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話題の「Notion」で会社をイノベーティブに変える方法! ~達人たちがNotion活用の奥義を語ります~(1/2)

企業や組織がプロジェクトを進めていく上で課題となるのが「社内情報共有」です。
この解決手段として、まさに彗星の如くあらわれたサービスが「Notion」。さまざまな機能を兼ね備えたオールインワン情報共有ツールとして、2016年のリリース以来、世界の感度の高いチームが使い続けています。
今回はフィラメントCSOにして外資系企業日本代表の村上臣をモデレーターとして、社内共有ツールとしてNotionを導入したTakram代表の田川欣哉氏、シニフィアンの共同代表・朝倉祐介氏というめっちゃ豪華なNotionラバーたちが集結。日本第1号社員として新たにNotion Labsに加わった西勝清氏もお招きし、底知れぬ「Notion」の魅力に迫ります。(取材・文/QUMZINE編集部 岩田庄平)

Notionとは

村上:今回の会の趣旨は、盛り上がってきているものの、まだ情報の少ないNotionの便利さを伝えていくことです。リモートワークが続く中、社内の情報共有はどの会社においても課題であり、その課題を解決するためにSlackをはじめ色々なツールが使われています。その中でもNotionを使っている方はかなり先進的なユーザーと思っています。そこで、実際にNotionを利用されている田川さんと朝倉さんにお時間を頂きまして、どのように使っているのか、また今回はNotionの西さんもいらっしゃるので、「こういうふうにしてほしい」といった要望があればフィードバックをいただきたいと思います。まずは、西さんからNotionのサービス概要についてお話を伺えますか?

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西:Notionは、All-in-one Workspaceです。チームワークに関わる全ての情報を一つのツールで管理可能です。特にドキュメント管理、プロジェクトマネジメント、チームのためのwikiという三つの利用ケースで使われることが多いです。サービスの大きな特徴としては2つあり、1つは、Notionを通して仕事が完結する「All-in-one」であることです。
一般的に「ノートを取るときはノートのツールを使い、タスク管理するときは別のツールを利用する」といったように複数のツールを使うため、情報が散らばってしまうことが往々にしてあると思います。
しかし、Notionは情報の管理を集約できるため、Notionというひとつのツールで色々な作業が効率的にできるという点で多く支持を頂いています。

そしてもうひとつは、チームの課題や要望に応じて、柔軟にカスタマイズできることです。チームごとにツールに求めるニーズがあると思いますが、これまではツール側がユーザーの使い方を決めてきたのではないでしょうか。Notionはチームの課題感や使い方に応じてカスタマイズできる、という点でも評価を頂いています。

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私自身は、「ヘッド・オブ・セールス」という役職で、営業とマーケティングをはじめ、ビジネスオペレーション全体を担当しています。特に本社から期待されて、私が注力していることは、日本のユーザーの生の声から日本のマーケットに対する理解を高め、プロダクトをより良いものにしていくことです。

村上:Notionは何か国ぐらいに社員がいるんですか?

西:今はアメリカと日本とダブリン(アイルランド)の3か国ですね。

村上:かなり日本に力が入ってるんですね。

西:そうですね。ダブリンはヨーロッパを見ていますが、その拠点より日本の拠点が先だったので、私がインターナショナルで最初の社員でした。

村上:たしかにEvernoteとかも日本でかなりアーリーアダプターが盛り上がって、ユーザー数を伸ばしたイメージがあるので、Notionも日本人の好きそうなサービスですよね。

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Notionを導入した経緯

村上:Notionをどのように知って、どうやって社内で使い始めたのかという経緯をお聞きします。田川さんからよろしいでしょうか?

田川:弊社はエンジニアも多いので、早い段階からSlackなどのツールもアグレッシブに取り込んできましたが、ナレッジ共有のツールだけがなかなか決まりませんでした。そんなとき、うちのエース級のエンジニアが「Notionというものができたらしい」と聞きつけてきて、草の根で使い始めたら、みんなフォーリンラブじゃないですけど、一気に定着して今はもうNotionがないと会社が回らないレベルで使っています。

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村上:朝倉さんはいかがでしょうか?

朝倉:2019年の3月から使い始めています。たまたまアメリカで起業している友人と話をしていた中でNotionの存在を知りました。
テキスト管理ツールは従来、Evernoteを使っていたのですが、フラストレーションがあり、実験的にNotionを利用してみようと持ちかけて、今では、Google apps、Dropbox、Slackのようになくなると困るレベルで使っています。

村上:どのツールもそうですが、先進的な人がNotionを見つけてきて、波及していったんですね。社員の皆さんはすぐに使い方がわかりましたか。

朝倉:まず僕1人でNotionを試してみました。サクサク使える点と従来のノート系アプリのようにフォントが崩れることがなかった点で非常に気に入りました。
そのあと、社内に働きかけて、広まったのですが、導入当時は機能がたくさんあるため、「どのように使うのか」という試行錯誤はありました。現在は、基本的な議事録を中心に使っていて、複雑な使い方はしていません。ですので、機能をフルで使いこなしてはいないと思いますが、僕たちのニーズにおいては十分これで満足しています。

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村上:田川さんはどうですか?

田川:エンジニアを中心に広まっていきましたね。マークダウンが使えて、レスポンスもよいという点が社内でNotionが使われるようになった最初の理由だったと思います。
Google docsなどの場合、例えばボールドや下線を引くときに基本的にメニュー側に行く必要があるため、マウスとキーボードを行ったり来たりしなければいけません。しかし、Notionの場合はほとんどキーボードでドキュメンテーションが済んでしまうことがすごく魅力ですね。

最初はNotionをシンプルに使っていましたが、僕らの中での使い方で転機が訪れたのは、Notion社のNotionがブログで公開されたことですね。ブログの中には、Notionの活用方法とその解説があり、目から鱗の情報でした。
そのブログのおかげで、Notionがただのドキュメンテーションツールから、プロジェクト管理やタスク管理、スケジュール管理をするものに変化していきました。

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あとは、Notionの特徴でもあるリレーショナルデータベース(RDB)の考え方が社内に浸透したことも利用が広まった要因だと考えています。Google appsは、Web1.0的な感じで「検索」と「ディレクトリ」という考え方に対して、Notionはページの中にリンクを貼ることができるなど、Web的じゃないですか。だから、例えばメンバー間で、プロジェクトのデータベースをリレーショナルさせることができるので、回遊しているだけで、社員のオンボーディングにもなってしまう。

※リレーショナルデータベース(RDB):行と列によって構成された「表形式のテーブル」と呼ばれるデータの集合を、互いに関連付けて関係モデルを使ったデータベースのこと。
https://www.otsuka-shokai.co.jp/words/relational-database.html

村上:かなり使いこなしていますね。
確かにNotionのRDBのパワーはすごいですね。Webっぽいというか、クリックしていくことで、構造を意識しなくても必要なナレッジが引き出せることはいいですよね。

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あと、お聞きしているとTakramは透明性が高い会社の印象がありますが、「透明性を高めよう」というポリシーでもNotionを活用されているのですか?

田川:「情報は個人に紐づく人事情報以外は、社員は全ての情報にアクセスできるべきである」というポリシーのもと、それに沿ってNotionの開示レベルも設定されています。だから、人事情報以外は、会社の経済的な数値からみんながどのタスクを持っているのかという情報まで、全部オープンで共有されていて、基本的には誰でもアクセスできるパブリックのワークスペースに置いてありますね。

村上:逆にSlackなど別のツールではプライベートメッセージをすることはあるのですか?

田川:ありますが、DM比率は見ています。DM比率が高い組織は閉鎖的だと思うので、基本的にはオープンチャンネルでやっています。

村上:実際Notionで透明性を高めることで、社員や社内で目に見える行動の変化は起こりましたか?

田川:コロナ禍によって、今までは皆で和気あいあいと仕事をできた環境が分散し、コミュニケーションがオンライン化しました。そこで、この状況を逆手にとって、組織内で「何をするためにNotionを使っていくのか」をまとめて、50人くらいの社員全員のイニシエーションをしっかりやりました。
ほとんどの仕事をフルリモートに移行して、1年ぐらい経ちますが、Notionを利用することで、今の働き方やパフォーマンスが発揮できていると感じています。だから、僕たちにとって、Notionとは、組織のカルチャーやオペレーション、エンパワーメントを高めるツールとして捉えています。

Notionとナレッジマネジメント

村上:「ナレッジマネジメントをどうしているか」がテーマになってきましたが、朝倉さんは投資先も含めて、色々な情報共有をされている中で、どういうポリシーを持っていますか?

朝倉:RDB構造は僕らも活用していますね。投資先の会社について議事録ベースで情報を集める機会が多いですが、意識してまとめていかないと情報がいろいろなドキュメントに散らばってしまうんですよね。そんなとき、欲しい情報を探す作業がフォルダ構造だと人の記憶と経験や勘によってたどっていかなければいけませんが、Notionでは1つ1つのドキュメントが相互に関連付けられているので、探す手間がかなり軽減されています。

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僕たちは基本的に少人数で会社を運営しています。社内でかけるマネジメントの時間を極力減らしたいという気持ちが強く、なるくべくコミュニケーションコストを減らし、シンプルに運営したいと考えているんですね。マネジメントをうまくやることよりも、いかにマネジメントをしないでよい環境を作るかを意識しています。

情報のやりとりやマネジメントは従業員数が多い会社に比べたら、段違いで楽な一方、少人数でもプロセス上のやり取りは生じますし、情報伝達や連携がうまくいかないことも起こります。その点、Notionによって情報管理をパターン化や関連付けることで、効率は非常によくなりました。Notionで、僕たちのような少人数の会社でも劇的に変わったので、これが大きい組織だったら、全く違う景色になるんだろうなと思います。

Notionに期待すること

村上:Notionの導入で良かった点を聞いてきましたが、一方まだ解決されてない課題もいくつかあると思います。代表的なものを教えていただけますでしょうか。

朝倉:3つあります。
1つは、Notionが軽いがゆえに、うっかりドキュメントを消してしまったり、どこか違うところに移動させてしまったりする不安があることです。自分たちも間違ってドキュメントを消してしまって、バックログをたどって復元したことがありますが、ドキュメントごとにロックする機能があると安心です。

そして、ネット環境がないところでも使えるようになって欲しいです。現状はネット環境がないと使えないですよね?

西:オフラインは現在対応に向けて開発中です。

朝倉:コロナ禍で、なかなか外へ行くことはないのですが、僕たちの場合はNotionで議事録を取ることが多いので、ネット環境がないところでもサポートがあったらいいなと思います。
そして運用面の話です。機能面の問題ではないので、Notion自体の問題ではありませんが、Notionを利用する中で向き合う課題としては、やはり入力の習慣化ですね。忙しくて入力できないことがあって、その積み重ねが溜まってくると、運用できなくなると思うんです。だから、忙しくてもしっかり続けていくにはどうしたらいいのかを日々考えています。

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【プロフィール】

田川欣哉ポートレート

田川 欣哉(たがわ・きんや)
株式会社Takram代表取締役

テクノロジーとデザインの幅広い分野に精通するデザインエンジニア。主なプロジェクトに、トヨタ自動車「e-Palette Concept」のプレゼンテーション設計、日本政府の地域経済分析システム「V-RESAS」のディレクション、メルカリのCXO補佐などがある。経済産業省・特許庁の「デザイン経営」宣言の作成にコアメンバーとして関わった。グッドデザイン金賞、ニューヨーク近代美術館パーマネントコレクションなど受賞多数。東京大学工学部卒業。英国ロイヤル・カレッジ・オブ・アート修士課程修了。経済産業省産業構造審議会 知的財産分科会委員。英国ロイヤル・カレッジ・オブ・アート名誉フェロー。

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朝倉 祐介(あさくら・ゆうすけ)
シニフィアン株式会社共同代表

兵庫県西宮市出身。競馬騎手養成学校、競走馬の育成業務を経て東京大学法学部を卒業後、マッキンゼー・アンド・カンパニー入社を経て、大学在学中に設立したネイキッドテクノロジー代表に就任。ミクシィ社への売却に伴い同社に入社後、代表取締役社長兼CEOに就任。業績の回復を機に退任後、スタンフォード大学客員研究員等を経て、シニフィアンを創業。同社では、Post-IPO/Pre-IPO双方のスタートアップを対象とする経営支援事業、並びにIPO後の継続成長を目指すスタートアップを対象とした産業金融事業を通じて、スタートアップに対するリスクマネー・経営知見の提供に従事。主な著書に『論語と算盤と私』『ファイナンス思考』。
株式会社セプテーニ・ホールディングス社外取締役。Tokyo Founders Fundパートナー。

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西 勝清(にし・かつきよ)
Notion Head of Sales - Japan


2020年9月よりNotion日本1号社員として、営業・マーケティング活動を始めビジネスオペレーション全般を担当。ドキュメント管理、プロジェクトマネジメント、チームWikiをオールインワンで行え、かつ柔軟性の高いツールで、チームがより高い生産性を実現することをサポートしている。大学卒業後、シスコシステムズへ入社。セールス部門で多数の大手企業のグローバル展開プロジェクトに貢献、社長室戦略チームで事業企画や戦略策定を経験。2012年 LinkedIn Japanに立ち上げメンバーとして入社後、人事向け法人営業部門を統括。2019年 WeWork Japanに入社し、営業シニアディレクターとして戦略と組織を構築、事業拡大を牽引。オランダ・エラスムス大学ロッテルダム経営大学院 MBA。

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村上 臣(むらかみ・しん)
フィラメントCSO(Chief Strategy Officer)


青山学院大学理工学部物理学科卒業。大学在学中に仲間とともに有限会社「電脳隊」を設立。2000年8月、株式会社ピー・アイ・エムとヤフー株式会社の合併に伴いヤフー株式会社入社。2011年に一度退職した後、再び2012年4月からヤフーの執行役員兼CMOとして、モバイル事業の企画戦略を担当。2017年11月に7億2200万人が利用するビジネス特化型ネットワークを運営するグローバル企業の日本代表に就任。複数のスタートアップの戦略・技術顧問も務める。

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