伊藤羊一率いるスタートアップスタジオ「Musashino Valley」をフィラメントが応援する理由 〜Musashino Valley 代表 伊藤羊一✕フィラメントCEO角勝 特別対談〜
Musashino Valley、オープン!
角勝(以下、角):Musashino Valley、 オープンおめでとうございます!!!
伊藤羊一(以下、伊藤):めっちゃありがとうございます!!!!
角:オープンまでいろいろ大変だったんじゃないですか。
伊藤:ほんとね、大変でしたね。仕事が忙しくて、仕事の合間にちょびちょび考えるじゃないですか。で、時間が経つと「前はどこまで考えてたんだっけ」とかなってね、進んでいかないんですよね。だから、また戻って、また話して……ってそれだけで時間がかなりかかりました。
仕事の合間に仕事のことを考えるってのはこんなに辛いのかって思いましたね。時間の使い方や自分の重点の置き方、要するに「生き様」をシフトしていった感じでした。
角:やることがたくさんあるということは、それだけ思考するリソースが分断されていくってことですもんね。思考して積み上げて、しばらくしてまた思考しようとすると「どこまで積み上がったっけ?」というところから始まって……。
伊藤:そうそう。そうなんですよ。
このMusashino Valleyの場所を借りてからこうして形になるまで約9ヶ月かかったんです。
角:熟成させる期間だったんですね。
伊藤:よく言えばそういうことですね。(笑)
最初の頃は考えすぎて何も進まなくて、「とにかく場所を作る」ということにしてから進み始めました。場所を作るとなるとお金もかかりますし、この場所で何をやっていくのかっていうところを明確にせざるを得ない。しかし決めたら、そこから急ピッチに色々進んでいきました。
学生にとっても社会人にとってもアウェイではない場所を作りたい
角:Musashino Valleyのコンセプト「Guide to the NEXT」ってすごく良いなと思ったんですけど、こちらはどうやって決まっていったんですか?
伊藤:武蔵野大学のキャンパスの近くに位置しているということがすごく意味を持っているって話をしてたんです。アントレプレナーシップ学部をはじめとする学生のみんなが集まる場所で、社会人や起業家のみなさんとクロスする場所というのが最初のコンセプトとしてあったんですよね。武蔵野キャンパスに社会人の方に来てもらっても、学生がキャンパス外でビジコンだとかに参加しても、どちらも互いにとって、どちらかがアウェイなんですよ。だから互いがクロスする中間地点みたいな場所を設ける必要があると感じていて。
伊藤:アントレプレナーシップ学部だからって必ず起業する必要はないんですけど、起業する人はやっぱり増えていくわけです。そう考えた時に、起業サポートからファンド設立までを大学でするのは結構大変なので、武蔵野大学の近くにファンドやインキュベーションといった機能を持った場所があればいいなと思ったんです。そうやってEMC(Entrepreneurship Musashino Campus、武蔵野大学アントレプレナーシップ学部の略称)の学生だけじゃなくて、近隣の大学や社会人が集まる場所って考えたのが当初のコンセプトです。まあ今も残ってはいますが。
角:なるほど。
情熱を顕在化させてドライブする
伊藤:最近はアントレプレナーシップ教育という言葉も浸透してきて、講演依頼もかなりくるんです。で、自分にできることはなんでも話しちゃいますと、文科省主催のイベントにも喜んで出るわけですよ。
そうしていると、「これ、限界あるわ」ってなるんです。「俺の可能な限り現地に行って話すのはいいんだけど、そういう問題じゃねえな」って気がしてきたんですよね。片手間でやってちゃダメだなと。じゃあ本腰を入れてビジネスとしてやる必要があるとなった時に、武蔵野大学アントレプレナーシップ学部の外で、自分たちのビジョンやミッションに共鳴してくれる仲間が必要だなって思ったんです。だから、仲間が集う場所にしたいというのがありました。
角:なるほどね。
伊藤:それから、その仲間を募っていきたい時に「みなさん集まってください」って言うだけじゃなくて、俺たちが朝から晩までやってるアントレプレナーシップ教育のノウハウを一般化して社会人に対して展開できるはずだと考えたんです。
そうやって、「Guide to the Next」が生まれました。次のステップへ進む社会人を増やして、ビジネススクールみたいに入学して修了していくんじゃない、コミュニティのある物理的な場所を作りたかったんです。
このMusashino ValleyでEMCでのノウハウを社会人に対して展開する流れを作って、単にコワーキングスペースでも、単にビジネススクールでもない色々な人が交わる場所で仲間を探していけたらいいなって思ったんです。
角:武蔵野大学アントレプレナーシップ学部で培われた情熱をドライブする場所なんですね。僕は羊一さんが取り組んでいる姿を見ていると、人間の持っている情熱を顕在化させてそれをドライブさせているように見えるんです。
その姿を見た社会人の方も感化されて、その社会人を身近で見ている学生も影響を受けて……、そういった情熱が循環する場を作っているように感じます。
伊藤:まさにそうです。だから、ノウハウを提供する場でもあるし、情熱を提供する場所でもあります。となると、佐藤 大吾(取締役FW)や津吹 達也(取締役CB)と話しているうちに、やっぱりこれはバーチャルの世界ではなく物理的な場所が必要だということになったんです。決してコワーキングスペースじゃなくて、起業や新規事業をサポートするものでもなくて、「Guide to the Next」だと。この「次」に行くっていうところを「ガイド」していくんだっていうところが明確に視えてきたって感じですよね。
角:すごく面白いですし、ワードとしてもコンパクトでイメージがしやすいですよね。
最初はMusashino Valleyと聞いたときに場所というかハコモノをイメージしていたんです。でも、今コンセプトをお伺いすると、エコシステムを作ろうとされているんだなと感じました。
伊藤:そうですね。もちろん、そういうことはバーチャルでもできるわけなんですけど、ここ数年の社会情勢や心境の変化を経て、やっぱりエコシステムを作る上でリアルな場所ってやっぱめっちゃ重要だなって思ったんです。
角:すごく共感します!
Musashino Valleyの経営者・出資者として
角:僕個人としても、僕が経営しているフィラメントという会社としても、この場所で体現されている哲学がもっと世の中に広まればいいなと思っています。そういう想いがあって、今回出資をさせていただきました。出資者としては、ビジネスとしてはどんな感じですかというところもぜひお聞きしてみたいです。
伊藤:やはり場所には固定費かかるんで、まずは会費でそれらをカバーしていくことを考えています。そのためには、ざっくり言うと100名位の方に会員になっていただく必要があります。で、今日現在、会員の方は10名ですね。
なので、もうちょっと多くの方に会員になっていただかないといけないんですけど、ただ、なんかね、会員集めとかしたくないんですよ。
角:うんうん、羊一さんらしいなぁ。
伊藤:多分ね、会員になってくださいっていったら皆さんなってくれるんですよ。でもそれは違うなと思って。
たとえば、イベントを開催して僕の考え方に共感してくれた人が1人また1人と自然に集まっていってほしいと思ってるんです。今後、事業創造&成長支援イノベーションスクールを開校するので、そこで僕らのコンセプトや僕たちにできることを全部示していって、それをきっかけにしてここのコミュニティに入ってきてもらえたらと思っています。
角:無茶な営業とかではなく、共感していただくのがまず大前提。
伊藤:そうなんです。Musashino Valleyを魅力的な場所にしていくためには、ちょっと回り道みたいで、はたから見るとじれったく見えるものなのかもしれないんですけど着実に少しずつ形にしていきたいですね。もちろん、債務超過にならないように、とちゃんとプレッシャーを感じながらやっていきます(笑)。
角:会社からも出資しているので債務超過や破産は困っちゃいますけど(笑)、別に儲けようと思って出資してる人は僕含めて多分1人もいないと思うんですよね。それは僕らがまず共感してるからってことなんだと思うんです。だからお金に限らない様々なサポートをしていきたいなと考えています。
伊藤:ありがとうございます。共感していただいたからには、何がなんでも形にする必要があるなって思ってます。出資いただいてるっていうところを噛み締めながら、「このコミュニティに参加して良かったな」って感じていただけるようにしていきます。
「集大成」ではなくてここが「スタート」
角:Musashino Valleyはいうなれば、「伊藤羊一の集大成」という場所ですか?
伊藤:いや、違います。集大成じゃないです。集大成じゃなくて「スタート」なんです。
角:なるほどね。ここがスタートだと。
伊藤:そうです。ここがスタートなんです。
角:さすがアントレプレナーシップの塊ですね!
伊藤:ここをスタートにするために、いろんなものを積み上げてきたように自分で感じています。要するに、「ここで何すんのお前」っていうところにも繋がるわけですよ。で、自分は、この国はもう一度立ち上がれるってのを証明したいんですよね。
経済成長がなくても、ウェルビーイングであれば別にいいじゃん思う人もいるし、それはそれでオッケーなんだけど、やっぱりみんなが自信を持って、日本はいいところだ、世界のサステナビリティのために貢献してるんだみたいなことを感じながら仕事ができたらいいなって思うんです。そこに向けて、ここがスタートだなって思っています。
角:僕たちがかつて体験した感覚を、まだ大人じゃない方にも味わってほしいなって思いますよね。
伊藤:自分が自分であることに誇り持って生きてほしいんです。そういう世界を作りたいなって思うんです。
角:誇らしく生きていく、そんな生き方や生き様を学びたいっていう方にはぜひMusashino Valleyを一度訪れていただいて、それから、会員になっていただきたいですね!
伊藤:そうですね。お待ちしています!
[対談の続編は近日公開予定です!]
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