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起業の方法ではなく“起業家精神”を学ぶ ~武蔵野大学「アントレプレナーシップ学部」記者発表会レポート~

武蔵野大学は2021年4月に、12番目となる新学部「アントレプレナーシップ学部」を武蔵野キャンパスに開設することを発表しました。2020年11月9日には武蔵野キャンパスで記者発表会が開催され、武蔵野大学学長の西本照真氏、学部長就任予定の伊藤羊一氏、教員就任予定の井上浄氏・篠田真貴子氏が登壇。QUMZINE編集部もいち早くこの情報を聞きつけ現地取材に行ってきました。(文/QUMZINE編集部 永井公成)


すっきりと晴れ渡った秋空。こんな日にはどこかに出かけたくなりますね。
新宿から中央線に乗ってしばらく行くと、三鷹駅。

三鷹といえば、ジブリの森美術館、井の頭恩賜公園……  と、武蔵野大学です。

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正門から入り、綺麗な銀杏並木を通り抜けていきます。

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今日はこの武蔵野大学で、弊社フィラメントがいつも仲良くしていただいている方々が登壇される記者会見があるとのことで、大手メディアの記者さんたちに混じってQUMZINE編集部も潜入することにしました。

会場に入ると、プレス向けの指定席にもきちんとソーシャルディスタンスの徹底が。さすが抜かりない。

そしてステージには“武蔵野大学「アントレプレナーシップ学部」”と書かれた大きな看板が!そう今日は2021年4月に武蔵野大学で新しく開設される学部の記者発表会が行われるんです。

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武蔵野大学アントレプレナーシップ学部は、起業の方法ではなく起業家精神(アントレプレナーシップ)を現役実務家から学ぶ学部とのこと。ここでいう「アントレプレナーシップ」とは「高い志と倫理観に基づき、失敗を恐れずに踏み出し、新たな価値を見出し、創造していくマインド」と定義されます。

記者発表会は、はじめに武蔵野大学・西本照真学長の挨拶から。

西本学長は『世界の幸せをカタチにする』という武蔵野大学のブランドステートメントを掲げ、「世界の幸せをカタチにする一つの手段として起業があり、事業化するためのスキルを身につけた人材であることが必要であることから、2050年に向けた人材養成を担う大学として今こそアントレプレナーシップ学部のような学部が必要です」と述べました。
そして昨年6月にYahoo!アカデミア学長の伊藤羊一さんと会い、「あなたの好きなように学部を作ってください。必要な人材は社会の最前線から連れてきてください」とお願いし、その場でお受けいただいたと言います。

西本学長は時折手ぶり身振りも加えてお話になり、新学部開設にかける熱意をとても感じました。

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次に学部長就任予定の伊藤羊一さんからの挨拶と学部紹介。

伊藤羊一さんといえば、Yahoo!アカデミアの学長で、45万部を突破した大ベストセラー『1分で話せ』の著者でもあります。フィラメントのメディアでCEO角と対談していただいたり、たびたびイベントにもご登壇いただくなど日頃から大変お世話になっており、勝手に「フィラメントファミリーの羊一さん」と呼ばせてもらっています。

「教員に就任予定のメンバーで昨年6月にブートキャンプを行い、『自分の思考と行動で、世界をより良い場所にできると本気で信じる人を増やす』という学部の目的を決めました。テクノロジーは発展していますが、それだけでは世界は幸せになりません。差別や貧困はなくなりませんし、皆が建設的な議論で目的に向かって動けてもいません。まだまだ世界は幸せになる余地があります。これに対し、大学教育という立場から、アントレプレナーシップを持った人が課題感を持って解決し、世界が幸せになるようにしたいと考えています。」

テクノロジーが発展するだけでは世界は幸せにならないという観点、ナルホドと思います。

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「学生はプロジェクト型の「実践科目」を中心にしたアクティブラーニングを通して、起業家精神を学びます。倫理観やアントレプレナーシップの「マインド」と、コミュニケーション力やビジネススキルなどの「スキル」を鍛え、ビジネスにする力の「実践」をすることを繰り返します。」

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「教員は、現役の起業家やベンチャーキャピタル、教育・研究、テクノロジー、マーケティング、経営、コミュニケーションなどの分野で、社会の最前線で活躍する30人が専任教員・客員教員として就任予定です。これまでの社会から隔絶された大学ではなく、「社会の最前線」をキャンパス内に展開することを目指します。」

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なんと!よく見ると、客員教員のところにフィラメントCSOでLinkedIn日本代表の村上臣さんもいらっしゃるではないですか!

「1年次は全員が学生寮で共に学びます。寮では仲間とともに内省と対話を通じて基礎スキルや好奇心を育む土台づくりとなるほか、社会で活躍する起業家やビジネスパーソンなどのゲストを呼び、学びや刺激を与えます。

また、全員が1週間の海外短期研修を経験します。アメリカ・シリコンバレーのほか、ヨーロッパ、アジアなど学生自身のビジネスに合う訪問先を選び、グローバル市場におけるスタートアップの現状および海外市場の重要性を体感、自身の持つスタートアッププランを磨き上げます。」

トークセッションでは、武蔵野大学学長の西本照真さん、学部長就任予定の伊藤羊一さん、教員就任予定の井上浄さん・篠田真貴子さんが登壇し、どういう経緯で教員を引き受けたのか、また学部ができたことでどういう未来を描けそうかについて話し合われました。

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篠田さんは、「テクノロジーだけだと人々は幸せにならず、それを人間社会になじませる創意工夫が必要です。医学や薬学が発展して平均寿命が伸びましたが、寿命が60年だった時の社会の仕組みやマインドが変わっていないことで色々な面でやりづらさを感じています。こうしたギャップを変えていきたいと思い、お受けすることにしました。20世紀は工業生産の生産性が上がり、21世紀は知識労働の生産性が上がったと言われますが、まだ知識労働の生産性の仕組みが出来上がったとは言えません。そうした流れに一石を投じることができればいいと思っています」と述べました。

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ちなみに、篠田さんはエール株式会社の取締役で、今年10月には楽天大学学長の仲山進也さんとともにQUMZINEの対談記事にもご登場いただきました。

井上さんは、「研究や研究所の立ち上げの経験から、『自分のやりたい初めてのことを自分ごととして何度も繰り返す』ということが社会に還元できる力となると思っています。そうしたことをできる場が世の中にあまりなく、それができた時に大きな力になると思いました。これからの時代は所属ではなく個人の熱量がとても大事になってくると思います。社会の幸せを形にできる人が増えてくるようになればいいと思っています」と述べました。

ちなみに、井上さんは株式会社リバネスの創業メンバーで、フィラメントの社内公式雑談タイム「フィーカ」にもお越しくださいました。それにしてもフィラメントと仲良くしていただいている人ばかりが登壇されますね…。
VUCAの時代において、「所属ではなく個人としてなにができるかがとても重要になる」というご指摘はとても同意できます。

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質疑応答では、伊藤さんが記者からのいくつかの質問に答えました。

Q1:若い人が起業に目を向けず、寄らば大樹の陰のような状態にあると考えられるがどう考えているか。
「高校生と話しても、そもそもアントレプレナーシップという言葉を知らない人が多く、これを知るようになるだけでも全然違ってくると考えています。必ずしもこの学部は起業家を育成するものではありませんが、起業家が多く出てくることを期待したいです」

Q2:30人の教員はどういう意図で集められたのか。
「私が親しくさせていただいている方で、当然十分条件として「スキル」はありますが、私の考え・価値観・志と共感できるという人がほとんどです」

Q3:アントレプレナーシップ学部という学部名について高校生にとっては馴染みがないのではないか。
「高校生にとってあまり馴染みがない言葉ですが、知らないからこそこの言葉を使っており、我々が使うことで浸透していくと期待しています。他の候補はほぼ検討せずこの名前にしました」

Q4:どういった学生に来て欲しいか。
「若い人はやりたいことがない人は多くいますが、入学したのちに、ビジネスを発想して結果としてビジネスとして作ることにこだわっていきたい。いわゆる意識高い系の人も、すでに起業した人も、とにかくいろんな人に来て欲しいです」

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実社会の最前線で活躍している起業家たちを教員に据えて、在学中仲間とともに実践を繰り返すというカリキュラムは、かなり鍛えられるように思いました。自分の手でしっかり試行錯誤して実社会にそのままつなげていきたいと考えている人にはこのアントレプレナーシップ学部は有力な選択肢になると感じました。

当日の記者発表会の模様はYoutube Liveでも配信されました。現在はアーカイブを視聴いただけます。ぜひご覧ください!


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