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採択企業10社を一挙紹介!NTT西日本の未来共創プログラム『Future-Build』キックオフレポート

オープンイノベーションで社会実装をめざす未来共創プログラム『Future-Build For Well-being society(以下、Future-Build)』。遂に本格始動となる『Future-Build』のキックオフが2022年10月3日に開催されました。開催場所は、西日本電信電話株式会社(以下、NTT西日本)が『社会課題の解決』と『未来社会の創造』をめざすために立ち上げたオープンイノベーション施設「QUINTBRIDGE(クイントブリッジ)」。
NTT西日本イノベーション戦略室長 市橋直樹氏の挨拶、本プログラムを支援している株式会社フィラメントCEO角によるオンボーディング等を経て、エントリー数101社の中から採択された10社(Future-Buildプログラム参加パートナー)が紹介されました。本記事では、未来共創プログラム『Future-Build』に参加するパートナーの皆さんを詳しくご紹介します。(文章/QUMZINE編集部、土肥紗綾)

挨拶(NTT西日本 イノベーション戦略室長 市橋 直樹 氏)

市橋氏:会場にお越しいただいた皆さま、採択企業の皆さま、ご足労いただきましてありがとうございます。本日はどうぞよろしくお願い致します。私からは、今回の『Future-Build』の実施背景と目指すところ、そして採択企業様のアナウンスをさせていただきます。

本日の会場でもありますQUINTBRIDGEは、社会課題を解決する事業アイデアを募集し社会実装を推進していくために設立されました。
こちらの図の黄色部分「ビジネスアイデアの構想」では、500近くの企業・大学・スタートアップの皆さまにご参加いただいています。QUINTBRIDGEでの取り組みは、こちらで出てくるアイデアをアイデアだけで終わらせるのではなく、NTT西日本や会員の皆さまの「開発」の力を合わせて、「社会実装」までつなげていこうとするものです。

『Future-Build』は7月29日にニュースリリースを配信させていただき、日経新聞様をはじめとした多くのメディアでご紹介いただきました。いよいよこちらの未来創造プログラムが始動します。8月に募集をさせていただき、9月に選考を行い、本日10月3日に発表の日を迎えました。

募集にあたり「健康」「生活」「経済」「環境」の4分野をもとに6つのテーマを設定させていただきましたところ、なんと1ヶ月間で101社からのエントリーをいただきました。大変大きな反響をいただき、我々としましても真摯に喧々諤々の議論を行って選考を行いました。

慎重な審査の結果、10社の方々を採択とさせていただきました。

【健康】
・株式会社スポルツ
・株式会社528
・Being
・株式会社Enjoydream Holdings
 
【生活】
・株式会社ビーブリッジ
 
【経済】
・アダワープジャパン株式会社
・広島商船高等専門学校
 
【環境】
・株式会社イノカ
・株式会社エムスクエア・ラボ
・NTTコムウェア株式会社

今回、採択させていただいた皆様とともに『ウェルビーイングを実感できる社会を実現』していくためのプログラム『Future-Build』が本日より本格的に始まります!どんな事業が生まれるのか、私自身も大いに期待していますので、ぜひ一緒に取り組んでいきましょう!

オンボーディング(株式会社フィラメント CEO 角勝)

角:本日からいよいよ『Future-Build』が開始ということでとてもワクワクしています。そしてここに関わることができてすごく嬉しく思っています。
私は株式会社フィラメントという会社を経営しておりまして、企業の新規事業の創出や企業のアクセラレーションプログラムの支援を行っています。今日は『Future-Build』に関してこれからどのように進んでいくのかについてのご説明をさせていただき、私なりのご提案をさせていただきます。
 
アイディエーションのフェーズでは、ビジネスアイデアを出すところから一緒に悩んで考えます。事業ドメインの探索フェーズではいっしょに探索からシミュレーションまで行います。そして、想定顧客インタビューからパーパスの言語化までお付き合いしていきます。これらの活動を通じて、視座が高まり、チームがひとつにまとまっていくという部分をサポートしていきます。
 
まずオープンイノベーションについては、「他社のリソースを理解して活かすこと」全般がオープンイノベーションだと思っていただくと良いかと思います。このオープンイノベーションに10年間携わっていて気づいたことが3つあります。

1つ目、社外の人とちゃんとビジネスの話ができる人は稀有な存在であるということ。大企業はすごく大きいので社内の常識が社会の常識になりがちです。こうなると、社外の人と話をするときに認識がズレてしまいます。この認識がズレがちという部分を大企業にいると忘れてしまうことが多いです。
 
2つ目、スタートアップも大企業も関係なく、自分が経験してきた文脈でしか物事を語れない
 
3つ目、相手の立場に立って物事を考えられることがビジネス創出につながる。相手の立場に立って考えられることというのは人間の性質だとか優しさだと思われがちですが、僕はスキルであり能力だと思っています。この能力を自分で高めていこうと考えて『Future-Build』を使っていくと良いかなと思います。

さて、オープンイノベーションの真髄とはなにか?
それは、自社や自分の経験の範囲を超えて、相手の立場や目線に立って、一緒にビジネスを起こそうとする「理解し寄り添う姿勢と行動の両立」です。これに尽きます。そしてこれを両立しようとするとコミュニケーションスキルが非常に重要となってきます。コミュニケーションがうまく機能することでチームをつなぎ一体化していきます。

最後に今日(2022年10月3日)の日経新聞・朝刊の記事をご紹介します。

こちらの記事でNTT相談役の篠原弘道さんが書かれていたことが大変僕の心に響きました。「これからの人材にいちばん大切なのは他社とコラボレーションし、挑戦する力」、「企業も国も従来の延長線上では成長できない。社会課題の解決や新しい価値の創造が求められるが、ひとつの専門領域では不可能だ。様々な背景や価値観、専門性を持った人々と協力しないと答えは出せない」。
今日みなさんがこちらに集っていらっしゃる意味そのものではないかと思いました。みなさんが力をあわせるしかないのだということですね。まさにこのスタートの場にふさわしい言葉を頂戴したなと思っています。「コラボレーション」と「挑戦」で社会課題の解決、そして新たな価値創造をみなさんと進めていけたらと思っております!ご清聴ありがとうございました。

採択パートナー事業紹介

【健康領域】採択パートナー

・528株式会社

「アートとサイエンスで幸せに生き抜く力を・Art × Scienceで喜びながら生きる価値を」528株式会社は 過度なストレス社会の、疲れた心を癒し、修復する会社です。

COO今林氏:最初に会社名でもある528の意味についてご紹介させてください。528ヘルツという周波数がありまして、DNAを修復する奇跡の周波数と呼ばれています。「癒やし」「よく眠れる」と動画サイトで検索するとこの周波数の音楽がよく出てきます。この「DNAの修復」というコンセプトを持って、528ヘルツのような会社、社会を作っていきたいということで、528株式会社としています。

現代人の心の病や孤独に対して、アートや音楽を処方箋にできないかということで会社を立ち上げました。ここで、CEOのジェシーさんにマイクをお渡しします。
 
CEOジェシー氏:どうぞよろしくおねがいします。ミュージシャンであり、兵庫県で音楽療法士をしております。歌おうと思います。会場がQUINTBRIDGEということで、〜〜〜♫♪♫♪

会場に響き渡るジェシーさんの歌声!会場の手拍子!大きな拍手!

今こうして手拍子をいただくと人と人とのつながりを感じますね。こういった見えないつながりをオンラインでお家から出られない方や孤立化しそうな方に感じていただけたらと思って活動をしています。しかし、これをオンラインでやろうとすると遅延が発生してしまいます。この遅延やズレをNTT西日本さんの新たな技術を使ってなくしていけたらという気持ちで今回応募いたしました。
 
COO今林氏:オンラインで孤立化や孤独化してしまっている高齢者の方であったりお子さんであったりをオンラインでつないで、癒やしをお届けするサービスを展開したいと活動をしています。

普段我々が対面でやっている活動を、今後オンラインでもやっていきたいなと考えています。これまでジェシーさんがされてきた5万人の方に対する音楽処方をアルゴリズムとしてデータ化していこうとしています。これを使ってデジタルセラピティクスという取り組みを世界に広げていきたいと思います。NTT西日本さんの取り組みとコラボすることでこの世界観をオンラインに展開していけたらと思っております。

・Being

https://being-biz.com/

Beingは、クライアント企業の皆さま一人一人がWell-Beingを実現することを共に目指し、企業人に特化したヘルスケアと生産を高める『BizYoga+®(ビズヨガプラス)』を提供しています。

小林氏:Beingの小林と申します。働く人々のヘルスケアと生産性を高める『BizYoga+(以下、ビズヨガ)』をご紹介させていただきます。
皆さまは今年度WHOが「ヨガを伝統医学のひとつとして採用する」と動き始めたことをご存知でしょうか?私は国内ではまだ数少ないインド中央政府ヨガ国家資格指導者として現在活動をしていて、働く人々のヘルスケアと生産性に注目しています。「出勤はしているけれど健康課題があり生産性が低下してしまっている」という状況の方々は全体の77.9%と言われています。これらの状況はさまざまな損失を生み出しています。

「いかに企業人がプレッシャーの中で健康を実現させながら生産性を上げ続けられるのか?」という思いから生まれたのが『ビズヨガ』です。『ビズヨガ』は忙しい企業人が短時間で効果的に健康を実現できるように5つの要素を組み合わせています。エビデンスに基づくヨガ、臨床心理に基づくカウンセリング、快眠ヨガ、アスリートマインド、東洋医学に基づく食用法。これらを組み合わせてオーダーメイドでご提案をおこないます。

導入手順については、企業様のニーズを丁寧にヒアリングした上で、オーダーメイドで実施形態なども含めてご提案をさせていただきます。導入メリットは、社員ひとりひとりのストレスコントロールができるようになること、目の前のことに集中ができるようになり生産性が高められることで、これにより企業の底上げにつなげていきます。
今後はこちらにいらっしゃるみなさまとも協業させていただきながら、健康寿命の延伸に貢献をしていきたいと思っています。

・株式会社Enjoydream Holdings

株式会社Enjoydream Holdingsは、”アクティブ未来”な社会への貢献をめざし、健康サービスが提供できる人材の育成、皆様への健康サービス、健康教育を提供しています。

小林氏:まずは、弊社が取り組んでいる事業についてご説明します。現在、弊社の事業の1つ目は「研究」。京都工芸繊維大学さんとともにトレーニングのリテラシーについての研究をおこなっています。意外とトレーニングを実施している方が「今どの部位を鍛えているかがわからない」という現状があることがわかってきました。

2つ目は「障害予防を中心としたグッズ販売」です。各種学校にトレーナーという人材が必要であるということで、トレーナー育成のための働きかけを行っています。3つ目は学校の部活動に対して、トレーナー業務の請負や選手に対する健康教育の育成、そして一般の方々を対象にしたレッスンも行っております。

僕は日本の学校を経て、海外でトレーナーの勉強をしていました。海外ではプロの現場でインターンをしまして、野茂選手がドジャースに入団したときに僕はデトロイトタイガースでインターンをしていました。それ以降はアメリカンフットボールやラグビーなど様々なスポーツ現場に関わり、それぞれの現場における怪我と復帰の特徴というものが見えてきました。これらの経験を専門学校や大学でお話したり、他にも商品開発のコンサルタントや、大学などの施設運営、企業に対する運動指導を行ってきました。 

そもそもトレーナーとは何かということですが、基本的には「よりしなやかな体を作り、その体に力が入りやすい筋肉を作って、結果的に機能的なライフスタイルを送るための動きができる」ようにすることです。どこに着目すべきかといえば、機能的な筋肉づくり、そして機能的な動きづくりですね。アスリートについて言えば、医療ケアから遠ざけていくことが重要です。怪我をした選手を快適な日常生活に戻すだけではなく、たとえばピッチャーであれば怪我をする前と同様の球速を出せるようにしないといけません。

弊社ではあらゆる人に対して、未来に向けたサービスを柔軟に展開できます。健康寿命を提供できる点が弊社の売りであり、強みは基本に忠実である点です。これからよろしくおねがいします。

・株式会社スポルツ

株式会社スポルツは、ヘルスケアビジネスを専門的にサポートするチームです。500以上のビジネスモデル分析、600以上の健康プロジェクト支援をしてきた経験を活かし、ヘルスケアビジネスにチャレンジする企業をサポートしています。

株式会社スポルツさんは欠席のため、会場にて司会の青木氏より上記のご説明がありました。後日、スポルツ渡辺氏よりコメントを頂戴しました。

渡辺氏:10年以上に渡りヘルスケアは注目領域です。ヘルステック、デジタルヘルスなど新たなテクノロジーの活用が進んでいます。しかし、私達が運営するヘルスケアビジネス専門メディア「ヘルスビズウォッチ」https://healthbizwatch.com/)で調査し続けてきた経験から、残念ながら9割以上が望ましい結果を得られていません。つまり、思ったような収益が得られていないのが実態です。

例えば健康課題解決のために、ウェアラブルデバイスからバイタルデータを取得し、適切なレコメンドをするとしましょう。ユーザーに効果の高い対策を伝えてあげれば、あとは実行さえしてくれれば結果は出ます。でも、望ましい結果(数値改善など)を得るためには、ある程度の期間行動し続ける必要があります。その期間は1ヶ月かもしれません。半年かかるかもしれません。もうお気づきと思いますが、人は頭ではやった方がよいとわかっていても、簡単には適切な行動を続けるのは難しいものです。このようなヘルスケアビジネス特有の課題、ポイントを最初からわかっている人は少なく、例え気づけても適した対策を用意するのに時間を要することとなります。

『Future-Build』は多くの企業やユーザーがデータ連携する場となるでしょう。ユーザーが率先して活用したい場となることが望まれます。先程の例からも、データ連携しただけでは、ユーザーが使い続ける理由とはなりにくいでしょう。私達が個別企業に行ってきた、ユーザーの行動継続の仕組み作りとなる支援や、その他ヘルスケアビジネス特有の法則を『Future-Build』参加企業に共有し、共創だからこそ作りだせる新たなビジネスモデルを目指し、長年課題とされてきた健康における個人や社会課題の解決にチャレンジしていきたいと思います。

【生活領域】採択パートナー

・株式会社ビーブリッジ

『DESIGN OUR FUTURE with xR』可能と不可能の架け橋になる
株式会社ビーブリッジはあらゆる領域において、人と社会に寄り添うxR体験を提供し、新しい可能性の実現に世界中で貢献し続けます。

 COO近藤氏:株式会社ビーブリッジの近藤と申します。弊社は現在8期目を迎え、ここまで資金調達はせず自己資金で経営をしてきました。代表の野崎は、前職のDeNAにて現在の経団連副会長である南場氏の直下で事業をやっていました。私はもともとNTT東日本に新卒入社しました。海外のバックグラウンドもありましたので、NTTコミュニケーションズでの国内外のセールスや経営企画の業務に携わっていました。その後、Wantedlyを経て現在に至ります。

次に弊社のVR技術をご紹介します。実際の空間と変わりない空間を再現できるので、まだできていない建物をバーチャルで建設したり、スマートシティという文脈でデベロッパーさんといっしょにお仕事をしたりしています。今回もAR技術を活用して事業を進めていけたらと考えております。

AR技術ですと、弊社はナビゲーションやガイドのところに強みを持っています。たとえば、スマートフォンの地図アプリで目的地を設定したときに地図を見ながらその場でぐるぐるまわったりした経験はありませんか?そんなときに弊社のARナビゲーション機能を使っていただくと、どちらの方向に向かえば良いかというのが直感的にわかり、よりスムーズに目的地にたどり着くことができます。これをキャラクターによるナビゲーションにすることで、よりお出かけをワクワクするものにするなどの展開もしています。

このようなAR/VR技術を活用して、他社との協業や自社サービス開発まで新しいソリューションを展開しています。来年、福岡で開催される世界水泳ではナショナルサポーターになっておりまして、AR/VRの技術で大会を盛り上げていく役割を担います。 

【経済領域】採択パートナー

・アダワープジャパン株式会社

「超遠隔で、未来を身近に。」
アダワープジャパン株式会社は、遠隔操作の低コスト化、またスイッチ機能による1:Nの遠隔操作の切り替えを実現した遠隔操作クラウド『WARPNER(ワープナー)』を提供しています。

安谷屋氏:沖縄から参りました安谷屋(あだにや)がやっておりますアダワープジャパン株式会社は、オープンソースの通信技術を使って、遠隔操作の課題を解決する会社です。

私たちのプロダクトは遠隔操作をクラウド化する『WARPNER』というものを開発しています。主に遠隔操作のコストダウンと、1対nのクラウド操作を機能として掲げています。従来、遠隔操作で何が問題かと言うと、コストが高かったり、1対1でしか操作できないというものがあります。そこをオープンソースの技術を使ってコストダウンして、クラウド技術で通信を集約しています。つまり、クラウドのサーバーを経由して遠隔操作を行う仕組みです。

なぜクラウドサーバーを経由するとコストダウンできるのか?私たちはブラウザとアンドロイドアプリだけでそれを実現しています。すべての通信をサーバー経由しているので経路の切り替えが可能になります。よくお客さんに「サーバーを経由したら遅延があるのでは?」と言われるのですが、実際のところ300〜400m/秒くらいの遅延はあります。しかしながら、ここ数年、ビデオ会議の普及によりWebRTCという技術の開発が活発になり、遅延がどんどん軽減されていっています。

『WARPNER』の強みは、サーバーに映像と音声を貯められる点です。公道でドローンを飛ばすときに警察の方から映像録画をするように言われるのですが、こちらにも問題なく対応できます。また、エリアの通信状態をデータとしてサーバーに貯めることもできるので、遠隔操作の品質管理や課題出しにも役立ちます。

遠隔操作の受託開発を3〜4年ほどやってきたのですが、案件が増えてきたので、共通化しようということで『WARPNER』を開発しました。『WARPNER』がまるっと欲しいとおっしゃっていただくこともありまして、OEMで販売することもしています。

主なパートナーはゼネコンの会社の方々ですが、他の産業の課題もお伺いしてみたいなということでこちらに応募させていただきました。世界中の人々をワープさせるのが私たちのミッションです。ご清聴ありがとうございました!

・広島商船高等専門学校

広島商船高等専門学校 機械力学研究室では、「圧縮センシングを用いた故障診断用の安価な振動計測ロガー」を開発しています。故障診断の低コスト化により、故障や事故の無い安心で安全な社会の実現を目指しています。

 加藤氏:現在、高専発のベンチャーを創りたいという思いを込めてこちらに応募させていただきました。私のやっている研究は圧縮センシングというものです。

顧客は機械メーカーや機械を扱うすべての会社だと考えています。機械製品の故障の頻発は、それによる損失を発生させます。個人的にはすべての機械に故障診断装置をつけられたら良いと考えているのですが、企業さんの立場から考えると故障診断装置の装着のコストが高いのでなかなかすべての機械に装着することは難しい状況です。では、何のコストが高いのかと言うと、診断に必要な振動を捉える装置の部分です。そこで、この高速の振動を捉える部分を低コスト化しようと考えました。そのブレイクスルーに必要となるのが、私の研究テーマである「圧縮センシング」です。

圧縮センシングはMRIやブラックホールの撮影などの分野で使われてきました。特殊な技術で高い周波数の波を捉えようというものです。これを活用して社会実装していくことで、前述の低コスト化を目指します。目指したい未来は、この低コスト化によりすべての機械に故障診断装置を実装して、安全安心な社会を実現したいと考えています。

【環境領域】採択パートナー

・株式会社イノカ

株式会社イノカは、日本で有数のサンゴ飼育技術を持つアクアリストと、東京大学でAI研究を行っていたエンジニアが創業したベンチャー企業です。自然を愛し、飼育研究を行う人々とIoT技術を組み合わせ、生態系を水槽内に再現する『環境移送技術』の研究開発を行っています。

 

勝西氏:我々はサンゴをテーマにしたベンチャーです。本日は「サンゴがビジネスになるのか?」という点からお話していきたいと思います。

世界中のサンゴは海の表面積の0.2%しかありません。その0.2%のエリアに海洋生物の1/4が暮らしていると言われています。しかし、地球温暖化などにより2040年までに8〜9割のサンゴが消失してしまいます。サンゴがなくなると沖縄のキレイなエメラルドグリーンの海が見られなくなったり、魚がとれなくなったりという問題があるのですが、それだけではありません。
サンゴからがんの治療薬がみつかっていたり、新薬の開発や化粧品の成分に使えるのではと言われています。しかし、サンゴが絶滅してしまうとこれらの研究は進められなくなります。失うことは海にとっても我々にとっても多大な損失です。

しかし、サンゴを飼うのは難しく、少しの水質や水温の変化で死んでしまうので、沖縄に行かないと研究ができないという課題がありました。

そこで我々が開発しているのが、AIやIoTを使って誰でもサンゴが飼えるようになる環境移送技術です。これによりどこでもサンゴの育成と研究ができます。こうして「海を見える化」するのが我々のミッションです。これまでできなかった台風後の海の変化を定量評価するなどができるようになります。

 日本は海洋国家で島国です。領海が領土の12倍あり、その海には800種類存在するサンゴのうち450種類が生息しています。この恵まれた環境を保全していくために、緑(グリーン)の環境保全だけではなく、海(ブルー)の環境保全に皆さまと一緒に取り組んでいけたらと思い今回応募をさせていただきました。

・エヌ・ティ・ティ・コムウェア株式会社

NTTコムウェアは、営農支援クラウドサービス『BLOFware.Doctor』を提供することで、有機栽培での高品質・高栄養価・高収量を可能とし、農家の高収入と農業の魅力向上を実現します。

小野氏:まず、みなさまにお伺いしたいのですが、日本の農業のどれくらいを有機農業が占めていると思いますか?オーガニックなどの単語は聞いたことがあると思うのですが、なんと、現在は全体のわずか0.5%と言われております。我々はこの低い割合を解決していきたいと考えています。

我々は情報システムを取り扱っている会社ですが、その中でも農業分野での新規サービスを現在検討しています。『BLOFware.Doctor』は有機農業を効率的効果的に実践することができるICTのシステムサービスです。微生物学や地質学などを加味して、有機農業でありながら高品質で高栄養価で多収穫を実現するものです。

現在の有機農業の難しさとして、たくさん収穫することが難しいということがあげられます。ここが実現できないと農家さんとしては取り組みにくいということで、この部分を解決して、地球環境に優しいサステナブルな農業の実現を目指しています。

このサービスは弊社だけではなく、ジャパンバイオファームと提携して作っています。『BLOFware.Doctor』のポイントは3つ、「学べる」「実践できる」「助けてもらえる」です。栽培ノウハウの可視化や、ICTのキモとも言える肥料などの蒔き方の情報提供、そして作業記録をつけていく中で発生する病害虫などのトラブルへのアドバイス提供などがサービスとして提供しています。これにより有機農業の普及に貢献していきたいと考えております。

・M2 Labo. Inc.

農業×ANY=HAPPY 農業は社会基盤産業であり、社会課題の解決に欠かせない産業であるということを表した方程式です。この式の通り、課題解決型事業を創造する農業シンクタンクです。

 

COO堀口氏:『やさいバス』は、ECサイトのサービスと共同配送を一体化したシステムを地域のコミュニティのみなさんと実証していくことを目的としております。ECサイトに物流を重ね合わせて、「無理なく美味しく楽しく」をキーワードにビジネスを展開しています。

なぜ、『やさいバス』をしているか?まず現状として、農家の高齢化、農業人口の減少、耕作の放棄地の増加があります。若手の新規就労者の方は増えてはいて、都道府県も補助事業をされているのですが、「モノをつくることに専念できない」というお話を聞きます。作ったものをお店に持っていくことなどの業務の負荷が大きいということです。一方で、物流業界に目を向けると、2024年問題と言われていまして、名古屋と東京の日帰りができなくなる可能性が出てきています。そして市場流通業の方々にも高齢化の波が来ています。

農産物や食料品が最適な状態で届かなくなる状況が差し迫っているというのが我々の課題意識です。そこで、持続可能な物流を創出することで、農産物や食料品を当たり前に誰もが手に取れる社会を実現したいと考えています。ルートの見える化をした共同配送で物流の持続性を高め、そして、商取引や配送手段の関節コストの削減していくことで収益性を高めていくことが目的です。

たとえば静岡で採れた野菜は、一度東京の豊洲市場に持っていって、もう一度静岡に戻ってきたものが売られています。手間もかかって鮮度も落ちるのですが、日本の流通はこれが基本として成り立っています。静岡で採れた野菜を静岡で販売するといったやり方を各エリアで広めていくことで、農家さんのラストワンマイルの出荷の手間暇を省き、品質向上、農家さん一人ひとりの手取りを増やしたいというのが私たちのポリシーです。

QUINTBRIDGEツアーと写真撮影

採択パートナー事業紹介のあとは、NTT西日本 イノベーション戦略室 事業開発担当シニアマネジャー 浦狩氏よりQUINTBRIDGEの紹介や施設見学ツアーが行われました。

QUINTBRIDGEの詳細についてはぜひぜひQUMZINEの紹介記事もあわせてご覧ください。

そして最後に、応募総数101社の中から選ばれた10社の採択パートナーのみなさんと記念撮影!これから実証実験に向けて協業がスタートしていきます!


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