セルフコントロールできない・リモート向けでない・変われない人を「生き残れない人」と言うだけでいいのだろうか
こんにちわ、フィラメントの宮内です。相変わらず「働き方について」「リモートワークについて」の課題感は満載なようです。今日は、もうひとつの論点として「セルフコントロールは消耗資源」という話をしたいと思います。
先日出たこのアンケート結果、生産性が下がったという人が6割ということで、最近よく引用されていますね。その延長で、テレワークできる人は一部の人とか、エッセンシャルワーカーはそもそもテレワークできないとか、いろんな意見が出ています。
個人的にはすごく非論理的に思えて。テレワークができない人が一定数いるのは当然のことで、むしろどうしてもオフラインで出勤しなきゃいけない人の安全(おもに満員電車)のために、テレワークできる人は積極的にやるべきなんじゃないか、と。この一部の人をどれだけ増やしていけるかに、日本の将来はかかっていると言っても過言ではないと思います。
セルフコントロールできない人は、変われない人なのか?
先日、落合陽一さんの「WEEKLY OCHIAI」を見ました。その中でJINSの井上さんが言ってたんですが、やっぱり家族とかの子供とかの世話があってなかなか集中できない人がいる一方、単身で仕事内容が集中してできる人なんかはむしろリモートワークにしたほうが全然生産性が高いみたいなことが話されていました。
まぁそれは当然ですよね。
僕も1人で家で仕事してる時がいちばん集中できている実感があります。当然ですが向き不向きがあるけど、個人個人の努力でそれをどれだけ増やしていけるかが大事なわけです。
一方でよく言われる、セルフマネジメントができる人はリモートワークに向いているという説なんですが、これは当然一面の真理がある一方で、セルフコントロールをするというのはそれだけ「脳の意思決定を消費」しているわけです。行動経済学で明らかになっていることで、チップ・ハース&ダン・ハースの『スイッチ!』にそういう実例が出てきます。
セルフコントロールは消耗資源である、心の筋肉そのものを消費するわけです。なのでよく変化すること・変わり続けることがVUCAの時代には大事と言われますが、実はそれは非常に心の筋肉そのものを消費してしまう、変化しない人は怠けているように見えても実は疲れ切っている場合が多いということがわかります。
なので「変化できる人だけが生き残れる」みたいな議論って、僕はあまり好きじゃないんです。
怠けているように見えても実は疲れ切っている場合が多いのかもしれません。こういう場合の解決方法は「とびきり明確な指示を与えなければいけない」ということだそうです。たとえば病気の蔓延とかを改善する場合も、「もっと健康的に行動しよう」と訴えてもダメで、もっと具体的に「とびきり明確な指示を与える」必要があるそうです。
Zoom会議は確かにストレスが高い
ちょっと話は戻って、再び「WEEKLY OCHIAI」の話。落合さんの結論としては、非常に細かい部分でのトライドアンドエラーや検証が足りてないっていうことで、リモートワークって案外細かい部分でストレスを消費しているということでした。
これは僕も全く同じ意見で、例えばZoom会議に参加していても、自分はどこから情報を得ているのか、それに意識的になって、ストレスを減らすべくちょっとしたHackを加えてみるのは良いことだろうと思います。ぶっちゃけZoomの画面からはあまり多くの情報を読み取ることができません。だから別に画面等見なくていいわけなんですが、会議中によそ向いているとなかなか気を使いますし、相手からもどう見られているかも分かりません。そのため疲れてしまう。
また次のZoom会議は自分がホストなのかそうでないのか、どのアカウントでサインインするのか、バーチャル背景はどれなのか、ましてZoom以外にツールが加わってくるともう何が何だかわかんなかったりする一日はたまにありますよね。
一応それを全部オンラインのカレンダーに併記するようにしているんですが、中には会議主催者がそれをカレンダーに記載しないで、URLだけSlackで送ってきている場合があったりします。こういう時はもう「どこだよー」って混乱しまくるしめちゃくちゃ消費します。
あとはカレンダーやらツールやらMessengerやらでぽんぽんオーダーや依頼タスクが送られてきますので、いくら隙間時間やパラレルでやってもどれか一つは取りこぼしてしまうので、メモがめちゃめちゃ大事。インプットとかもこういう場所にまとめて書いちゃう。そしてそこから定期的にアウトプットしていくと自分の考えが整理されます。まず最初はFacebookのウォールに、その後はちょっと敷衍させてnoteにまとめてみるなど。。
まだまだそうしたHack、トライアンドエラーが必要ということと、とびきり明確な指示=定石があれば変われない人でも変われるのでは、というのが僕の意見です。
セルフコントロールは「情報のより分け」が肝心
またこうしたセルフコントロールというものと、いわゆる意思決定と言うものはちょっと脳みその使う場所が違うような気がしています。意思決定する場合というのは、どちらかというと本質を抽出してそれに対してのソリューションをいくつか考えるという頭の使い方。ある程度の時間的な余裕と、経験が必要。
対して、セルフコントロールというのはあくまで目の前のタスクを効率的にこなしていく頭の使い方。限られた時間で一定のタスクをこなさないといけないので、目に見えないストレスが蓄積していく気がします。
情報がインプットされた瞬間に、このより分けをさくっとやってしまうのが僕の場合はもっとも生産性に寄与するように思います。あと回しにするとどんどん振り回されてしまう。
セルフコントロールで消耗する前に、楽しもう!
なので最近は、リモートの生産性を考えるべき水準は、消耗するかどうかではなく、楽しめるかどうかでトラッキングするといい気がしています。
リモートワークで生産性が下がったという人もいればめちゃめちゃあがったという人もいます。これって要するに何かというと、仕事をするのが楽しいのか楽しくないのかということに尽きると思います。 仕事をするのが楽しければ、自室でいくら誘惑が多くてもガンガン仕事をします。反対に仕事をするのが楽しくなければ、誘惑はいくらでもあるし、ぶっちゃけサボることも可能だと思います。
これって別にリモートワークだからどうというよりも、 リモートワーク前はなんとなく会社にいて給料がもらえるので 顕在化していなかった問題というのが正しいと思うわけです。
そのことと、リモートワークはセルフコントロールがカギというのは、まったく別問題だと思うんです。繰り返し言いますが、セルフコントロールは消耗資産。自分にあったやり方で、工夫しなくてはならなくて、それはまだまだ発展途上なんです。消耗している人を「生き残れない」といった言説で切り捨て・分断するのではなく、インクルージョン(包括)していくべきでしょう。
セルフコントロールできる人が、リモートワークで生産性があがるとは必ずしも言い切れないのが、このコロナ禍におけるリモートワーク普及期の課題なんだと思います。
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