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ヤフー伊藤羊一・フィラメント角勝が語るYahoo!アカデミアカンファレンス舞台裏

2018年2月14日、Yahoo!アカデミアカンファレンス2018が開催。CEO・角も招待いただき参加しました。そのレポートと、伊藤羊一さん×角の対談記事を面白法人カヤック 広報の渡辺裕子さんにご執筆いただきました。渡辺さんはYahoo! アカデミアで使われているケースライティングを多数手がけるほか、2017年4月には「linotice」『「100年続く会社をつくる人を育てたい」Yahoo!アカデミア責任者・伊藤羊一が考える、新たなリーダー育成の方法論』の記事を掲載するなど、Yahoo! アカデミアの挑戦を目の当たりにしています。まずはそんな彼女が引き出した伊藤羊一さんと角の対談をお楽しみください。

【プロフィール】

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伊藤羊一(いとう・よういち)
日本興業銀行から2003年プラス株式会社に転じ、流通カンパニーにて物流、マーケティング、事業再編・再生に従事。2012年執行役員ヴァイスプレジデントとして、事業全般を統括。 2015年4月ヤフー株式会社に転じ、企業内大学Yahoo!アカデミア学長として、次世代リーダー育成を行う。またグロービス経営大学院で教壇に立つほか、株式会社ウェイウェイ代表として、リーダーシップ開発、様々なインキュベーションプログラムで事業開発サポートも行う。 著作「キングダム 最高のチームと自分を作る(かんき出版)」「1分で話せ 世界のトップが絶賛した大事なことだけシンプルに伝える技術

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角勝(すみ・まさる)
大学で歴史を学んだ後、大阪市に入職。在職中にイノベーション創出を支援する施設「大阪イノベーションハブ」の設立・運営に携わったのちに2015年3月大阪市を退職。各地でオープンイノベーションの支援、ハッカソンの企画運営を行っている。


–Yahoo!アカデミアカンファレンスが閉幕しましたね。

伊藤:昨年の秋頃から、いろいろ準備は進めていたんだけど、本格的に着手したのは年明けからで(笑)。角さんにずっと相談していたんだよね。

角:壁打ちしながら(笑)。

伊藤:Yahoo!アカデミアってなんだろうって、ずっと考えていたんだよね。単なる教育の場というより、人が集まって、オープンイノベーションが生まれる場なんだろうと。

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(角もまた、カンファレンスの参加者としてイノベーターたちとの交流を深めた)

角:ぼくがフィラメントでやっているのは、異なる領域のものを組み合わせたり、イノベーションを生み出すということ。ヤフー社内でも、オープンイノベーションの推進や、オープンコラボレーションスペース「LODGE」の運営に関わっていて、そうした場づくりだったり、Yahoo!アカデミアの目指す方向と親和性があった。

伊藤:Yahoo!アカデミアをヤフー社内から開かれた場にしようという方向性は明確だったんだけど、とりあえずカンファレンスやってみるかという(笑)。

角:面白かったですね。本当に多様な人たちが来ていて。お互いにリスペクトしながら話ができるのがよかった。

伊藤:「フラット」「フリー」「ファン(楽しさ)」にはこだわったんです。組織のヒエラルキーとか関係なく。大企業やスタートアップの社長もいれば学術畑の人もいて、NPO代表もいれば、書道家もベンチャーキャピタリストもフリーターもいる。で、みんなでフラットにディスカッションできる場をつくりたいなと。

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(書道家 前田鎌利氏による、書のライブパフォーマンス)

その場の作り方は、インクルージョンジャパン(ICJ)の吉沢康弘さん、服部結花さんに相談しました。一枚の、輪になって人が議論している写真を見せて、こんな感じで、フラットな議論をしたいんだけど、と相談したら「羊一さん、バッチリな方法あるんですよ」と、Open Space Technology(OST)の手法を紹介されました。彼らと一緒に実験ラウンドやリハーサルを重ねて、「フラット、フリー、ファン」な場が実現できました。

角:フラットに議論できる環境というのは、オープンイノベーションが生まれるひとつの条件ですよね。

伊藤:フラットかつ多様性という点では、学生にもきてほしかったんですよね。で、平場でみんなで議論できるという。今回はほかに呼びたい方が多すぎて実現できなかったんだけど(笑)。

角:学生に参加してもらうのはすごくいいですね。以前、復興庁の仕事で、被災地の高校生も呼んでアイデアソンをやったんです。成長していく様子がすごかった。ぼくがフィラメントをやりたいことでもありますが、機会と場を創出することで、人や企業を変えていけると思う。

伊藤:そうそう。Yahoo!アカデミアも同じです。企業内大学ではあるんだけど、教育しているつもりは毛頭なくて、場ときっかけをつくっているだけ。教育プログラムを考えるんじゃなくて、場をつくるのが重要だと思っています。人が気づきを得るのは、インプットを通してじゃなくて、対話や内省を通じてだと思うんです。

今回のカンファレンスも同じで、お願いしたことはただ「対話してください」ということなんだよね。ぼくはタイムキープくらいしかしていない(笑)。

角:今回も半日議論したけど、その場で結論なんか出ないですよね。議論して、なんかモヤモヤが残って、それを考え続けて、自分なりの答えにたどり着いて、一歩を踏み出すことが重要なんだと思う。

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伊藤:今回のカンファレンスで「Yahoo!アカデミアは公共財を目指す」と明確に打ち出しました。テーマも「明日の日本を創るリーダーシップ」として。とはいえ、ヤフーという一企業がやっているので、ヤフーの中でどうこのカンファレンスを位置づけるかも大事だと思っています。ヤフーからの参加者は今回、アカデミアで塾頭を務める執行役員、新たに執行役員となるアカデミア生、それから課題解決プレゼンの上位入賞者に限定しました。

角:僕、当日の懇親会が終わってから、留目真伸さん(レノボ・ジャパン株式会社代表取締役社長)、小林雅さん(ICCパートナーズ株式会社 代表取締役)、アカデミア生と四人で飲みに行ったんですよ。留目さん、小林さんと膝を突き合わせて話せるなんて、ヤフー社員にとってすごい機会ですよね。

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(角のFacebook個人ポストより)

ヤフーの社員って、仕事できるしいい人が多いけど、ガツガツした感じが少ないイメージ(笑)。だから、起業家のようにガツガツしている人に触れて、刺激を得ることは、すごく重要。「自分もこうなりたい」って。

伊藤:ヤフー社員が刺激をもらうのもそうだし、バリからリモートで参加してくれた尾原和啓さんは、終了後に「面白かったからアカデミアに、自分ができることをお返しします」と言ってくださって、今度アカデミアで登壇いただくことになりました。北島昇さんからは、IDOMでもアカデミアやりたいといわれたし、東邦レオの吉川稔さんやランスタッドの志水静香さんは、自分の会社でもこういうのをやりたいと。Palletの羽山暁子さんは、自身が主催されている勉強会で、既にOSTでワークショップをやられた。そういう形で、どんどん新しい流れが生まれればいいし、それがヤフーの中と外をつなぐ場になればいいし、結果的に、それがヤフーとしての発信につなげればさらにいいなと。

角:カンファレンスに参加できるヤフー社員にとっては魔法の時間だし、ヤフーにとっても財産。

伊藤:「公共財を目指す」と言いましたが、たぶん、それ自体が目的ではないんですよね。学びの場を社内外のみんなでシェアする。会社と会社がつながる場をつくることで、オープンイノベーションにつながる。中の人と外の人をつなげるという意味では、LODGEとも通じるし、先週(2月6日)記者発表したデータフォレスト、という企業間ビッグデータ連携の実証実験も同じ。要はオープンであるということなんだと。

角:今回参加した14人のアカデミア生「総・伊藤羊一化計画」ですね(笑)。それぞれが社外の人とつながって、ヤフーの価値を伝えて、協業していく。社内と社外をつなぐハブのような人がどんどん増えれば、ヤフーでできることがどんどん増えていく。

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伊藤:働き方改革というのは、企業の枠をどれだけ壊せるかだと思うんです。みんなが副業ならぬ複業をして、いろいろな会社にパラレルで所属するようになる。働き方が複層化していく。たとえばヤフーにいながら、いろんな企業でも仕事して、それがヤフーにもフィードバックされる。

角:フィラメントでやりたいことのひとつは、組織をリフレームすることなんです。テクノロジーも進化して、産業の形も変わっているのに、会社の組織構造は昭和からほとんど変わっていない。人の意識もあまり変わっていない。その枠組みを再構築したい。

伊藤:組織のリフレーム、まさにそれ重要ですね。僕らも、UPDATE JAPAN、って言っているのですが、同じですね。そしてYahoo!アカデミアカンファレンスが世の中をアップデートしていくための場のひとつになればいいな、と思っています。


文:渡辺 裕子
面白法人カヤック 広報 2009年からグロービスでリーダーズ・カンファレンス「G1サミット」立上げに参画。事務局長としてプログラム企画・運営・社団法人運営を担当。2017年夏より面白法人カヤックにて広報・事業開発を担当。メディア化する企業や地域の発信をテーマに、記事を書いたりカンファレンスを手伝ったり。執筆記事にYahoo!採用オウンドメディア「linotice」ほか。早稲田大学教育学部国語国文学科卒業。

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