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AIが変える仕事の効率化と働き方改革〜AIのプロが語る!AIで変わる仕事と働き方 LINEヤフーアカデミア・LINEヤフーテックアカデミー合同カンファレンスレポート〜

AIの進化は留まることを知らず、私たちの働き方や組織の在り方に革命をもたらし続けています。この変革の重要な鍵となるのが、AIを活用できる人材です。では、AIを使いこなせる人とはどのような人物でしょうか? AI活用が当たり前になった今、仕事と働き方はどう変わるのでしょうか。そして、現代に求められる人材とはどのような人たちなのでしょうか。
本記事では、2024年4月25日(木)に開催されたLINEヤフーアカデミア・LINEヤフーテックアカデミー合同カンファレンス『AIのプロが語る!AIで変わる仕事と働き方』のレポートをお届けします。セミナーでは、AIを日々業務で活用しているプロフェッショナルをパネリストに迎え、これからのAI人材育成のあり方や、組織が取り組むべき課題について深掘りします。(文/QUMZINE編集部 土肥紗綾)


角勝(以下、角):進行を務めさせていただきます角と申します。どうぞよろしくお願いいたします。 
本日は『AIで変わる仕事と働き方』をテーマにしたトークセッションを行っていきたいと思います。働き方の変化、これから求められる人材についてお話しして、質疑応答の時間も設けていきます。

私からまず自己紹介させていただきます。9年前からフィラメントという会社を経営しています。事業内容としては、新規事業の立ち上げや新規事業を創り出せる人材を育てるといった、「企業の変革をプロデュース」をしております。フィラメントを創業する前は、20年間、大阪市役所の職員をしていました。
新しいことに大変興味がありまして、それが講じて、LINEヤフーアカデミアの講師としてのお仕事やメディア連載をいくつかさせていただいています。連載の1つに、CNET Japan『 ChatGPT、70点の回答を100点に育てあげるプロンプトマネジメント講座』というものがありまして、ChatGPTや生成AIでこんな使い方ができるんじゃないかとユーザー目線でいろいろな実験をしています。

角:今回は、ユーザー目線の私とはまた別の視点を持つエンジニアのプロのお二人をお招きしています。まずは宮園さんから自己紹介をお願いします。

宮園太貴 氏(以下、宮園): 株式会社ZOZOの宮園と申します。本日はよろしくお願いいたします。私は現在、AIプロダクトマネージャーとして、ZOZOにおけるAI事業の企画・推進を担当しています。
我々のチームでは、ZOZOにおける生成AI活用の推進も行っていて、昨年の半年間で全社から集めた50件のニーズに対応して生成AIを使ったツールの開発や社内業務の効率化を進めてきました。今日はその辺のお話もできればと思っています。あとは、LINEヤフーテックアカデミーのAI活用アカデミアコースの講師も務めています。

角: 今日はどうぞよろしくお願いいたします!では、続いて太田さん、自己紹介をお願いします。

太田和樹 氏(以下、太田):太田と申します。私はForestという会社を経営していて、システムエンジニアとして仕事をしています。普段はアプリを作るプロジェクトの管理や設計などを行っています。アプリ開発の中でAIに関わることが増えてきて、ここ10年くらいAI関連のプロジェクトに携わっています。生成AIについては、一昨年くらいからいろいろなプロジェクトを進めていて、企業向けの講演や講義も行っています。

どれだけ時間が必要かわからないアイデア出しが、予測可能な作業に変わってきている

角:では早速ですが、「AIで仕事の内容や進め方がどう変わったか」というところに切り込んでいきたいと思います。まず1つ目の問いとして「AIで働き方がどう変わったか?」という部分ですね。生成AIを使ってこれもできるあれもできるとなってきてるんですが、それを踏まえて、現状の働き方は実際のところどうなっているのかという部分についてお聞きしたいなと思います。

太田:私はエンジニアなので、いろんなアプリを作っています。普段はアプリのアイデアを考えたり、チームで集まって時間をかけて会議したりするんですが、なかなか良いアイデアが出なくて苦労することが多いんです。そこでAIを活用すると、すごいアイデアは出ないけれど、8割ぐらいの完成度のアイデアが短時間で出てくるんですよね。それを叩き台にして、人間がよりクリエイティブで創造的なアイデアを生み出すことができます。今まではどれだけ時間がかかるかわからなかった仕事が、ある程度予測可能なものに変わってきているのが、私自身としては最もメリットを感じていますね。

角:プログラムを作るときのアイデアの出し方って、具体的にはどんな感じなんでしょうか?

太田:たとえば、家を建てるときは間取りや素材はまちまちですよね。ライフスタイルに合わせてどう家を建てるかを話し合いながら決めていくと思うんですが、それと同じように、アプリの目的があっても、どう作る・どう見せるというのはお客さんや状況によって違うので、いろいろ考えながら進める必要があります。

角:AIでアイデアを出させると、人間に分かる文章で出てくるんでしょうか?それとも、プログラムのブロックのようなものが出てくるんでしょうか?

太田:実は両方できます。人間が話すような自然な文章で回答してくれることもあれば、実際のプログラミングのソースコードを出力してくれることもあります。お願いした形でいろいろ出してくれます。

単純作業を効率化することで創造的な仕事に集中できる

角: すごいですね。お二人にお伺いしたいのですが、生成AIの活用によってどれくらい作業時間が短縮されるか、イメージできますか?作業内容によるとは思うんですが、たとえば5時間かかっていた仕事が半分くらいに短縮できるみたいなインパクトはありますか?

太田: 使い方によりますけど、あると思います。

宮園: 単純作業や大量のデータ処理などを自動で行うためのコードを書いてしまえばすぐにできます。ただ、これまではこのコードを書くのにも時間がかかっていたので、コードを書くなら自分でやっちゃった方が早いよねというケースもたくさんあったと思うんですが、今はAIがコード生成を助けてくれるので、結果的に作業が大幅に短縮されます。なので、圧倒的に効率化できているのかなと思います。

太田:そうですよね。何かをテストしたり単純作業の繰り返しであったり、すごく効率化ができますよね。 
でも、AIって効率化するだけじゃなくて品質を向上させる方向にも使うことができるんですよ。先ほどお話ししたアイデア出しだと、たしかに時間かかけられる時間も少なくなるんですけど、効率化できた時間でより人間が考える時間が増えるので、より良いアイデアが生み出しやすくなるといった方向での活用もできるかなと思います。

角:すごいですね。太田さんのお話を聞いて、時間がかかっていたベースとなるアイデア出しの部分はAIにやってもらって、その上でのより創造的な部分に時間を集中投下するといった使い方がありありと見えてきたなと思いました。

非エンジニアが生成AIを使うことで、エンジニアと非エンジニア双方にとって利点がある

角:宮園さんの周りではAIで働き方がどう変わりましたか?

宮園: 私の今の職種はPMなので部門のメンバーには非エンジニアもいます。冒頭でもお話ししたように、社内で生成AI業務活用ツールを開発していて、開発にあたって難易度の高い部分はデータサイエンティストやエンジニアにお願いしていますが、大半は自分たちでツールを作ってリリースしています。やりたいことを言語化して、それを実現するためのプログラムを生成AIで作っているので、非エンジニアでも簡単なツールは作れるようになり、生産性と効率が大幅に向上しています。

角: プロンプトを作成したものを他の部署の人が使うこともありますか?

宮園:そういったこともありますね。汎用的なツールとして提供しているので、他の部署でも使い回しができるようになっています。

角: エンジニアのトレーニングを受けていない人でもそれができるようになるのは大きなメリットですね。そういう人たちが増える気配はあるのでしょうか?

宮園:増えると思います。エンジニアやスペシャリストには専門的な仕事を任せ、それ以外の部分を自分たちでできるようになるのは大きなメリットです。エンジニアに頼んでいた仕事の一部を非エンジニアにもできるようになるのは双方にとって大きな利点と言えます。

AI時代に求められる人材:新しいものを積極的に活用してみるマインド

角:次の質問に移りたいと思います。「AI時代に求められる人とは」ということなんですけど、なかなか一言でいうのは難しいと思うんですけど、いかがでしょうか?

宮園:新しいものを積極的に触ってみる、活用してみるというマインドを持ってることが非常に重要かなと思っています。やっぱり使ってみないと、どのように活用できるのかといったところが肌感覚で理解しにくいというのがあると思うので、まず一歩踏み出してみることが大切ですね。

生成AIはどんどんアップデートされているので、触っておかないと知識もアップデートされていかないですね。だから、今のレベル感だと自分の業務に使えないなと思っていたら3ヶ月経てば使えるレベルになっていたというのを見逃さないためにも、積極的に使っていくのが必要なのかなと思います。

角:そのためにはやっぱり好奇心が必要になるんでしょうね。

太田:そうですね。いろいろな会社さん向けに研修をするんですが、「1〜2回は使ったことがあるけど、日常的には使っていない」という方が大多数です。

角:お二人のお話をお伺いして、「なんだ、ChatGPTってこんなものか」と思わずに、どう使ったらこの70点の答えしか返してこないものを80点90点の答え、あるいはもっと面白い答えを返してくれるのかと考えて、いろいろ遊んでみることでトライを重ねることが大事なんじゃないかなと思いました。続いて、質疑応答に移ります!

質疑応答1:企業へ生成AIの導入をリードできる人材の需要が上がるが、どのように導入をすべきか

太田:まずは「人材」の定義ですね。必要とされる人材としては、専門家が必要なわけではないんですよね。 AIを使いこなせる人材が必要と思っていただければいいんじゃないかなと思います。で、進め方なんですけど、まずは会社全体の底上げのために「会社全体がAIを知って、どう使えばいいのかを理解する」こと。そして最終的に「AIを使いこなせる人材を育成する」といった形で進めていくと、AIの使い方も価値観も分かった上で人材育成ができるので良いのではないかと思います。

質疑応答2:AI時代を生きていく子どもたちにどのような教育が必要だと思いますか?

太田:今の子どもたちもAIはいずれ使うことになる、というか使わざるを得ないと思います。
そのときに、「どう使うのか」という観点で考えなきゃいけないのかなと思っていて。たとえば、自分自身の興味があることを伸ばすような感じでAIを活用するとかですかね。

宮園:今後、スマートフォンやパソコン上で完結することがより増えてくると思うんですけども、だからこそ、リアルでできる体験をしておくことが子どもには必要なのかなと思っています。

角:AIの時代に生きていく子どもたちも、 結局は我々がやってきたことと結構似ているというか、本質的には同じような教育が必要なのかなと思うんです。AIを使っていると求めていたものとは違う回答が来て、「いやいやそうじゃなくて……」って言う必要もあるんですけど、 これって普通にコミュニケーションなんですよね。人間と人間のコミュニケーションにすごく似ています。たとえば、70点ぐらいの回答しか来なかったときに「ここんとこ、もうちょっとこうしたら良くなると思うからやり直してみて」って言うのって、先輩が後輩に言うのとよく似てると思うんですよ。こうやって足らないところを見つけて、こうした方がいいよって伝えて、お互いに良くなっていくというのは、AIとのコミュニケーションにおいても人間同士のコミュニケーションにおいても大切なことですよね。そういうことが今後も大事なのかなと思いました。

おわりに

角:AIを使いこなす組織と人というのは今後も重要になっていくんじゃないか。じゃあ、そういう人たちのスキルをどうやって高めていくのかっていうところでこちらをご紹介させてください。LINEヤフーテックアカデミーというものがありまして、こちら、LINEヤフーのノウハウや経験を反映したAIの業務活用法やプログラミングスキルが習得できる講座です。こちらが法人向けに提供開始していて、AI活用アカデミアコース・データ活用の基礎コース・ウェブアプリケーション開発コースの3種類があります。本日登壇している我々がこちらのコーチをしています。興味のある方はぜひこちらからご確認ください。

角: では、最後にお二人にコメントをいただきたいと思います。

宮園:今まで生成AIが発展したと言っても、パソコンでやる仕事が効率化していくみたいなイメージが強かったのかなと思うんですけども、今後はリアルな人がやっている作業も置き換えられていくのかなと思っています。冒頭でお話ししたように、撮影自体が必要なくなったり、省力化されたりしていく。そういった波は既に来ていて、それがどんどん加速していくのかなと思っています。

太田:私は、自分のちょっとしたスキルアップ欲を満たすことができるんじゃないかなと思いますね。漫画や絵を描きたいといった、ちょっとした自分のスキルアップをAIを使ってできるというのが現実的になってきています。これを企業に置き換えてみると、いわゆるリスキリングになるんじゃないですかね。プログラミングが分からない方がちょっとプログラミングに挑戦したいみたいな、新しい分野に進出をする時にちょっとAIに手伝ってもらうとか、そういったところがすごいやりやすくなってくる世の中なんじゃないかなって思っています。

AIに手伝ってもらうと「恥ずかしくない」ってのはかなり ありますよね。英語の練習相手とかにすごく最適で、AIと英会話の練習をすれば恥ずかしがらずにバンバン会話できたりします。

角:時間も自由ですもんね。

太田:そうそう。いつでもどこまでも相手してくれるので、リスキリングには最適な相手なんじゃないかなと思います。

角:お二人とも素敵なコメントをありがとうございます。ということで、『AIで変わる仕事と働き方』セミナーをこれにて終了とさせていただきます。ご参加いただいた皆さんありがとうございました!

【プロフィール】

モデレーター:角 勝 氏
株式会社フィラメント 代表取締役CEO

島根県出身。ガソリンスタンドなどを営む経営者の家庭に生まれる。関西学院大学で西洋史を学び、新卒で大阪市役所に入庁。税務、福祉、都市計画などの部署を経て、イノベーション推進部門に配属。大阪イノベーションハブの立上げ・運営に携わったのを機に退職し、企業の変革をプロデュースするコンサル会社フィラメントを立ち上げる。現在は約20名の仲間とともに、主に大企業を顧客として新規事業の創出に関する様々な施策や、パーパスやミッション・ビジョン・バリューの策定と社内浸透、変革に挑める人材の育成などを総合的に手掛けている。LINEヤフーアカデミアの講師としても活動。メディア連載多数。

登壇:宮園 太貴 氏
株式会社ZOZO AI・アナリティクス本部 AI事業戦略部 ディレクター
LINEヤフーアカデミア認定講師

株式会社ZOZOにてAIプロダクトマネージャーとして、AIの事業企画、推進を行い、メンバーのマネジメント及び育成を行っている。AI活用人材の育成を目的とした「AI活用アカデミア」での全体監修及び講師を務め、また2022年から東京大学・九州大学において、学生向けのAI講義を担当。

登壇:太田 和樹 氏
Forest合同会社代表

システムエンジニアおよびプロジェクトマネージャーとして、Web系アプリケーションの企画、設計やプロジェクト管理を手掛けている。​またAIの分野で10年以上の実績を持ち、企業にAIや言語モデルの効果的なビジネス活用の方法を伝えている。​言語モデルやプロンプトエンジニアリングについて多くの講義や講師経験を持ち、AI活用人材の育成を目的とした「AI活用アカデミア」での講師を務めている。またAI領域に関する書籍を複数出版している。

QUMZINEを運営するフィラメントの公式ホームページでは、他にもたくさん新規事業の事例やノウハウを紹介しています。ぜひご覧ください!


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