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MixLeap Joint #37 - "サーチX" 〜コロナで変わった家庭の料理〜 ミニレポート

ヤフー大阪と関西圏の企業や学校・自治体・コミュニティなどがコラボレーションし、業種・業界を超えた新たな課題解決やサービスの創出を目指したイベント、Mix Leap。QUMZINEを運営するフィラメントも何度かお手伝いしています。8月23日には検索データに関わるトーク&ディスカッションイベント「サーチX」のシリーズ第7弾、コロナ禍特別編として『調理器具』にまつわるパネルセッションがYouTube Live、Facebook Liveで配信されました。本稿では、その模様をレポートします。

今回のイベントは、ヤフー株式会社の中川雅史さん、内田真由美さん、飯田屋の飯田結太​​さん、そしてフィラメントの角勝が登壇しました。

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飯田さんは大正元年(1912年)に浅草かっぱ橋で創業の"超"料理道具専門店「飯田屋」6代目。TBS「マツコの知らない世界」やNHK「あさイチ」、日本テレビ「ヒルナンデス」など多数の情報番組で道具のマニアックな魅力を伝える料理道具の伝道師として活躍​​されています。今回のイベントでは、そんな飯田さんが特にオススメする調理器具に皆さんの注目が集まっていました。

コロナ前後で約27倍検索された調理器具とは?

イベントは、コロナ禍前後となる2019年と2020年のヤフーの検索データを比較し、家庭の調理体験、調理習慣のコロナ禍での変化を「ヤフー検索が導いた注目の調理器具5選」を5問のクイズの形式に落とし込んで進行されました。

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第1問は「コロナ禍で伸び率が一番高かった調理器具は何でしょうか?」というもの。

飯田さんはフライパンと包丁ではないかと予想しました。飯田屋でも「どれを買えばいいのか」といったようなお問い合わせがコロナ禍になってから多く発生したようです。特にコロナ禍となってからはアルミやステンレスではなくメンテナンスをしながら育てていく鉄製のフライパンがよく売れたとのこと。包丁はオールマイティナイフとも言われる三徳包丁の18cmが売れたそうです。視聴者からはホットプレートやホットサンド、炊飯器ではないかというコメントがありました。

正解は「バーミキュラのフライパン」。ただのフライパンではなく「バーミキュラ フライパン」での検索が増えたそうです。2019年と2020年の検索数の比較では、実に26.9倍になったとのことです。

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このバーミキュラのフライパンについて飯田さんは「めちゃめちゃ人気で、手に入らないほどだった」と人気ぶりを実感されている様子でした。また、百貨店でに絞って販売されているようだと述べています。

ここで飯田さんオススメのフライパンをお聞きしました。
北陸アルミのフライパンは高品質にもかかわらずそこまで高価でないのが良く、特にセンレンキャストフライパンのテフロン加工は滑りも良く、強度や耐久性もあるのでかなりオススメだそうです。

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内田さんによると、フライパンがよく検索されている都道府県に注目してみると、検索数では東京一極集中ですが、地域別割合で見ると大阪府、神奈川県が多いことがわかったと言います。東京都より大阪府の方が多いとは意外ですね。

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時短ニーズやレシピの多さからあの調理器にも注目

第2問は「フライパンの次に、フライパンと同じくらい注目されているものはなんでしょうか?」というもの。これはヒントとして「自宅で料理する機会が増えたから?」という文章がありました。視聴者の方からはビアサーバー、まな板などの回答が挙げられました。飯田さんは卵焼き器と予測します。

正解は・・・、「電気圧力鍋」でした。2019年、2020年ではこの言葉を含む検索クエリが軒並み上昇したそうです。メーカー名もつけて検索している人が多く見られたとのこと。

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電気圧力鍋と一緒に検索されているワードとしては、カレーやシチュー、角煮などの煮込み系、ローストビーフやサラダチキンといった低温調理系、炊飯が上位に上がっており、これらが良く作られていると推測されます。

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内田さんがデータを見たところ、上位は煮込み系が多くを占めるものの、ローデータからはヨーグルトやケーキ、揚げ物など多様な料理が確認できたこと、そして本格的な料理の時短ニーズ、一人用・家族の両方でニーズがあることがわかったそうです。

飯田さんは、コロナ禍となって毎日料理をする必要が出てきたときに、レシピに悩む人が多く出てきているのではないかと推測。その点、電気圧力鍋はレシピも多く入手でき、時間がかかる料理を手軽にできるという点で便利に使っているのではないかと推測します。

メンテナンス器具も注目される

第3問は「直接料理をするものではないものの、でも料理をし出すと気になるものとは?」わかりにくい質問ですが、ヒントとして、「ここまで持ってたら流石!と言える道具」、「ある調理器具をメンテナンスしたくなったときに検索する」という言葉が追加されました。中川さん、飯田さん、視聴者の方も砥石と答えました。正解は「包丁研ぎ器」なのでほぼ正解ですね。「包丁研ぎ器」は2019年と2020年の検索数を比較すると2.3倍の伸びとなりました。

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飯田さんによれば、包丁研ぐための機器には、砥石、簡易研ぎ器(シャープナー)があるといいます。砥石は技術が必要ですが、シャープナーは刃が鈍角になってしまうものの刃をスライドさせれば誰でも研げるという利点があるそうです。砥石でも簡易研ぎ器でも包丁を研ぎ、これまでに簡易研ぎ器を40個くらい使ってきたという飯田さんが特にオススメするのは「ウォーターシャープⅢ」。これは中に入っている砥石だけ替えられる点が気に入っているとのことです。

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また、シャープナーの替え時について視聴者から質問がありましたが、「回転する砥石が削れて消えて、刃がつかなくなったときが替え時で、目安としてはトマトを切れなくなった時」だそうです。

あるキャンプ用品にも注目集まる

第4問は「検索がやたらと伸びたキャンプ用品は何でしょうか」というもの。ヒントとして、「キャンプ用品の定番アイテムをオシャレに言い換える」が挙げられました。視聴者の方からはスキレット、メスティンといった回答が出てきました。中川さんは燻製器、飯田さんはホットサンドメーカーと予想します。正解は、取っ手付きアルミ製飯ごうの「メスティン」でした。2019年と2020年の検索数を比較すると2.7倍になりました。

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内田さんによると「メスティン 炊飯」の検索クエリではさらに多く3.2倍になったと言います。メスティンと一緒に検索されているクエリとして炊飯、燻製、炊き込みご飯、パスタ、パンが並び様々な用途にメスティンが使われていることが伺えます。

材料からラッピングまで同じサイトで買えるあのサイトも話題

第5問は「『cotta』って知っていますか?」というもの。飯田さんはすぐに思いついたようです。正解は「製菓・製パン材料のECサイト」でした。調理器具やレシピなどお菓子作りに関する情報が豊富で、情報入手から材料やラッピング資材購入まで一元的に行えるサイトです。2019年と2020年の検索数を比較すると2.8倍になりました。

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コロナ禍になってステイホーム期間が長くなり、小麦粉を使ったおかし作りやパン作りがよくなされるようになってこのサイトがよく検索されたと考えられます。また、視聴者からは「お昼の情報番組で特集してた」とのコメントがあり、その番組で「cotta」のことを知って検索されたのではないかという推測もできます。

2020年の年間データで、「レシピ」を含む検索ワードからお菓子を多い順に並べたところ、ホットケーキ、スイートポテト、クッキー、プリン、フレンチトーストと並びました。2020年春頃に一時的に小麦粉が手に入らなくなりましたが、もしかしたら多くの方がこれらのお菓子を作っていたのかもしれませんね。

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最後に、「フライパン」「電気圧力鍋」「メスティン」「レシピ」の検索データから「2020年、みんな何を作っていたのか」「2019年と比べて何を多く作ってたのか」を調べました。2020年のレシピ検索数上位はローストビーフ、パスタ、茶碗蒸し、パエリア、プリン、唐揚げ、ホットケーキミックス、パン、鶏肉、カレーという並びになりました。

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2019年との比較で多く作っているものを調べると、ホットケーキミックス、プリン、チーズケーキ、パン、肉まん、スイーツ、蒸しパン、ケーキ、揚げ物、パエリアという並びになりました。この並びのほとんどは小麦粉が使われており、2020年に小麦粉が一時的に品薄になっていた理由にもなっているのではないかとうかがえます。

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コロナ禍における料理への意識の変化

最後に登壇者の皆さんがイベントの振り返りをしました。

飯田さん:
包丁の研ぎについてたくさん視聴者からコメントがあったのをみて、メンテナンスの需要はあると改めて感じました。 以前は調理器具をメンテナンスせず買い替える人が多かったですが、ステイホームで料理をする時間が増え、器具もメンテナンスして1つのものを長く使いたいという様にニーズが変化してきてるのだと思います。メンテナンスができる道具の方がやや高価に設定されていますが、最近ではそちらの方が売れている様に感じますね。またコロナ禍で新しく料理やおかし作りを始めた人向けの棚を作ってみてもいいかもしれないと思いました。
中川さん:
コロナ禍になってインスタント食品を食べることが減り、自分で調理することが増えました。料理の内容がだんだんワンパターン化してきていましたが、今回新しい調理器具を知ることで、(メニューの幅を)広げることができるように思います。また調理器具をメンテナンスをすることでより楽しく料理に取り組めると思いました。
内田さん:
検索データから見える情報と、飯田さんがお話しされた売れ筋の話と合わせることで、答え合わせができたようで嬉しく思いました。

最後にが「検索データとそれらを実際に買った・料理したかは同じではありませんが、今日は検索データと実際に販売されている飯田さんの肌感覚を付き合わせることでそれを答え合わせできるような時間でした。」とまとめ、サーチX〜コロナで変わった家庭の料理〜は幕を閉じました。
次回のサーチXもお楽しみに!

ヤフーLODGEさんのnoteでもレポートが公開されています!



また下記にてアーカイブ動画が公開されています。是非こちらもあわせてご視聴ください!

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