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リーダーが"育たない組織"から"育つ組織"へ変えるには①

NHN PlayArtの柏木誠さんは、“プロジェクトデザイナー”として数々の大企業でリーダー育成の研修に講師として取り組んでこられました。柏木さんは、リーダー育成のためには本人の努力だけでなく、組織の環境変革がまず必要であると説きます。今回は、柏木さんにフィラメントの公式雑談タイム「フィーカ」にお越しいただき、お話いただいた「"リーダーが育つ組織"になるために、企業がすべきこと」についてのノウハウを全4回のシリーズとしてお届けします。今回は第2回目として「リーダーが"育たない組織"から"育つ組織"へ変えるには」をお届けします。

2019年2月に書いたnote「リーダーが"育たない組織"から"育つ組織"へ変革するために必要な8つの視点」が人材育成・組織開発界隈でたくさん読まれて、「うちでも研修してほしい」という話が来るようになりました。それをきっかけにたくさんの人とディスカッションをして、実際に研修も行いました。本記事ではこのノウハウをお伝えします。

そもそもリーダーが"育たない組織"から"育つ組織"へ変革するためには「リーダー候補生を教育してリーダーに育てる『リーダー育成パート』」「組織の環境を整備し変えていく『環境変革パート』」の2つのパートが必要です。

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リーダー候補生を育成

本記事では、リーダー候補生を教育してリーダーに育てる『リーダー育成パート』をお話しします。

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1-1. リーダー候補生を選出

まず、リーダー候補生を選出します。変革の一翼を担うレベルの「リーダー候補生」は誰でもできるものではなく、必要な資質があると考えます。それは、以下の5つです。

・素直
・真面目
・ポジティブさ
・コミュニケーション能力  
・行動力

逆の視点で言えば、素直でない人、不真面目な人、ネガティブな人、人が嫌いな人、指示待ち人間は不適切となります。

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1-2.リーダー候補生のスキル向上

次に「リーダー候補生のスキル向上」についてです。

研修では、まずプロジェクトワークに関する基礎中の基礎を学んでもらいます。意外と、知らない人も多いですし、我流でやっている人も多くいます。
知識として押さえたいのは、「プロジェクトの特性」「プロジェクトに必要なテクニック」「チームビルディングについて知る」「会議と会議ファシリテーションについて」です。

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例えば、プロジェクトと定常業務の違いについて話したり、チームビルディングの内容についてワークショップやディスカッションで学んでもらったり、会議については実際に実行してもらったりします。

情報量は多いですが、言葉やその定義を覚えることで、実際にそういった場面になった時も対処できるようになります。ここでは我流や変な癖を直し、お作法通りにやることが重要です。

1-3.自分自身でリーダーとは何かを考える

そして自分中心でリーダーとは何かについて考えてもらいます。これは3〜6人でディスカッション形式で1〜2時間ほど行います。内容は、「リーダーシップについて考える」「自分のリーダーシップを考える」「組織の中のリーダーシップを考える」などで、これを繰り返して考えを深めていき、最後に自分自身のリーダーシップを宣言します。私も同じテーブルに座って同じ目線で行います。

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若い人のほとんどはリーダーシップとは何かを考えたことがありません。彼らに実際に考えてもらうと、リーダーシップではなく組織のマネジメントについて考え始めることが多いです。『ONE PIECE』など漫画の話になることも多いですね。

そこで考えてほしいことは、「考え方・振る舞い方」で、それにはどうなりたいかを自分中心で考えることが重要だと思います。今の組織・会社が変わっても変わらない、自分自身のリーダーシップを考えるところから始まります。

最初にどういうリーダーになるか宣言してもらいます。その例として、「メンバーが安心してプロジェクトに専念できる環境を作るリーダー」などが挙げられます。研修中には、そのようなリーダーとして振舞っているかを何回も確認します。
宣言させることは意識させることになるので有効です。週に1回程度で「今週、どんなリーダーシップをやった?」と問いかけます。些細なことでもいいので、リーダーシップを一番最初に意識させます。

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1-4.リーダーシップを発揮してプロジェクト推進

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研修ではリーダー候補生がリーダーシップを発揮して本物のプロジェクトを実行します。

大事なのは、習った部分をしっかりと実践することです。そしてまずは演技でもいいので、宣言したリーダー像をイメージしながらプロジェクトを推進することです。

社外の人を呼んで勉強会を行うなどの小さいプロジェクトで構いません。1〜3ヶ月の期間で本務と兼業できるもの、社内で完結できる内容が良いでしょう。やらされているプレゼンと、やりたいプレゼンでは異なるので、自分がやりたいことを、心底やりたいプレゼンで進めていくことが重要です。

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事例を2つ紹介します。
1つ目は、1年で1.5倍に人が増えていく成長企業で行いました。急激に人が増えたことで、社内では不満が溜まっていました。そこで第1フェーズでは不満(課題)を全部出し切り、組織の課題を体系的に整理するプロジェクトを行うことになりました。そして第2フェーズでは、リーダー候補生が中心となり、課題を解決するプロジェクトを推進しました。リーダー候補生は3人で、期間は3ヶ月でした。

2つ目は、ある研修プログラムをアップデートする企画を立案するプロジェクトです。リーダー候補生6名を2チームに分けて、それぞれ企画を提案します。提案が通れば本人たちが社内で推進するプロジェクトとなります。最終プレゼン大会には本部長も審査に参加し、2チームとも企画案は通りました。企画としては足りない部分が多いのでこれからが本番となります。こちらも期間は3ヶ月でした。

「実際のプロジェクトのなかでリーダーが育つ」ということが重要です。
最低限の基礎を座学を教えて、それを即、実践してもらいます。実際のプロジェクトを成功させることにこだわるのは、メンバーの真剣度が変わるからです。

仮のプロジェクトをワークショップで体験する=「知識獲得型」
本物のプロジェクトを成功を目指して行う=「経験学習型」、となります。

「プロジェクトの成功を目指して行動する」し、追い込まれるから学ぶ。この経験をどうデザインするか?を常に考えています。

チームは3人で組みプロジェクトを進めるのが最も良いと考えます。
チームビルディングの大切さも学べます。

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プロジェクトワークはすぐに壁にぶつかるものですが、それを実際に体験することが重要です。

知識を確認して、宣言したリーダーシップをイメージしながら、これまでなんとなくやっていた仕事を振り返りながら、手取り足取り丁寧にしっかりと型を覚えてもらうことを重要視しています。ここでいきなり完璧に振る舞うのはは難しいので、最初はリーダーシップを「演じるだけ」でいいと伝えます。「これで救われた」という人も多く、とても有効でした。

研修には2つのフェーズがあります。

まずプロジェクト準備のフェーズでは、私の役割は考え方や座学を教える先生役であり、プロジェクトを一緒に考えるメンバーです。次に、プロジェクト開始のフェーズになると、前には出ず、リーダーたちがリーダーの役割を演じ、プロジェクトを仕切ります。私は必要に応じてアドバイスを行います。そこで実行するのは本物のプロジェクトであることが重要になってきます。

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また、研修時には人材育成担当の同席をお願いしています。
人材育成担当の目線でプログラムを見て欲しいということ、またこのプログラムを使って人材育成担当と今回のリーダー候補生が一緒になって次を育てて欲しいということ、そして組織の文化や力学に合わせたリーダーシップ育成を一緒に考えていきたいという意図があります。

そして、強制的に経験学習のサイクルを回していきます。経験学習とは実際に経験したことから学びを得ることで、ここでは経験→省察→抽象化→実践→経験のサイクルを回していきます。振り返り、他の場面にも応用できるようにする部分を徹底的にサポートします。

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これはカークパトリックの4段階評価法のレベル3とレベル4と同じことをしています。

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リーダー候補生に依存する育成の段階の前に、まずはリーダーが活躍できる環境を作ることが重要です。よくあるのは、「候補生を選んで研修会を外部に依頼して終わり」というパターンですが、本当は組織から変える必要があります。

環境を変えるとなるとトップの強力な推進力が必要不可欠です。そのためには、トップの覚悟が必要となります。
実際には、組織のトップと現場が「リーダーが育つ組織に変革を推進したい」と思っても、中間管理職の抵抗が多いということがあります。しかし、「リーダーが"育たない組織"から"育つ組織"に変革する」ためにはトップの覚悟、リーダーシップが必要なのです。

次回に続きます。


【プロフィール】

プロフィール柏木氏

柏木 誠(かしわぎ まこと)
プロジェクトデザイナー / NHN PlayArt 所属 / SUNDRED セルフデベロップメント産業クエストチーム

プロジェクトにおける最初の難問は「多様なメンバー間で"様々なズレ"があること」これを2つのデザイン側面(設計のDESIGN、意匠のdesign)から整理して「共創の景色 / 実現すべき未来」を描くことで解決するプロジェクトデザイナー。
境界が無いことが当たり前の世界におけるプロジェクトマネジメントについても考えている。HHKB を持ち歩く。

「リーダーが育つ変革プロジェクトの教科書」14章にインタビュー記事も掲載されています。
https://amzn.to/2NG4YES

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