2021年に入ってから堂々復活!サービス業の中で求人が右肩上がりになった職種とは?
V-RESASをご存知でしょうか。V-RESASは、内閣府地方創生推進室と内閣官房まち・ひと・しごと創生本部事務局が提供するサイトで、新型コロナウイルスによる地域経済への影響を、人流、消費、飲食、宿泊、イベントなどの各ジャンルごとにマップやグラフで視覚化しています。利用にあたり登録などは不要で、ウェブサイトから誰でも簡単にジャンルや地域を設定したグラフを閲覧することができます。本記事ではV-RESASを面白がってみます。
ステイホームのうちに…?
今回注目するのは「全国の求人情報数」のグラフ。このグラフは求人情報数を職種別に2019年12月30日~2021年8月22日の期間を2019年同週比で表しています。
「販売・サービス職」の分類を見てみると、「映像/イベント/芸能」「販売/接客/サービス」「美容/エステ/ネイル」「アミューズメント」「飲食/フード」「ファッション/インテリア」「宿泊/ブライダル」「ナイトワーク」と、「すべての職種」「すべての販売・サービス職」がそれぞれグラフで表されています。
コロナ禍では対面して業務することの多い「販売・サービス職」は2019年と比べるとほぼすべてで下回っていることがわかります。7都道府県に緊急事態宣言が出された2020年4月以降は顕著に2019年に比べて下がっていますね。
そんな中、2021年に入ってから、2019年を上回る求人数で、一気に復活してきた職種が1つだけありました。この茶色で示されたグラフです。
「美容/エステ/ネイル」がそれに当たります。2021年に入ってから、コロナ禍になる前の2019年の同週に比べて、高いところでは+55%(2021年8月第1週)と右肩上がりに求人が増えているとみることができます。これらの示す事業といえば、美容室やネイルサロン、エステ等になるかと思いますが、どれも対面で接客するのが前提のはず。求人情報であり、実際に店に行ったお客の数ではないものの、需要があるから求人は増えていると想定されるわけで、ちょっと疑問が生じますね。
例えばコロナ禍に入った2020年中に多めに解雇され、2021年に入って揺り戻しでコロナ前以上に求人を出しているのでしょうか?あるいはコロナ禍でステイホームが続いている間に美容を気にする人が多くなり、需要が増しているのでしょうか?それともアフターコロナのリベンジ消費を見据えて求人だけ先に多めにとっているのでしょうか?
「美容/エステ/ネイル」の需要はどのように変化したか?
前述の「需要があるから求人は増えている」という推測を参考に、コロナ禍において「美容/エステ/ネイル」の需要はどのように変化しているかを探ってみます。
まずは、美容。
こちらのプレスリリースでは、20代女性、コロナ禍で「美容整形」への関心高まるとの調査結果が出ています。回答者(※)の6割以上が「コロナ禍でのマスク生活や人に会わない状況を受けて、顔の美容整形への関心が高まった」と回答しており、美容整形への需要の高まりが見られます。
(※本調査は、「美容に月2万円以上お金を使っている」と回答した20代の働く女性110名を対象に行われていることから、美容への興味が高い人がより美容にお金をかけるようになったと予想されます。)
また、コロナ禍とは別に、Z世代の美容への意識の変化というもの要因の1つと考えられます。「お化粧の延長で気軽に手術を受けようという人が増えている」とのことで、美容整形への気軽さも追い風となっているかもしれません。
続いて、エステ。
矢野経済研究所による市場調査を一部抜粋してみます。
●コロナ禍により、業界における2021年度入社の新卒採用状況は良好
→2020年はコロナ禍による他業界の採用見送りや抑制などによって、エステティック業界希望者が増加し、改善されている。
●現状では新型コロナウイルスの収束見通しが立たないため、限定的な条件に基づくものの、回復基調を予測
→サロンでは充分な感染防止策が取られていることや個室での施術が主流であることから、癒しを求めての来店客を主に、想定より早く客足が戻っている状況にある。(中略)ユーザーにとっては、人との接触を極力回避した自粛生活上での楽しみとしての役割を、エステティックサロンが担っている。
たくさんの人と接触せずに、自分ひとりで楽しめる癒やしスポットとして人気が高まっていることが伺えます。
美容院・ネイルサロンについては、コロナを経て客単価や客足等が大きく増加したという記事等は発見できませんでした。
しかしながら、美容整形やエステなどを見てみると、コロナになって外出等の行動を自粛している今だからこそ交際費にまわしていた分を自身の美容にまわすという傾向や、1人で施術を受けるというサービス形態が現状に適応しているという様子から需要は高まっているように見えます。
このように美容関連の需要が高まってきているからこそ、求人も増加しているのかもしれません。
出典表記
出典:「V-RESAS、株式会社フロッグ HRogリストforアカデミアより提供」(2021年9月10日に利用)