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×ユカイ工学でビジネスにもユカイを vol.3 | 寝室に新しい意味を持たせた『popIn Aladdin』ヒットの秘密と、これからの新商品開発とは。 ミニレポート

シーリングライトの端子に装着することで、壁面にプロジェクターの映像を映し出すことのできる革新的なデバイス「popIn Aladdin」。開発したpopIn株式会社はそれまでハードウェアを開発したことのないコンテンツの会社でした。そこでユカイ工学に試作機の開発を依頼したところ、3ヶ月というスピードで完成したといいます。popIn株式会社は試作機の開発になぜユカイ工学を選び、また、どうして短期間で完成させることができたのでしょうか。2020年12月18日にpopIn株式会社の代表取締役・程涛さん、ユカイ工学のCEO・青木俊介さん、そしてファシリテーターとしてフィラメントのCEO・角勝が登壇するオンラインイベントが開催され、この革新的デバイスが開発された経緯について語りました。(文/QUMZINE編集部、永井公成)

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まずはユカイ工学のCEO・青木さんから事業概要の説明。

ユカイ工学は「2025年には一家に一台ロボットのいる社会」の実現を目指すロボティクスベンチャーです。コンシューマ向けにロボットの企画・開発をするほか、社内のデザイナーや技術者が企業向けにB2Bのサービスも行なっています。開発やデザインが同じチームで一気通貫してできるのが特徴で、音声認識やBLEが得意分野です。デザイン分野ではグッドデザイン賞やreddot design awardなどの受賞実績もあります。

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プロダクト開発の流れとしては、ワークショップを通じてコンセプト設計から一緒に開発することもあれば、すでにやりたいことが決まっている場合は、3〜6ヶ月かけて試作機を開発することもあります。プロダクトのローンチ時期や、クラウドファンディングについてのサポートをすることもできます。量産や事業化にあっては、社内に量産専門エンジニアが在籍しているほか、OEMのメーカに製造を依頼して工程管理をするサービスも行なっています。

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次に、イベントの前日にクラウドファンディングが終了したBOCCO emo(ボッコ エモ)について紹介しました。

BOCCO emoは5年前に発売したBOCCO(ボッコ)に続くコミュニケーションロボットです。クラウドファンディングプラットフォームのCAMPFIREで60日間に渡って合計で1,467万円の資金を調達し、2021年1月中旬の出荷に向けて準備を進めています。Wi-Fiモデルは2021年3月ごろに一般販売も予定されています。

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ユカイ工学ではこれまでに様々なクラウドファンディングのプラットフォームを使い6回のキャンペーンを行ってきました。B2Bのビジネスでもこの経験を活かしてサポートを行っています。一般的にクラウドファンディングは資金調達、在庫リスクの低減、テストマーケティングがメリットとして挙げられますが、キャンペーンをすることでメディアに取り上げられやすい話題作り、製品を一緒に育てるような応援者作りができることもメリットと言えます。

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続いて、popInの代表取締役・程さんが「popIn Aladdin」の開発の経緯について説明。

程さんはもともとソフトウェアを開発することが多く、ハードウェア開発についての経験や知識はありませんでしたが、3児の親として、家にいながらにして子供の世界観を広げたいと思い「popIn Aladdin」を開発するに至りました。

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大画面で親と子が一緒にすぐコンテンツを観られる状態にし、現在の紙ベースの学習ポスターを色々なコンテンツに切り替えられるようにしたいと考えました。当初は家電量販店で売られているプロジェクターを8個買って自宅のあちこちに設置したのですが、生活の動線にはケーブルが邪魔だったり、子供が光源をのぞき込んで危なかったりという危険がありました。

また、IoTには既存の家電と違い「置くべき場所がない」という問題にも気づきました。そこでこれまでの問題を解決し、給電方法を確保し、接触頻度も担保できる場所として、引掛シーリングを活用することを思いつきました。引掛シーリングは日本のみで使われている技術で、天井に物を簡単に取り付けられる仕組みです。

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さっそく会社に申請して新製品開発を進め、試作機を作るとなった時に、ハードウェアに詳しいユカイ工学の青木さんを思い出し、試作機の開発を依頼しました。3ヶ月という短期間で試作機を作ることは簡単なことではないと思いますが、ユカイ工学ならやってくれるのではないかと期待していました。popInはもともとハードウェアを作っている会社ではなかったので、実際に3ヶ月で試作機が完成すると社内でも驚かれました。

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現在は、教育コンテンツや時計など、表示できるコンテンツを広げています。子供はなかなか夜ベッドに入ってくれないものですが、絵本のコンテンツを入れることでベッドに入ってくれやすくなったという話もありました。

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プロジェクターはエンターテイメント目的が当たり前というイメージがありましたが、さらなる可能性を考えたいと思っています。

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青木さんは「試作モデルなのでCEATECに出展してメディアの注目を集めつつ、クラウドファンディングのキャンペーンを行い、製品をローンチしていくことを提案しました」と当時を振り返りました。Kickstarterでのキャンペーンが終わった後、すぐにMakuakeでもキャンペーンを行い、また同時に量産準備を進めました。Makuakeでは結果的に7,400万円もの資金が集まりました。

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青木さんは程さんから初めて話を聞いた時に、子供に使わせたいプロダクトというところに共感しました。そして、Messengerで連絡をした後にすぐに来社するなど、程さんのスピード感がすごかったので、ぜひ形にしたいと思いました。程さんが実際に市販のプロジェクターを引掛シーリングで設置したデバイスを試作していたので、すでに実現可能性はある程度あると思いましたが、実際にはハードルとして引掛シーリングの耐荷重の中でのデザインや音質、スピーカーの配置がありました。

また、初期のデバイスはスマートフォンのアプリで操作するもので、ユカイ工学にデバイスのAPIを作ってもらい、popInがアプリを自社開発して連携しました。

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量産化にあたっては、程さん自らがプロジェクトリーダーとして積極的に動き、ユカイ工学はEMSメーカーの紹介や製造見積もり依頼をサポートしました。程さんは「ハードウェア開発の常識を知らないから逆にわがままに動けた」と言います。

スタートアップにとって家電量販店の売り場に大きなポップを置くことは難しいことですが、クラウドファンディングの実績を強調し、商品に共感してもらった上で、ミニマムスタートで始めることで実現しました。

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最後に、ユカイ工学とpopInの2社による共創サービスのこれからの展望について語りました。程さんは「popIn Aladdinを通してハードウェアの面白さについて知ることができました。まだアイデアはあるので、ぜひユカイ工学さんと一緒に開発していきたいです」と述べ、青木さんは「BOCCO emoも子供が安心して使ってもらえるような製品にしていきたいと思っています。popIn Aladdinのプラットフォームとも連携して相性の良いサービスを作っていければ良いですね」と話し、イベントを締めくくりました。

今回のイベントの全編は以下からご覧いただけます。


■全3回シリーズを振り返る

ユカイ工学とフィラメントの共催オンラインイベントシリーズは全3回でお送りしました。それぞれのミニレポートとイベントの動画アーカイブは以下から参照できます。

第1回
×ユカイ工学でビジネスにもユカイを vol.1 | セコム×ユカイ工学が目指す、ウェルビーイングな世界とは? ミニレポート


第2回
×ユカイ工学でビジネスにもユカイを vol.2 | NTTドコモや三菱地所パークスが、ユカイ工学と仕掛けるウェルビーイングな新規事業とは? ミニレポート


【プロフィール】

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程 涛 氏
popIn株式会社 代表取締役 


1982年中国・河南省生まれ。東京工業大学卒業後に、東京大学情報理工学研究科に進む。2008年修士在学中にpopIn創業。
2015年バイドゥと経営統合。 2018年照明一体化プロジェクターpopIn Aladdin開発と発売。

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青木 俊介 氏
ユカイ工学株式会社 CEO 


東京大学在学中に、チームラボを設立、CTOに就任。その後、ピクシブのCTOを務めたのち、ロボティクスベンチャー「ユカイ工学」を設立。「ロボティクスで世界をユカイに」というビジョンのもと家庭向けロボット製品を数多く手がける。2014年、家族をつなぐコミュニケーションロボット「BOCCO」を発表。2017年、しっぽのついたクッション型セラピーロボット「Qoobo」を発表。2015 年よりグッドデザイン賞審査委員。

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角 勝
株式会社フィラメント CEO

2015年より新規事業開発支援のスペシャリストとして、主に大企業において事業開発の適任者の発掘、事業アイデア創発から事業化までを一気通貫でサポートしている。前職(公務員)時代から培った、さまざまな産業を横断する幅広い知見と人脈を武器に、必要な情報の注入やキーマンの紹介などを適切なタイミングで実行し、事業案のバリューと担当者のモチベーションを高め、事業成功率を向上させる独自の手法を確立。オープンイノベーションを目的化せず、事業開発を進めるための手法として実践、追求している。


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