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入社してすぐリモートワークになった新入社員に、実際はどう感じているか根掘り葉掘り聞いてみました

社会情勢の大きな変化に伴い、突然のリモートワークを余儀なくされている方が多くいます。なかでも新入社員の方は、研修や同期や会社組織に慣れる前からリモートワークとなってしまい、多くの困難を感じているかもしれません。CNET Japanの報道によると、Microsoftが3月に発表した調査では、Z世代の人々はリモートワークに対してストレスを感じているとのことです。そこで2020年3月にフィラメント入社後、すぐにリモートワークになってしまった永井が、同じくIT企業に入社してすぐにリモートワークになってしまったお二人の新入社員をお招きし、リモートワークについてどう考えているのかを存分に語っていただきました。(文/QUMZINE編集部、永井公成)

突然のコロナ禍で慌ただしくリモートワークへ

永井:2020年3月にフィラメントに入社した永井と申します。自分もみなさんと同じように入社後すぐにリモートワークになってしまいました。まずは皆さんの入社の経緯とお仕事の中身を簡単に教えていただけますか。

三上:ヤフー株式会社のショッピングの部署でエンジニアをしている三上と申します。大学院の修了後にヤフーに入りました。配属されている部署としては東京本社ですが、現在はコロナ禍になる前から決めていた静岡県の三島に住んでいます。もし新型コロナウイルスの影響がなければ毎日新幹線通勤をする予定でした。

村山:株式会社ネットプロテクションズの村山と申します。フラットに物事を考える社風やサービスに社会的価値を感じて入社しました。現在は、BtoB向け決済サービスの企画設計・改善・運用を行っています。今、メインで取り組んでいるのは、法人からのお問い合わせ対応等のマネジメント業務です。

永井:お二人が2020年4月に入社される前は、リモートワークではなくオフィスに出勤することをイメージされていたと思います。リモートワークが決定するまでの経緯やそのための準備などについて教えて下さい。

三上:入社する直前にリモートワークで研修をする旨が伝えられました。去年の4月ごろは既に新型コロナウイルスが猛威を振るい始めていたので、そうなる予想はできていました。新卒メンバー全員で受ける4月1日から10日までのオンボーディング研修がリモートになることは確定していましたが、その後の技術研修やOJT、配属後の業務がどうなるかは新卒目線では不確定に見えていました。最初はずっとリモートワークが続くことが不安でしたが、研修の途中からは「ずっとリモートワークで良い」という気持ちが芽生えました。

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永井:ヤフーは入社時に配属が決まっているんでしょうか?

三上:いいえ、エンジニアの場合は研修後に内示があって配属先が決まるようになっています。部署によっては大きな部署に配属された後にその下のチームを回ってOJTで研修があるよう感じです。しかし、自分の場合は内示の時点でチームが決まっていました。人事がきちんと人間を見て配属を決めているように感じて、自分でも自分にあった部署に配属されたなと感じています。

永井:村山さんはいかがですか。

村山:入社する直前にリモートワークで研修をする旨が伝えられました。それまで会社からはリモートワークの連絡が来ておらず、PCも配られていなかったので、これからどうやって働くのだろうと思っていました。入社直前に「感染リスクがあるため全員一緒の出社はできません。PCの送付が間に合わないので、時間を分散して順番に取りに来てください」というアナウンスがなされて、バタバタとリモートワークが始まりました。4月1日の午後に初めてオンラインで顔合わせとなり、今後の研修の流れやどうやって部署を決めていくかの説明がありました。例年は配属先のミスマッチングがないように、配属先が決まる前に全部署を見学する「うろちょろ」という研修があるのですが、今年はそれがオフラインではできないので、結構ドタバタしたところはあったと思います。

永井:なるほど、各社でドタバタとリモートワークが決まっていった感じなんですね。フィラメントは大阪本社の会社ですが、自分は東京にいることもあり、ある程度はリモートで作業を行うことが予想されていました。しかしコロナ禍により自宅でずっと作業を行うことになるとは思っていませんでした。

オンラインだと質問しやすく、考えを整理しやすい

永井:コロナ禍になったことで、研修や通勤、上司や同期とのコミュニケーションなどの場面で、予想と実際の間に多くのギャップがあったと思います。そのあたりについて教えてください。

三上:上司とのコミュニケーションは良い意味でギャップがありました。オフラインだと、どうしても相手が忙しくなさそうなタイミングで質問しないといけないという気持ちになってしまうと思います。実際、大学院時代は、隣の席に助教の先生が座っていて、そんな気持ちになることがよくありました。しかし、オンラインだと躊躇わずにSlack上で質問できるし、相手も自分の良いタイミングに答えてくれます。質問を投げっぱなしにして良いので気が楽です。「ここで詰まっています」「このエラーをこの方法で解決しました」などをSlackに投稿することで、自分が今やってる作業を可視化しやすいというメリットもあります。これを僕は「SlackのTwitter化」と呼んでいましたが、「分報」と呼ぶこともあるようです。

永井:オンラインの方が気兼ねなく質問できるということですね。村山さんはいかがですか。

村山:ネガティブなギャップはないと思っています。就職を機に関西から東京に来ましたが、社会人になるという変化と、東京で生活が始まるという変化が一度に起こる中で、環境への適応という意味で時間と心に余裕ができました。オンラインの研修でたくさん話を聞いた後、一人になれる時間があったことでゆっくり自分の考えを整理できました。

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永井:リモートワークだと、カレンダーにキツキツで予定が入っていたりしないんでしょうか?

村山:そうですね。もし日中の業務がキツキツで入っていたとしても、出勤・退勤のために使う時間が空くので、自分の時間がコントロールできると思います。

永井:なるほど、通勤退勤がないことによる時間の余裕をうまく活用しているのですね。

リモートワークだと、適度な距離感を保てる

永井:これまで「社会人」といえば同期の人と仕事終わりに飲みに行くといったことが起こりうると思うのですが、リモートだとそういうことはなかったですか?

村山:最初の頃は毎日の研修で疲れてその余裕があんまりなかったです。逆に一人で落とし込める時間があってよかったと思いました。

永井:三上さんはいかがですか?

三上:同期とは会ったことがないのでなんとも言えないです。確かに同期と飲みに行きたいと思うこともあるのですが、密に同期と絡むというよりはリモートワークの方が適度に人間的な距離感が保てているのでその辺りはいいと思っています。

永井:なるほど。確かに弊社でもリモートワークによって近づき過ぎない距離感を保てているような気がします。これまでの「社会人像」も変わっていくのかなと思いますね。

ナレッジをストックして時間削減に

永井:今は新しく仕事を吸収していく段階にあると思いますが、リモートワーク環境で満足できていますか?

村山:基本的には満足できています。リモートワークになって、口頭でのコミュニケーションがすごく減りました。社内には「スクラップボックス」というツールがあり、ここにナレッジを残そうという動きが活発化しています。もし、出勤してわからないことがあるたびに先輩社員に聞き、他の新入社員も同じようにしていると、その分の質問回収時間が必要となってしまいます。誰かが聞いた内容をナレッジとして残すことで、社内に情報が蓄積され、聞かなくても検索さえすれば答えが見つかるようになります。

永井:ネットプロテクションズさんは従業員は何人くらいいらっしゃるのでしょうか。

村山:全社では300人くらいいます。

永井:ということは、300人くらいの人がスクラップボックスに入って書き込みをするということになりますか。

村山:はい。スクラップボックスにはほぼすべての業務に関するナレッジが溜まっていってます。他の部署の業務について知りたいことがあった時は、スクラップボックスで業務の議事録を探して、詳しそうな人を探したりしています。会社で発生している業務のほぼ全ての議事録がスクラップボックスに入っているので、事前にそこで発言内容を把握してから担当者に質問をしにいくということもありますね。また、自分とは全然関係ない議事録も見にいったりしてます(笑)。

永井:自分の会社の中で何が起こっているか知らないという人は結構多いと思うので、他の人の会議の議事録を見れるのはすごくいいですね。

村山:議事録を読むことで、経営陣や先輩がどのように考えた結果、自分の仕事に繋がっているかを考えられます。もし全員出勤する形での仕事が続いていたらここまで情報を残そうという意識にならないと思います。だから会社がナレッジを共有できる仕組みを導入しててくれて助かっています。

永井:スクラップボックスのような仕組みがあると、新入社員にはとても便利ですよね。三上さんはいかがですか。

三上:現状だと問題ありません。しかし、社内のドキュメントを探す際に、新卒目線だとどう検索して良いのか分かりづらいところがあり、初見だとかなり検索に時間がかかる時があります。しかし、コンフル文化が根付いており、リモートワーク以前からがナレッジを無数に蓄積しているため、時間をかけて検索すると問題が解決することがよくあり、助かっています。

また、上長と先輩社員と週2回、1on1があり、さらに2〜3ヶ月に一度は部長との1on1があるので、困ったことや最近の様子をお話しできて助かっています。良い距離感だなと思っていますよ。

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永井:ヤフーの1on1の制度は有名ですよね。ネットプロテクションズさんにも1on1の制度はありますか?

村山:1on1は活発に行われています。この他にも、最初の頃はリモートランチを誰にでもお願いしていい期間がありました。1on1だと「話さなくちゃいけない」と構えてしまいがちですが、ランチだと割とカジュアルな視点から話せるというメリットもあります。

永井:確かに、1on1とは違ってリモートランチだったらメインは食事を食べることになるので、雑談ベースで話ができて社員同士の関係が深まっていいですね。

オンラインでも同期との距離感はない

永井:同期と実際に会ったことはありますか?

三上:部署単位だと同期はいますが、そもそも同じチームには同期はいません。ただ、部署の歓迎会や、部署で新卒が企画する新年会を通じて距離を縮めることができました。特に新卒で企画した新年会はオンライン開催ということもあり、部署の営業、デザイナー、エンジニア全員で一丸となってバラエティー番組の様な企画を作り上げました。とてつもない一体感がありましたね。

永井:新卒が新年会を企画するという恒例があるのですね。何かを一緒に作り上げると確かに一体感を感じられそうです。

村山:入社前に会社がイベントを企画してくれていたので、コロナ禍の前からオフラインで同期と話したことはありました。全員でオンラインの研修を受けていたので、毎日顔を合わせており、当初はオンライン飲みもしていました。オンライン研修による同期への距離感はないですがオフラインで会った時に身長などのイメージが違って驚きます(笑)最近ではコロナ禍で研修をしてくれた先輩社員に「お礼をする会」をするという動きもあります。

永井:入社前から同期同士が仲良くなる仕組みがあって、その関係性が今でも継続されているのですね。いい会社ですね(笑)

気分転換には密を避けた散歩

永井:リモートワーク時の気分転換はどうしていますか?

三上:去年の10月くらいまでは週末に15~20kmくらいは歩いていました。最長だと三島駅から旧東海道に沿って歩いて、箱根を越えて箱根湯本まで30kmを8時間かけて歩いたこともあります。最近では、金曜日の夜中に車で山中湖や伊豆半島の先っぽまでドライブして、星の撮影や登山をしていますね。

永井:8時間歩き続けるってすごいですね。星の撮影や登山は密にならない気分転換で、すごく素敵だと思いました。

村山:リモートワークの日は仕事が始まる前によく散歩をしてます。東京に引っ越してきたばかりということもあり、近所に何があるのかもわからないので、それを把握するために朝歩いていました。

永井:散歩は自分もよくしています。東京は都会でも案外緑が整備されているところが多くていいですよね。

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働き方に選択肢ができた

永井:最後に、お二人がこれからどのように働いていきたいかを教えてください。

村山:最近は週に2、3回オフィス出勤もしています。一人で思考を練り上げる作業はリモートワークの方がはかどりますが、先輩社員から色々な情報収集するときはオフラインの方がコミュニケーションを取りやすいです。オンライン、オフラインでは両方の良さがあるので組み合わせて働けたら一番良いと思います。「会社に行きたい時に行ける」というのが、ワガママですけど嬉しいですね。

三上:僕はずっとリモートワークで幸せだし、これからもずっと幸せなんだろうなと思います。リモートワークだと自分で考える時間が増えたのがいいと思います。僕は地方に住んでいることから、週末も自然豊かなところに行ってリラックスできるのもメリットです。その一方で、出勤するとわからないところを誰かに聞かなくちゃいけないという強迫観念が出てきて窮屈だと感じてしまうと思うんです。オフラインで捗る人もいればオンラインで捗る人もいます。働き方について選択肢が増えたのがいいことだと思います。

永井:お二人ともリモートワークと出勤という2つの選択肢ができたというのが良いと感じていらっしゃるんですね。実は大体どの国でも共通して、「人々がリアル出勤したい回数は「週2回」という回答がもっとも多い」という調査結果があるんです。
仕事内容などに応じてフレキシブルに仕事の仕方を選べるようになるといいですよね。
本日はありがとうございました。

一同:ありがとうございました。


【プロフィール】

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三上 徹朗
ヤフー株式会社
バックエンドエンジニア

奈良工業高等専門学校 本科 情報工学科 と 専攻科 電子情報工学専攻 を経て, 奈良先端科学技術大学院大学 先端科学技術研究科 先端科学技術専攻 情報科学領域を光メディアインタフェース研究室で修了し,その後,ヤフー株式会社に入社.
大学院時代は,ちょっと特殊なカメラでお手軽に物体の内部を可視化する技術を研究していました.
モノづくりで世の中を便利な社会にしたいと思い,数多くのWEBサービスを展開している現在の会社に入社.
人生で一番命の危機を感じた瞬間は,幼少期のベネズエラ在住時にクーデターが発生し,街中で銃撃戦が始まった時.
Twitter : https://twitter.com/sima__tetteke
Facebook : https://www.facebook.com/mikami.tetsuro/

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村山 緋奈
株式会社ネットプロテクションズ
カスタマーサービスグループ

大阪市立大学 商学部 商学科を卒業後、株式会社ネットプロテクションズに新卒入社。
入社後は企業間決済「NP掛け払い」のセールスチームに現場研修として参画。営業経験を積んだのち、カスタマーサービスグループに配属。主に「NP掛け払い」問い合わせ窓口の業務に従事。

学生時代はカナダ・バンクーバーでホームステイ仲介会社のインターンシップに従事。ホストファミリーとゲストのマッチング、ファミリーの選定・面談などを行っていた。

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