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アニメで妄想する未来から「応援」についての最新研究まで大人4人が雑談しました|井上浄さん×今井俊文さん×蛯原健さん×角勝 ~雑談王~

ビジネスパーソンたちの雑談現場に潜入!一体どんな話題で盛り上がっているのでしょうか?「飛行機に乗ったときは●●をする」から「応援に関する最新研究」までさまざまな話題が飛び出しました。
今回は、井上 浄さん(株式会社リバネス 代表取締役社長 CCO)・今井 俊文さん(フィラメント顧問 兼 エグゼクティブ・コンサルタント)・蛯原 健さん(リブライトパートナーズ株式会社 代表/フィラメント 顧問)・角 勝(フィラメント 代表取締役 CEO)たちの雑談の様子をお届けします。


SFな社会が到来しつつある


角:皆さんはアニメは見ますか?


井上:寝る前15分とかなんか見てますね。息子から紹介されるやつとか、今だと『PSYCHO-PASS サイコパス』をまた見てます。

角:人間の性格傾向とかが計測・数値化できるディストピアなアニメですよね。ドミネーターっていう特殊な銃が出てくるやつ。

井上:そうです。世界観みたいな初期設定が面白いとハマって見ちゃうんですよね。サイコパスの初期設定は、人間が犯罪を起こすかどうかのデータが全部取られていて、その人のサイコパスの数値が上がって犯罪者レベルを超えると「潜在犯」と判断されるっていうものなんですけど。

角:映画の『マイノリティ・リポート』みたいな感じですよね。

井上:近いですね。今ちょうど、毛髪を使って、非侵襲的にストレス評価ができるベンチャーをサポートしてるんです。この技術の延長線上にアニメの世界観があるって思うと、なんか勝手に面白さみたいのを感じるんです。起こり得る1つの世界観ではあるなって考えるのが楽しいんです。未来を刺激されているみたいで。

角:僕、SFがすごく好きなんです。子供の頃、SF全集を全部読んだ時に「未来を考えるってこんなに楽しいのか!」と興奮したんです。 しかも、大人になればなるほど、未来をリアルに感じる力みたいなものがだんだん育ってくるじゃないですか。
今仕事としてやっている「新規事業」も未来のリアリティを感じられるかみたいな部分で通ずるところがある気がします。

井上:日本のアニメの世界観を作る技術ってやっぱすごいですよね。『攻殻機動隊』とか。

今井:人間が支配される日が来るな、奴隷っていうものは本当に成立しちゃうな、って感じますよね。人間の一部の資産を持っている人と、そうではないロボットにこき使われる奴隷という構造は近い未来に来るかもしれないなと。

井上:そういうのを見てると、危機感みたいなものを感じてるのってルールに従ってる人たちの層じゃないですか。ルールを作る側の人たちからすれば、違和感がないんですよ。AIが判断するのも一軸としてあるのかなと思っちゃう。そういう世界観とかルール作りをしたらいいだけの話かなと思っちゃうんですよね。そういうのをなんか妄想するのが面白くて好きですね。

蛯原:僕、聞きながら思ってたんですけど「考える」って苦痛じゃないですか。

角:苦痛…。

蛯原:多分、2人(井上さん、角さん)は多分普通じゃない(笑)。
僕は考えることが苦痛で、思考を止めたい派なんですよね。だから、音楽を聞いて、夜景を見て、ウイスキーを飲んで、思考を止めたい。

角:蛯原さんが日中のお仕事で脳をオーバーヒートさせてるから夜に休めてるというのはないですか?

蛯原:ちょっと違うかなあ。

井上:思考が瞬発力型なんじゃないですか。クールダウンの違いなのかなと思いました。思考を停止するのと、別の思考回路を動かすことでさっきまで使っていた思考をクールダウンするって感じで。

角:僕もそうです!1つのことをずっと考えてるとオーバーヒートしちゃうから、別のことを考えてクールダウンしてる感じ。

井上:つき詰めると止めなきゃいけないレベルが来るのかな?

蛯原:いやでも、Aを考えるのが辛くてBを考えるってこと自体、普通じゃない気がしますよ(笑)。

角:村上臣さん(※フィラメントCSO)も僕らと同じパターンじゃないかなって思うんですよね。

飛行機に乗って誰かに憑依する、自分というOSに他人というアプリケーションをダウンロードする

井上:今思ったんですけど、俺、映画とかアニメとか見てて、あっという間に感情移入して間違いなく泣くんですよ。

今井:さっきも飛行機で『すずめの戸締まり』を見て泣いたって言ってましたもんね。

角:感受性が高いんだ。

井上:飛行機で映画見て泣くほかにもう1つやってることがあるんです。「誰かに憑依する」ってやつなんですけどね。まず、飛行機に乗るじゃないですか。国内だと最大2時間ぐらいだとして、搭乗したら携帯もパソコンも全部閉じて、「今日は誰に憑依しようかな」って考えるんです。

今井:憑依…?

井上:最近会った関係性の強い人、例えば角さんのことを思い浮かべて、角さんだったらこういうのをどう捉えるんだろうみたいなことを考えるんです。自分の今の捉え方とはまた別で、角さんだったらどうするかなって。角さんになったつもりで物事を捉えていって、違う視点から答えみたいなものが見えた時がなんか気持ちいいんです。

角:僕に憑依していただいてありがとうございます。いやなんか、僕本当に井上さんと全部いっしょです。本当に。

蛯原:いっしょなんだ(笑)。

井上:これをいろんな人たちでやってて、映画やアニメを見るときも同じく主人公に完全に没頭します。もちろん、主人公と僕の考えは違うんですけど、主人公がなにか行動を起こして、僕と感情のズレがあると、「こういうとらえ方があるのか!」と思ってなんか泣けるんです。

角:他人の視点に立って、自分の中にはないはずのアルゴリズムみたいなものを走らせると「これはこういう感じ方なんだ」ってわかる時ありますよね。自分というOSに違う人の思考回路をアプリケーションとしてどんどん入れてシミュレーションをしていくのが好きなんですよね。
この人はこういう情報を持っていて、こういうプレッシャーを受けていて、こういう環境でこういうことを求められていたら、多分こういう成果を出すんじゃないか…みたいなやつを考えるんですよね。そうすると、腑に落ちてすごいスッキリするんですよ。これって井上さんが言ってたのと同じ感じなんじゃないかな。

井上:そうですね。そういうことするの、好きですね。

角:視点が増えていくっていうのを実感できる妄想癖っていうか(笑)。

蛯原:それって、好きな対象の人にしか憑依しないはずじゃないですか。わざわざ苦しいことや意見が対立してる人に対してはやらないっていうか。

井上:それは仕事上で考えます。飛行機に乗ってたらやらないです(笑)

角:僕も仕事上でもやってますね。当たり前のように相手の立場に立って考えるというか。
でも井上さんとちょっと違う部分で言うと、僕は歴史上のこの人はどう考えてるかっていうのもやりますね。そこが多分ちょっと違うなと思ったところですね。

「応援」を研究する〜応援する人・される人・それを目撃している人〜

井上:最近、応援っていうものをしっかり解析しようみたいな取り組みをやってるんです。応援ってどういうものなのかよくわかってないんですけど何か人に影響を与えてるんですよね。

蛯原:確かに。

角:応援、確かによくわかんないな。

井上:過激なサッカーファンとしてフーリガンがいたり、亜種としてはコロッセオで人の殺し合いをみんなが応援してるなんてのもある。これは危ない応援の方法ですよね。こういうのも含めて、応援の種類でプラスにもなるしマイナスにもなるけど、それはよくわからずに応援するじゃないですか。
しかも、応援する側もなんか応援することで気持ちよくなったりもする。つまり応援する側にも効果があるんですよね。

今井:なるほど。

井上:こういうのを言語化なり可視化なりしなきゃいけない。で、この話を社会心理学者の方に話したら「めちゃくちゃ面白いよね」って言ってもらったんですけど、応援に関する論文を調べたらほとんどない。

本当に偶然なんですけど、その研究者がたまたま感謝の研究をしてる方だったんですよね。感謝の研究にも、する側/される側にどういう影響があるかっていうのを見てたんです。
そうしたら、「感謝する人」、「感謝される人」に加え、「それを見てる人」っていう視点があったらしいんですよね。

角:おお!?

井上:感謝する人とされる人がここにいたとして、それを僕らが見てると、何か得るものあるじゃないですか。そういう効果が最近「目撃効果」として証明されたんです。それにはプロトコルがあるらしくて、じゃあそれはそのまま応援学っていうところに使えるじゃんって思って。「応援する人」「応援される人」、「それを見ている人」になりますね。だって、箱根駅伝とかまさにそうじゃないですか。その辺の効果みたいなのをちゃんと解析しなきゃいけないからちょっと研究を立ち上げようかみたいな感じになって。

角:これはすごいトライアングルですね。

井上:ビジネスにあてはめると、「ビジネスを生み出す人」「それを応援する人」そして「それを目撃する人」っていうポジティブな社会が回るんじゃないかみたいな妄想をしてます。

今井:精神的に何か受け取るものが絶対ありますもんね。

蛯原:感じ方や言語化について人によって違いすぎるから共通項が見出せないみたいなことはないんですか?

井上:ありますあります。ただ、その中でもベースとなる考え方とか絶対に普遍的なものは存在していて、それが例えば研究の中では感謝や自己効力感です。それらをどう測定するかってのをやろうと思って、近々公開できるように頑張ってます。それが「応援学」です。

角:多分ね、今フィラメントでやってることとだいぶ近いと思うんですよ。新規事業伴走支援って「応援業」でもあると思うんですよね。

蛯原:ベンチャーキャピタルの「支援」と「応援」はちょっと違いますよね。ベン図としては若干交わってるけど、結構違います。

井上:「応援」側は別に見返りを求めてないんですよね。投資となるとリターンを検討しないといけない。見返りを求めないサポートの仕組みが「応援」なんです。

蛯原:あと、支援される側が弱者っていう前提がありますよね。応援だと関係性の強弱が生まれないという感じがします。

今井:確かに。

角:エンゼルスの大谷翔平に対して支援する必要は全くないですよね。

井上:我々がやってるのは「支援」じゃなくて「応援」ですよね。


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【プロフィール】

井上 浄
株式会社リバネス 代表取締役社長 CCO


博士(薬学)、薬剤師。 大学院在学中に理工系大学生・大学院生のみでリバネスを設立。博士課程を修了後、北里大学理学部助教および講師、京都大学大学院医学研究科助教を経て、2015年より慶應義塾大学先端生命科学研究所特任准教授、2018年より熊本大学薬学部先端薬学教授、慶應義塾大学薬学部客員教授に就任・兼務。研究開発を行いながら、大学・研究機関との共同研究事業の立ち上げや研究所設立の支援等に携わる研究者であり経営者。

今井 俊文
フィラメント顧問 兼 エグゼクティブ・コンサルタント

慶應義塾大学経済学部卒業。2003年大和証券株式会社に新卒入社後、光通信グループにてベンチャーキャピタル部門、経営戦略室、子会社の事業統轄やグループ会社の立ち上げ等を経験。その後、株式会社ザッパラス、株式会社gloopsを経て、2013年セガグループ入社。モバイルゲーム事業における開発運用コンサル・市場分析を担うコンテンツラボの立ち上げや、同事業において事業戦略統括部長、開発部長を経験。2020年より株式会社MIXIにて、スマホゲームタイトルの開発・運営組織の事業部長、NFT事業(DAZN Moments)の立ち上げを経て、2022年6月より同社人事本部。幅広い経験を活かし複数のスタートアップのアドバイザー・顧問も務める。

蛯原 健
リブライトパートナーズ株式会社 代表 フィラメント 顧問

シンガポールにて東南アジア・インドに特化したベンチャーキャピタルファンドを運用する リブライトパートナーズ㈱ 代表
インドネシア史上最大規模IPOやフィリピンスタートアップ史上最大M&Aエグジットをファーストラウンドにおけるリードインベスターとして創成する等の実績を有する
日本証券アナリスト協会 認定アナリスト(CMA)
1994年 ㈱ジャフコに入社、以来一貫しスタートアップ投資及び経営に携わる
2008年 独立系ベンチャーキャピタルとしてリブライトパートナーズ㈱を創業
2012年 シンガポールに事業拠点を移し東南アジア・インド投資を開始
2019年 書籍 『テクノロジー思考 技術の価値を理解するための「現代の教養」』 -ダイヤモンド社- を上梓

角 勝
フィラメント 創業者・CEO

1972年生まれ。2015年より新規事業創出支援のスペシャリストとして、主に大企業において事業開発の適任者の発掘、事業アイデア創発から事業化までを一気通貫でサポートしている。前職(公務員)時代から培った、さまざまな産業を横断する幅広い知見と人脈を武器に、必要な情報の注入やキーマンの紹介などを適切なタイミングで実行し、事業案のバリューと担当者のモチベーションを高め、事業成功率を向上させる独自の手法を確立。オープンイノベーションを目的化せず、事業開発を進めるための手法として実践、追求している。

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