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お米とマスクと思いを届ける燕市。鈴木市長にお話をうかがいました 2/2

新潟県の燕市(つばめし)の鈴木力市長インタビューの後編です。フィラメントはハッカソンやワークショップにて燕市さんのサポートをさせていただいています。
『燕市への帰省を自粛する学生さん応援対策』や『フェニックス11』など独自の取り組みをスピーディーに進めています。そんな燕市が考える、これからの地方都市の役割やファンづくりのコツについてお話をうかがいました。
(取材・文/QUMZINE編集部、岩田庄平)

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【プロフィール】
鈴木 力(すずき・つとむ)燕市長
1960年生まれ。1983年早稲田大学政治経済学部卒業後、同年新潟県庁へ奉職。知事政策局政策監などを歴任後、2010年新潟県庁を退職。同年燕市長選挙に初当選し市長就任。(現在3期目)

首都圏と燕市出身の学生のLOVEをつなぐ「燕 LOVE LOVE 大交流会」

角:2019年12月に東京で開催されたイベント「燕 LOVE LOVE 大交流会」は、燕市の人に寄り添うという優しい目線に合わせて交流が行われたと思います。その取り組みの背景や成果をお伺いしたいです。

鈴木市長:もともと燕市は首都圏の学生たちのインターンシップの先進地になろうと考えていまして。これすごいんですけど、民間企業が燕市の持っている空き家を壊した土地に、「自分たちで建物を作るからインターンシップで利用させてくれないか」と提案があって、学生を受け入れていたんです。そこで、燕市をもともと愛している東京つばめいとの学生たち(LOVE)と、インターンシップで燕市に来てくれて燕市を愛してくれた人たち(LOVE)に交流してもらい、彼らの何か新しい発見や地域の今後に生かせるアイデアをもらうことができないかということをやったのが「燕 LOVE LOVE 大交流会」なんです。

そのときのワークショップでツールとして導入したのが、フィラメントさんと「TSUBAME HACK!」のときにやった「ストーリーカードメソッド」。燕市の課題や世の中のトレンド、強み・弱みをカードに書き出して考えるワークショップをやりました。


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*「燕 LOVE LOVE 大交流会」ワークショップの様子

角:ありがとうございます! ご相談いただいて、フィラメントのストーリーカードメソッドを少し燕市に合うようにカスタマイズして、「TSUBAME HACK!」のときに担当だった山崎さんにお渡ししました!

鈴木市長:「TSUBAME HACK!」でしっかりノウハウを学び、今回、取り入れました。

角:市長も当日は会場に行かれたと思いますが、盛り上がっていました?

鈴木市長:盛り上がっていましたよ。こういうイベントに集まってくるのは意識の高い学生が多くて、何か良い提案をしようとか、アイデアを考えようとか積極的に発言がありました。

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*燕市用にカスタマイズされた「ストーリーカードメソッド」と鈴木市長

角:若者は最近だと受動的に何かを受けるよりも、自分で主体的に行動して、その結果が見えることに満足感を得たり、そこでのつながりを大事にしようと感じたりするので、ぜひそういった学生が燕市に愛着をもって、就職したいと思ってくれればいいなと僕らも感じています。

山崎:実は、ワークショップの時間が「TSUBAME HACK!」の4分の1くらいしかなくて、ちゃんとできるのかすごく不安でした。しかし、ストーリーカードメソッドを利用したことと、参加した学生が非常に優秀だったので、限られた時間でも、すごく良い意見を出して頂きました。例えば、燕市に来たいと思ってもらうために「大人の修学旅行」を考えたらどうかとか、SNS、YouTubeで情報を発信したらどうかなど、すぐにでも実現できるアイデアがたくさん出てきてびっくりしました。

角:コロナが収まったら、ぜひまた取り組めるといいですね。

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*「燕 LOVE LOVE 大交流会」の様子

今後の地方都市の役割とは?

角:過去の様々な危機を乗り越えてきた知恵の集積と、若い力を取り込んで新しいことへチャレンジすることを両軸にしていると思いますが、これから変化していく時代に「ひと」「もの」「まち」という観点から、「地方都市の役割」についてどうあるべきかをお聞かせください。

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*インタビューの様子(左が鈴木市長、右がフィラメント角)

鈴木市長:新型コロナウイルスの問題が終わるころには、世の中はがらりと変わっているかもしれない。それに対応できる地域や企業を作っていける、ある意味ではチャンスと捉えるべきかもしれないと思っています。地方はこれからどんどん人口が減っていくという課題がありますが、地方のほうが安全で自然も豊か、生活コストも安くていい生活やいい仕事ができるのではないかと、発想を変える提案ができる。

そして、それを実現できる企業をサポートしていくことが大切です。いまは経済対策、売上減をどうするか、落ちた需要をどう喚起するかが中心ですが、これからの補正予算の議論としては、新しい生活様式に対応していくために何をすれば良いかのアイデア出しをしようと投げかけています。

ひそかに考えているのが「オンライン見本市」です。これまで燕市では「燕三条ものづくりメッセ」「燕三条 工場の祭典」といった事業を実施していました。しかし、いまの状況では人が集まる事業なんてできませんよね。でもオンラインなら開催できるのではないかと思うんです。新しい事業開拓のチャンスが生まれるという事を企業に伝えて、新しい生活様式、これから変わるであろう世の中に対応することを促進したいとひそかに目論んでます。

角:アフターコロナを考えた政策もお考えなんですね。

「経営者が多いまち」。それが燕市

角:今回のコロナ禍で地方自治のあり方や重要性についてかなりの方が認識されました。これほど地方が注目されることは今までなかったと思いますが、何をする事がポイントかを教えていただけますか。

鈴木市長:こういった危機や災害にこそ、基礎自治体、市町村は先を考え、目の前の現実をしっかりとらえながら取り組むことが必要です。それができる自治体とできない自治体では差が広がってしまうかもしれない。

私は、他の自治体の首長もやりたいアイデアをたくさんお持ちだと思うんです。しかし、残念なことに休業要請と支援策が典型ですが、地方は財政的に厳しいのでなかなかできずに躊躇してしまう。だから、地方に財源と権限を下ろしていくことが必要なんです。

燕市が考えたことをやれるのは、昨年のふるさと納税によって全国から支援をいただいた42億円のおかげです。今回の「フェニックス11」でもクラウドファンティングで10億円を集めようと取り組んでいます。5月1日からはじめて、すでに1140人の方から5000万円の応援(2020年5月15日時点)をいただきました。達成できるか確信はありませんが、応援してくださる人はいっぱいいるのではないか、と。

本来、市町村は国の交付金の範囲の中でやれることを考えますが、ふるさと納税で財源を確保することで、結果的に企業や産業が守られれば、全国の人達にお礼ができる。こういった取り組みこそ、燕市が他よりも先にできている点です。

角:返礼品もですが、もともと燕に愛着をもって、応援したくなるという形になっています。ファンづくりのポイントやPRのポイントはありますか?

鈴木市長:国が最近「関係人口」という言葉を使っていますが、燕市は「応援人口」という概念を日本で最初に言い出しました。入口として作ったのが、ヤクルトスワローズの名前の縁で、スワローズファンを燕市のファンになっていただこうというところから始めて(笑)。

とにかくいろんなことを頑張っています。おかげでいろんなメディアに取り上げてもらいました。実はこっそり、燕市が首都圏でどれくらい認知度が上がっているかを定点観測しているのです。『下町ロケット』の時にぐんと跳ね上がり、学生応援でまたぐんと跳ね上がっていますね。

角:これはすばらしい。学生応援第二弾で実施された「背脂ラーメンを届ける」のも素晴らしいと思いました。

鈴木市長:昨日(取材日:5月15日)、第三弾を発送したんですよ。お菓子の詰め合わせ、コーヒーとそれ以外に就学支援金10万円を貸与し、燕市でインターンをしてくれたら返済の必要ありませんという案内を送りました。

角:しっかり支援もしながら、「東京つばめいと」を強化する流れが作られていることがすごいと思いました。ちゃんと施策が循環していて、情報のプッシュの導線が強化されていく。ちゃんとループできるように設計させているのが素晴らしいと思いました。

鈴木市長:経営するという感覚でやっていますから(笑)。

角:さすが「経営者が多いまち」といわれる所以ですね。

鈴木市長から日本に向けてメッセージ

角:最後に人に寄り添う優しさという自治体として、これからの日本に向けてメッセージがあればお願いしたいです。

鈴木市長:難しいな(笑)。そう、日本人はみんな優しい気持ちを持っていて、それって日本のいいところですよね。ですから日本全体が人に寄り添いながらやっていけば、きっと日本はコロナ禍を乗り切れると願っています。

角:ものすごく優しい気持ちになりました。燕市がこれからも新しいチャレンジをして、こういうことができるんだっていうことを世の中に広めていく地方都市の牽引役として期待しております。

鈴木市長:燕市の目標像は「日本一輝いているまち」ですから。

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*燕市のサイトの左上には燕市のロゴと「日本一輝いているまち・つばめ」の文字が書かれている


(前編はこちら)

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