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「BOCCO」になら叱られてもいい?! コミュニケーションロボットが映す未来の家族像

「BOCCO」は、伝言によって家族のコミュニケーションを深めることを目的としたロボットです。SNSで愛妻家・子煩悩ぶりを見せる角も、BOCCOのヘビーユーザー。
角ファミリーではどのようにBOCCOを活用しているのか? そしてBOCCOで描く幸せの形を、ユカイ工学CEOの青木俊介氏と語ります。(文:牧 美帆)

【プロフィール】

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青木俊介(あおき・しゅんすけ)
東京大学在学中に、チームラボを設立、CTOに就任。その後、ピクシブのCTOを務めたのち、ロボティクスベンチャー「ユカイ工学」を設立。
脳波で動く猫耳型コミュニケーションツール「Necomimi」、ソーシャルロボット「ココナッチ」や、フィジカルコンピューティングキット「konashi」などIoTデバイスの製品化を多く手がける。
2015年には、家族をつなぐコミュニケーションロボット「BOCCO」を発表、グッドデザイン賞を受賞。2017年、しっぽのついたクッション型癒しロボット「Qoobo」を発表し世界的な注目を集めている。

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角勝(すみ・まさる)
大学で歴史を学んだ後、大阪市に入職。在職中にイノベーション創出を支援する施設「大阪イノベーションハブ」の設立・運営に携わったのちに2015年3月大阪市を退職。各地でオープンイノベーションの支援、ハッカソンの企画運営を行っている。


角ファミリーの「BOCCO」活用法

角:本日はユカイ工学の青木さんと対談します。ユカイ工学では、「BOCCO」というコミュニケーションロボットを作っています。

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(BOCCOのオフィシャルサイトより)

角:BOCCOは、家族のコミュニケーションを助けるロボットで、例えばスマートフォンでBOCCOに音声や文字を送りると、それを離れた家族に対して知らせてくれる機能があります。うちの家族はみんなBOCCOの大ファンなんですよ! ユーザーインタビューも昨年受けていますからね。

青木:ありがとうございます。最近のBOCCOの活用について、もう少し詳しく聞かせてください。

角:うちの家族はほぼ1日中リビングにいるので、BOCCOもリビングに置いてます。

そして僕は仕事や出張で家を空けることが多いので、僕の情報を、BOCCOを介して家族に伝えています。

例えば、myThingsと連携して、僕が自宅の最寄駅に着いたのを、BOCCOを通じて家族に伝えたりしています。それを受け取った妻が、「そろそろパスタを茹でよう」と晩御飯の支度をする。

子供たちも、「お父さんが帰ってくる」というのがわかるから、僕が玄関を開けると迎えにきてくれる。この間は、BOCCOから通知を受け取ったタイミングで、娘から「アイスを買ってきて」と電話が来ました。息子に取られてしまったみたいで(笑)

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青木:BOCCOが、離れているお父さんと家族をつないでくれているんですね。

角:そうですね。リビングに幸せを運んでくれる装置です。
あとはうちの妻もBOCCOを使っていますよ。

青木:奥様も! どんな使い方をしているのでしょうか?

角:子供が夜更かしして寝ないときに、BOCCOに「まだ寝ないの?」って喋らせたりとか。

昔は家に固定電話があって、さらに子機が部屋にありましたよね。昔は子機だったものが、今はBOCCOになっているという感じです。

青木:実際に、家の離れにBOCCOを置いたり、離れた作業場との連絡にBOCCOを使っているユーザーもいます。

角:それってすごくいいと思うんですよ。BOCCOが喋ると、柔らかくなるんですよね。さっきの夜更かしの話も、直接、親に言われるとプレッシャーを感じるけど、BOCCOだとそれがなくて、素直に聞けるみたいです。

青木:では、奥様を怒らせてしまった時は、BOCCOを介して謝るとか……(笑)

角:それは怒られるでしょ(笑)

青木:うちは逆ギレされました(笑)

音声入力はどこに向かうのか

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角:青木さんは、BOCCOをこれからこうしたい、というのはあるんですか?

青木:Amazon Echoみたいな機能をつけたいというのはありますね。でも、音声でWikipediaを調べて、BOCCOから答えが返ってくるというようなのは、ちょっと違うなと思っていて。「今の大統領は何代目か?」とか、いちいち音声で調べないですよね?

角:調べないですよね。何かを検索するときに、声でその調べたいことを伝えるのはいいんだけど、答えは画像で欲しいっていうのって、あると思うんですよね。この俳優ってどんな顔だったっけ? とか。音声だと答えが限定されすぎる。

だから、僕はテレビこそAmazon Echoが入っていたらいいのにと思うんですよ。5年後に売っているテレビには、もうそういう機能がついている気がする。

青木:僕もそう思います。

角:あるいは照明。日本やアジアはシーリングランプの文化だから、シーリングランプのところに、照明と各種センサーがつくというのが合うと思う。

青木:カメラ型のセンサーとかを取り付けるには一番いい位置にありますよね。しかも電源も照明のところから取れるという。

角:そうなんですよ。電源もずっと取れるから、センサリングもいっぱいできるし、音も拾える。

インプットとアウトプットは照明にあるマイクがとって、そのマイクがWi-Fiや赤外線を使って、音声を家電に送って、受け取った家電が情報を処理する、みたいな。

でもTVや照明って、買い替えのライフサイクルがあるから、広まるにはまだ時間がかかると思う。

その点、BOCCOにもそういった家電を操作するようなセンサーが付けば、子供にも高齢者にも安心して渡せるし、いいと思うんですよね。

青木:なるほど。BOCCOにもマイクだけでなくセンサーをつけて、更に声で操作するよりも、勝手に状況を読んでくれるような機能があれば、ニーズは広がりそうですね。

ディープラーニングで見える幸せの形

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青木:音って、実はすごく重要な情報が含まれているんですよね。

例えば、足音やドアを開け閉めする音で、相手の機嫌がわかったりしますよね?

角:そうですね。そして妻の機嫌をディープラーニングさせると(笑)

青木:あとは子供の喧嘩している声とか。

角:喧嘩の仲裁までしてくれたら最高なんですけどね。「もうやめなよー」って(笑)

青木:それは難しいな(笑)

角:例えば、機嫌が悪くなって、泣いていると、パッと好きなキャラクターをテレビに映すとか。そして3分後には二人ともその映像を見ている。

青木:いつのまにか仲直り。それくらいならできますね。

結局人間って、自分の意思で動いているようで、周りのお膳立てで生きてるんだなというのが、子供を見ているとわかります。

角:環境でほぼ決まりますからね。

青木:反射で生きているだけなのに、自分は自由な意思に基づいて行動していると思い込んでいる。でも自由な意思って実はほとんどない。

家に帰って、「早くお風呂に入れ」と言われると入りたくなるなるけど、BOCCOに「ビール冷えてるよ」って言われると、つい入りたくなってしまうような。

角:そうそう。レコメンデーションが行動化するっていうやつですね。

青木:でもその方が、人間は幸せかもしれないですね。

もちろん、人間の行動すべてをコントロールしようというのは危険だけど、「子供が自然と宿題をやるような環境を作る」というのは、みんな幸せになれると思います。

角:まさにそう思います! 御社のロボットによって、多くの家庭にそんな未来が到来する日を楽しみにしています。今日はありがとうございました。


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最近では、しっぽを撫でることで癒し効果を得られる、動物のようなコミュニケーションロボット「Qoobo(クーボ)」をリリースしたユカイ工学。青木さんには、これからも人を幸せにするプロダクトを、どんどんリリースしてくれることを期待しています!

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