです。特にお酒が好きなので。お酒を飲むにあたって、おつまみになるようなものがおいしいところとかに行きます。
角:どんなお酒が好きですか? ワインとか、日本酒とか。
石山:ウイスキーが好きです。
角:銘柄は?
石山:日本のが好きです。白州とか、山崎とか。
角:ということは、シングルモルトですか? なら「シングルモルト女子降誕」ですね。noteにシングルモルトの薀蓄を書く。今日のシングルモルトは香りはこんな感じです、とか。
あとは、今日飲んだ白州の18年を擬人化してみる(笑)ちょっとツンデレな感じが、とかね。
石山:擬人化(笑)。ありますね。たしかにちょっと人気出そう。
角:今のは、シングルモルトと女の子を掛け算するという昔ながらの手法です(笑)。
仲山:石山さんは、面白い人が人前で喋ってる場に居合わせる、ということが多いじゃないですか。そのインプットをもとに、感想を書いてみたらどうでしょう?
感想を書かなきゃいけないっていうルールを作って習慣化する。「あ、今日ここ使おう」と、アウトプットする前提で話を聞いてみる。
石山:アウトプットする前提じゃないと、聞いてる話も「あぁ、面白かったな~」で終わっちゃうんですよね。
仲山:そうそう。流れていっちゃう。息って吐かないと吸えないんですよね。
角:いいこと言うなー。今、頭に「黒ポン」が浮かびました。
仲山:黒ポンってなんですか?
角:NHKの『プロフェッショナル 仕事の流儀』では、いいこと言ったときに、黒バックの白抜き文字で、ポーンって出ますよね。あれ、「黒ポン」って言うらしいんですよ。1つの放送で、黒ポンが大体4、5回出るらしいんですよね。いい黒ポンをどれだけアウトプットできるか。今のは黒ポンですよ。
仲山:今の話と一緒ですよね。「黒ポンを5枚つくらなきゃいけない」と思って話を聞いてるから、取れる。
角:そうするともう黒ポン1個取ったね。
仲山:黒ポン、勉強になりました。
角:石山さんも、毎日黒ポンを5個取ろう。日々の生活の中で。
石山:日々の(笑)。そうですね。やってみます。
角:最近、僕もやり始めてます(笑)。だから石山さんだったら、上司の伊藤羊一さんの話から今日は黒ポンを5個取ろうとかやればいい。
石山:伊藤羊一さんがいいことを言ったら、ポーンと(笑)。
「黒ポン本」企画が爆誕!
角:石山さんも、黒ポンを探し始めたら、夢中になると思いますね。
仲山:だってほかの人と比べて、周りにネタがゴロゴロ転がってますよ。石山さんの周りには、黒ポンを言う人しかいない。多すぎてもう苦労するくらいですよ。5分で5個取れちゃう。
石山:そうですね。ネタがゴロゴロありますね。黒ポンだらけ。
仲山:石山さんが「今日の黒ポン」を毎日5個ずつ出していったら、1年で1冊本ができますよ。ほかの人が欲しがる本。
角:なるなる。これヤバい! ヤバいこと考えましたね。日本一の黒ポン収集家(笑)。黒ポンハンター石山が語る…。
仲山:黒ポン本(笑)。
角:そうそうたる人たちが周りにいますからね。例えば、今日は仲山さんから「息は吐かないと吸えない」という黒ポンを収集しました。それはこういうシチュエーションで出た黒ポンです、とか書く。
仲山:見開きで、右のページに「本日の黒ポン」が1行でピッと書いてあって、解説が左にあるとか。
石山:そうか。じゃあ1年経たずにいけそう。
仲山:100日で1冊できます。
角:どの黒ポンがグランドチャンピオンかを選定してもいいね(笑)。黒ポンのグランドチャンピオン選手権大会をnoteでやる。
仲山:Facebookで投票してもいいですね。向こうからフィードバックも返ってくるから、続けやすくなりますよね。
石山:今までも、何かイベントに行った時に、自分の感想を書くということをやっていた時期はあるんですが、続かなかったんです、結局。
でも今みたいに「黒ポン」って言われると、ちょっと楽しいですね。書くことが義務みたいになっちゃうと、つまんなくて。
角:ヤバい。ヤバい。Filamentでこれやりたい。Filamentのコーナーあげるから、書いてくれませんか? 「今週の黒ポン」。
石山:本当ですか? こうやって仕事は生まれていくんだなと気づきました(笑)。
角:黒ポンキュレーター、みうらじゅん的で新しい仕事ですよ。ヤバい。つくっちゃった。VOWみたいにシリーズで何本も出せるよ。業界変えて黒ポン採集に行ったりとかもできそう。町工場の黒ポンとか、ガレージキットのプラモデラーの黒ポンとか、いろんな黒ポンを収集したいね(笑)。鉄道をつくっている人たちとか、インフラ業界の人とかも、すごく良いことを言うと思いますよ。
石山:いいですね。普段あんまり光が当たってない人たちから話を聞きに行って、その黒ポンを本にして。
角:これいいな。これやりたい。
石山:やります?
角:やろう!
仲山:やりたい(笑)。
あと4枚……。気づけば黒ポンの大喜利大会に。
仲山:今の話もそうですけど、自分がおかれている環境って、特に新卒ってそこの会社しか分からないから、他と何が違うのかも分からないんですよね。
だからこんな黒ポンだらけの環境がいかにすごいかってことにも、なかなか気づかない。
例えば、僕も楽天でECコンサルタントとして200店舗を担当していたことがあって、それだけ見たらかなりブラックだし作業的にも膨大です。でも今思えば、200店舗あるからこそ、その中からどんな店舗さんがうまくいくのかがだんだん見えてくる。
あるとき、外部のセミナーに行って気づいたんです。自社のサービスを売るために成功事例を紹介する無料セミナー、よくありますよね。
でも、その成功事例は、その会社のサービスを使ってる10社くらいの中の、一番うまくいった1社の話なんですよね。
一方、僕の紹介する成功事例は、200社分の1。当時は同僚の担当店舗も含めたら数千社分の1。圧倒的にクオリティが高い。それで初めて、楽天市場のデータを分母にできる環境はすごいんだって気づくんです。
石山:最初に給与計算をやってた時も、その頃は気づかなかったんですが、外に出てみると、それに対して質問されたりとか、頼ってくださる方がいて。
仲山:新卒の時点では、その部署内では全員が自分より業務に詳しいから、気づけない。
石山:「自分は駄目だ」と思ってたのが、外に出たら意外と頼られるのって、部署を異動して初めて気づけた。
仲山:東大生は東大にいると、東大生っていうのが売りにならないのと同じですね(笑)。
角:黒ポン出た。
仲山:外に出たら東大生ですけど。
角:これはアレですね。突出した才能があっても、同質の組織の中だと埋もれてしまうということを、分かりやすく表した黒ポンである(笑)。
石山:ちゃんと外に出る、自分を客観的に見てもらえる場所に行くっていうのが大事ってことですよね。
角:例えば、ヤフーの人が地方に行ったら「めちゃめちゃすげえ!」って言われるわけですよ。「どうなんですか? ヤフーって楽しいんですか? 大変ですか?」とかいっぱい聞かれますよ。
石山:まさに「1分で話せ」のイベント(Talk Your Will)で、いま全国を行脚しているんですけど、すごい言われますね。
仲山:東京で働いてる時点で、周りは黒ポンだらけですよ(笑)。結局、みんな同じ場所にずっといると、そこら中に黒ポンが落っこちてるのにも気づかなくなっていくんです。
角:同じ光の当たり方をしている状態がずっと続くと、そういうものだと思ってしまうんですけど、全然別のところで光の角度がまったく違ったりすると、それは別物に見えてめちゃくちゃ輝いてるってことに気づく。
仲山:地球上で、同じところに立ってる人は1人としていないじゃないですか。なので結局は、自分が立ってる場所をどこまで掘るか? みたいなことなのかな、と。
自分の立ってるとこを掘りつくすと、例えばイチロー選手くらい掘りつくすと真ん中に行くじゃないですか。で、真ん中で出会った人は全員「あぁ、ここまで掘ったんだー!」みたいな感じになって、意気投合する。
角:地球レベルで考えるんだ。すごい。
仲山:そこまで行くと、きっと全員話が合うんですよね。「今までこういうことあったんだけど、どう?」「あったあった!」とか、「お前がやってることの意味がわかんねえとかみんなに言われたよね」「分かる分かる~!」とか。なので、何をやるかよりも、どこまで掘るかの方が大事な気がする。
石山:掘ってみないと出会えないわけですもんね。その人たちと。
仲山:「ここはちょっと掘る気がしません」とかいってウロウロしてる人って、穴の深さはゼロじゃないですか。そうすると、あんまり相手にしてもらいにくくなりますよね。ゼロな人同士で、くだ巻いてるぐらいのことしかできなくなっちゃう。
角:「穴を掘る」のはいいね。今のも黒ポンだ。黒ポン連発ですね、今日は。
石山:ほんとですね。「何をやるかよりも、どこまで掘るか」。
角:いやぁ、いいですね。掘ってないやつはどこまでいってもゼロだ。痺れるね。
石山:ちなみに掘ってない人は、どうしたら掘るようになるんですか?
仲山:自分のところをとりあえず掘ってみて、気づくことが大事ですね。
石山:ゼロの人は、掘るっていう意味を知らない状態ですね。
仲山:自分を楽しくしてくれるサービスを受けるために、ここに立って待っているだけ、みたいな人が多いんですよね。
角:掘るっていうのは、「なんらかのアクションをする」っていうことですね。それは「仕事を一生懸命やる」でもいいし、「何かのアウトプットを出す」でもいいし。
楽しくて夢中になれることがあったら普通に掘るんだけど、それがないと、「誰かが探して持ってきてくれるんじゃないか」って思っちゃう。
仲山:そういう人って、夢中になれるものとなれないものは、もう決まってると思ってるんですよね、「これはつまんないから夢中になれません」みたいな。
でも面白がり力って、「どう見てもおもちゃに見えないもので、どうやったら遊べるか」ということだと思う。で、結果として、ジュースの空き缶から「缶蹴り」を発明するみたいなことになるわけですから。
石山:確かに。確かにそうですね。
面白がり力に必要なのは、「退屈耐性の低さ」
仲山:最近、「退屈耐性が低い」って表現を思いつきまして。
石山:退屈耐性?
仲山:退屈耐性が高い人は「退屈だな」って思いながらも我慢して、ずっと退屈な仕事をやっている。僕は退屈耐性がすごく低いんで、「退屈だな」って思ったら、「どう面白くしようかな?」って発想になる。それって、子どもの時に遊びでやってたことと同じだなっていう。
角:なるほど。
仲山:子どもが遊んでる時って、みんな退屈耐性が低い。公園でみんなでサッカーしてて点差が開きすぎたとき、退屈だなって思ったやつは帰っちゃう。人数減ったら困るから、帰られないように、ほかのことやろうかとか、チーム変えようか、ハンデつけようかとか、いろいろ考えるわけです。
要は「今日は遊ぼう」と思って「退屈だな」って我慢してる人なんていない。必ず楽しくなるまでいろいろ工夫をするじゃないですか。仕事も同じだと思えばいいだけなんです。「退屈耐性が高くて、仕事を遊んでないから駄目なんだ」っていう。
角:役所の人たちは、嫌々やってるわけじゃなくて、やらなくちゃいけなくなってるから、異動でその部署に行ったら「やらなくちゃね」みたいな感じで、一応掘るのは掘ってる。でも、掘ってるふりとか、あんまり掘らないっていう人もいる。流動性が極端にない世界だったから、とりあえず掘るしかないみたいな感じだったんですよね。
一方で、今の石山さんとか東京の若い人たちだと、そうでもなく、別の会社に移ったり、辞めたりする感じなのかな?
石山:そういう人もいますが、そういう人じゃない人の方が多いですね。
ヤフーは外から見ると安定してそうだし、そこで与えられた仕事をやっていれば、とりあえず生活が保証されてると考える人は、多いような気がします。
角:ちょっと公務員っぽい。楽天だとどういう感じなんですか?
仲山:僕が入社した時は、まだ楽天は20人で、部署も分かれていなくて。ECコンサルタントとして自分の範囲だけで決められることもあったから、その範囲で店舗さんとたくさんやりとりをしてるうちに、いつの間にか仕事ができるようになっていた、という感じだった。
分業化されすぎた弊害ってあると思うんですよね。今は、営業担当も、自分だけで決められないことが増えているだろうから、店舗さんと遊びにくくなっている、というところはあるかもしれません。たとえば商品の改善提案をお客さんからもらった時に、自分がそれを変えられるのか、変えられないのかで全然違いますよね。もし変えられるなら、少し変えただけですごく喜ばれるし、「こうすると喜ばれるのか」という学びにもなり、「もっとやろう」という気持ちにつながる。
角:なるほどね。例えば、仲山さんが、既に分業化された会社に入社したとしたら、どうやってそれを突破したり、次のステージに行こうとしますか?
仲山:その状況になってみないと分からないですけど・・・。でもどんなに小さくてもいいから、自分で全部決められる何かのプロジェクトを見つけると思います。言われた仕事と関係なくてもいいから。商売って結局、お客さんにどうやって喜んでもらえるかっていうゲームみたいなものじゃないですか。
角:20代だとそういうゲームのルールを、今みたいな洒落た言葉でなかなか表現できないっていうか、つかめない。Yahoo!アカデミアみたいな、ちょっと異質な場所で違う経験をするのが、突破口になるのかもしれないですね。
お客さんからの「たまごち」をチームで共有する
仲山:分業化されていたとして、結局、その商品自体は自分で変えられないとしても、自分が何か価値のあるものを企画して、それを自分でつくって届けるということは、全員がやれるじゃないですか。自分の範囲内で。それをちゃんとやるっていう感じですか。
石山:そうですね。
仲山:給与計算の自分の担当業務の中でも、ちょっとは自分なりの企画をするわけじゃないですか。業務に気づきを足してみたり、改善してみたりして、お客さんに喜ばれるみたいな。つくって、自分でデリバリーもやって、お客さんからのフィードバックももらう、っていうのをちゃんとやる。分業マインドだと、「ここまでやったらこの先はもう関係ないからこれぐらいでいいや」みたいになりがちです。
角:なりますね。
仲山:楽天の出店者さんで「スイッチ」が入る典型パターンは、今までメーカーとか卸しとかしかやってなかった人です。
お客さんから「とっても良かったです。ありがとうございました」みたいなメールなりレビューなりが入って、「こんなこと言われたの生まれて初めてだ」って。小売りの人ですら、「俺も20年ぐらい店番してるけど、こんなにありがとうって面と向かって言われたことは1回もなかったから、ネットショップは楽しいよね」という人がいます。
角:褒められる、ありがたがられる。そういった喜ばれているフィードバックは、最高に嬉しいですよね。
仲山:基本、社内の人って「ありがとう」って言わないですよね。やって当たり前って思ってるから。
角:給与計算とか、特に言われないですよね。大阪市役所でもそうでした。人事の人と飲みに行ったら、絶対その話を聞くんですよ。「なんかもう全然ありがたがられないんだよ」みたいな。
仲山:ITでいうと、開発運用の人とかもそうですよね。サーバーが落ちたらめちゃくちゃ怒られる。
角:落ちなくても何も言われないのに。
仲山:そういえば、急にトラフィックが増えてサーバーが落ちたときに、店舗さん向けのメルマガに「申し訳ありませんが、開発のみんながいま頑張っていますのでお待ちいただければ幸いです」と書いて送ったら、「頑張ってください」って返信が来ました。それを開発の役員に転送したら、みんなに共有してくれて。開発の人にめちゃくちゃ喜ばれました。おまけに「仲山はいいヤツだ」とも思ってもらえたみたいで(笑)。
角:すごくいい話ですね。まさに「たまごち(魂のごちそう)」ですね。
仲山:僕はただ、来たものをパスしただけのに、超ラッキーです(笑)。
僕はチームビルディングの相談を受けることがよくあるんですが、工場の人とEC事業部の人が仲が悪いというわけです。話を聞くと、ネットに毎日のように来てる「たまごち(お客さんからのありがとうメッセージ)」を一切共有してないわけですよ。それを共有したら、めっちゃ仲良くなって解決した、みたいなことがよくあります。だから、みんな問題を難しくしすぎなんじゃないですかね。
「返ってこない」も学び・フィードバックに
石山:ちなみに、どうやったら企画力が上がるんでしょう?
仲山:僕の場合の企画力は、お客さんと雑談していて、「こんなのあったらいいのにね」って言われたことを「じゃあ実際にやりますか」って言うだけです(笑)。
石山:なるほど、シンプルすぎる(笑)。
仲山:例えばお客さんと喋っていて、合宿やりたいっていう話が出たので、メルマガに「今日◯◯さんと喋っていて、合宿やりたいねという話で盛り上がりました」って書いたら、「行きたい」っていう人から30人ぐらい返信がきて。「すみません。参加したい人が30人集まっちゃったんですけど、やってもいいですか?」って社内に確認したら、「赤字になんなきゃいいんじゃないの」と言われて、合宿実現(笑)。そのあと何年も続くロングセラー企画になりました。
角:僕も似たような経験があります。最近は「社内のツールで何を使ったらいいか分からない」というのをFacebookで書いたら、めちゃくちゃいろんな人がコメントつけてくれた。これをちゃんと集めてコンパイルしたら、そういうメディアもつくれそうだなって。
石山:結果として気づくんですね。
角:フッとした会話の中にヒントがあったり、これ困ったなって時にそれを発信してみる。ニーズがあるのかどうかも、それで分かったりする。
仲山:発信するとリアクションが返ってきますよね。みなさん「企画」っていうと、やってもいないのに、「これでうまくいくはず」っていうプランや目標を無理やり書いて「本当にうまくいくのか?」って承認者に言われて、「分かりません」ってボツになるパターンが多い。
角:いま使っているLenovoのパソコンも、どっちがいいですかっていうFacebookの投票で決めたんですけど。その時にこのパソコンについてのいい点・悪い点もコメントでたくさん集まって、それをLenovoの人に共有したら、めちゃめちゃ喜ばれた。ので、とりあえずなんかワンアクションしてみるのは大事です。
仲山:とりあえずアウトプットですね。アウトプットしていると、「これはリアクションが多い」っていうのが分かるので、気づきも得やすいです。ちゃんと100点に仕上げないと投稿しちゃいけないってみんな思いがちだけど、そんなことないんですよね。
石山:私の場合も、まさにその、100点じゃないと出しちゃいけない病ですね。Facebookを出すのも、「ちゃんとしたもので出さなきゃ」みたいな思いが強すぎて、「発信するのやめとこう」ってなりがち。
角:それだと鍛えられないよね。
仲山:結果として、100点までいかないから何も喋らない人と、その100点の基準が低すぎてくだらないことしか喋ってない人がFacebookにあふれるのかも(笑)。
石山:切ない場所ですね(笑)。
仲山:何かを喋ったら、とりあえず何かは返ってくるのに。
石山:「なにも返ってこないかもしれないのが怖い」というのもあります。
仲山:それでも「返ってこない」という学び、フィードバックがあるわけです。
角:さっきの社内ツールについての投稿でも、普段は全然コメントしてない人がコメントしてたりするんですよ(笑)。
仲山:響いたんでしょうね。それに、いいね!が少なかったから、あんまり見られてないとも限らないですよね。子どもネタに、すぐ100とか200とかいいね!がつくのに、仕事で大事なことに20ぐらいしかつかないみたいなことはよくあります。
角:あるある(笑)。
仲山:でも子どもネタでそれだけつくってことは、みんな見てくれてはいる、リアクションしたいとは思わなかったけど見てるんだなっていう推測が立ちます。でもそれも子どもネタを投稿していなかったら、分からないわけですよ。「みんな見てないのかな?」って思っちゃう。
角:日々の学びだ。 日々の学びですよ!
仲山:とりあえず出していこう。
石山:そうですね。出していきます。
角:黒ポンハンター石山園子、ここに爆誕(笑)。
取材協力/HAB-YU
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