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地元と学生をつなぎ、未来へ循環の輪を広げていく ~三菱地所と中川政七商店が仕掛ける新プロジェクト「アナザー・ジャパン」~

2021年、東京駅のすぐ近くにオープンした「常盤橋タワー」、そしてそのすぐ隣に2027年に日本で一番高い建物として完成予定の「Torch Tower」は、同じ「TOKYO TORCH」のまちの一部分として開発が進んでいます。

開発を進めているのは三菱地所。QUMZINEでは先日、三菱地所でTOKYO TORCHのプロジェクトを率いる谷沢直紀さんにお話を伺いし、その後協業する新潟県小千谷市の大塚市長も交えて対談しました

そんなTOKYO TORCHと最近なにかとご縁のあるQUMZINE編集部が、「TOKYO TORCHを舞台に、これまでになかったようなプロジェクトがスタートするらしい」という情報を聞きつけ、12月9日に常盤橋タワーで開催された記者会見に参加してきました。本記事ではその模様をお伝えします。

TOKYO TORCH開業時外観(JR東京駅丸の内側より)

学生が自らが経営を学んで実践するセレクトショップがオープン予定

今回開催されたのは、三菱地所と中川政七商店が協業して行う「アナザー・ジャパン」というプロジェクトについての記者発表会。

記者会見ではまず、三菱地所株式会社 執行役員 TOKYO TORCH事業部長 茅野静仁さん、株式会社中川政七商店 代表取締役会長 十三代 中川政七さんが自社の取り組みを紹介しました。

そして、三菱地所株式会社 TOKYO TORCH事業部事業推進ユニットリーダーの谷沢直紀さんが新しいプロジェクト「アナザー・ジャパン」の概要を説明。

このプロジェクトは、TOKYO TORCHで各都道府県出身の学生が自らの地元をPRすべく47都道府県地域産品のセレクトショップを経営するというもの。三菱地所がTOKYO TORCHという「場所」、中川政七商店が経営に関する「教育」を提供し、日本の未来を担う学生を支援します。学生自身が地方に赴き、仕入れや収支管理、店舗づくり、プロモーション、接客を自ら考えて実践する新たな教育モデルを展開するところが特徴です。

「都市開発を行う三菱地所と、工芸を扱う中川政七商店が地域産品セレクトショップのプロジェクトを始動した時、様々な問題意識を共有しました。東京と地方の両方が元気になる商売の形、生活者と地域がつながっていく商売ができないのか、これからの地域の関係人口の在り方はどうなのかなどの議論を重ねていくうえで、『若い世代に商売を託す』ことが未来を作ることにつながるのではないかという考えに至りました。

故郷を離れ、都市部へ進学することを選んだ学生たちの中には、都市部に出たからこそ『地元のことをより深く知りたい』と感じている人が多くいます。彼らがアナザー・ジャパンでの仕事を通じて故郷の魅力を再発見し、それを伝える役割を担うことで、都市部と地域の新しい関係を創ってくれるのではないか。なにより彼らが地元と深い関係を結びなおすことで将来故郷に就職したりして、地域に今までと違う兆しが見えているのではないか。地元と学生をつなぎ、未来へ循環の輪を広げていくことが、アナザー・ジャパンのゴールです」
(谷沢さん)

若い世代の多くは将来地元とかかわりたいと思っても、そのための術や接点がありません。本プロジェクトで学生自らが地元企業に赴き、商品をセレクトし、魅力を伝えるためのイベントの企画などのプロモーションを実施することで、地元理解や郷土愛が深まり、関係人口が増加することを狙いとします。

地域産品イメージ写真

2027年には400坪の規模で全都道府県の地域産品を展開

2022年8月にカフェを併設した約40坪の第1期店舗がTOKYO TORCH D棟1階にオープンします。この店舗では、日本全国を「北海道・東北」「中部」「関東」「近畿」「中国・四国」「九州・沖縄」の6ブロックに分け、2か月ごとに特集する地域を切り替えます。各地域出身の学生がそれぞれのブロックの店舗を運営します。

第1期店舗外観

そして、2027年度に開業予定の第2期店舗では、10倍の約400坪に規模を拡大し、常時47都道府県すべての地域産品を展開する予定です。いつ訪れても”地元”が出迎えてくれるのが特徴で、このころにはアナザー・ジャパンのOB・OGが100人を超えるため、縦のつながりを生かした発展的な取り組みも検討されています。

TOKYOTORCH開業時広場(JR東京駅日本橋口より)

また、学生への教育課程として経営・小売りなどに関する基礎知識のレクチャーの他、仕入れ・調達など店舗立ち上げ、プロモーション・接客販売などの運営、終了後の振り返りなど、それぞれ数か月タームのカリキュラムが用意されているとのことです。

概要説明の後には学生ら2人もトークセッションに参加しました。コロナ禍となってから学業の傍ら地元でラーメン店を経営する近畿大学農学部の西奈槻さんと、早稲田大学文学部の山口晴さんが今回のプロジェクトについての感想や、今後望むことなどについて話し合いました。


質疑応答

トークセッションの後には質疑応答も行われました。(一部抜粋)

ーー学生が主人公で経営されるとのことだが、サポートが具体的にどういうものなのか説明してほしい

事前に座学で経営の基礎を学ぶ。小売店舗運営の最低限のルールを教え、そのうえで自由に試行錯誤できるようになる。当然いい結果も悪い結果も出ると思うが、産学連携の活動ににありがちな、結果が一様になるようなレールを敷かない取り組みにする。万が一のサポート窓口だけは設けていく。

ーー2027年には400坪の規模になるとのことだが、家賃に見合った売り上げを求めていくのか

単純に家賃だけを追求するとこのプロジェクトは始まらないと考えている。かといって、学生だから家賃を度外視でやるというつもりもない。メンバーが流動的になるので経費は掛かるが、近日公開するサポート制度でおぎなって、家賃として継続できるような形にまでは持っていきたい。

応募方法は?

募集要項は以下です。

第1期生として、2021年12月9日から日本全国を6ブロックに分け、各ブロックごとに地域出身者3名、合計18名が募集されます。
応募対象は、「2022年1月時点で短期大学・大学・大学院・専門学校・高等専門学校に所属している学生」です。
第1期生の任期は2022年3月から2023年7月を予定しています。
経営を学びたい学生及び、地元の魅力を知り、伝える役目を担う学生のご応募をお待ちしております。

応募はアナザー・ジャパン公式サイト内にあるWantedlyのリンクから可能です。

東京駅至近の真新しいビルで、地元の魅力を伝えるセレクトショップの運営を、その道のプロに学ぶというめったにない機会。少しでも気になる方は応募をご検討ください。(教員の方々から学生のみなさんへの情報共有もぜひ!)

【リリースPDF】学生経営×地方創生の新プロジェクト「アナザー・ジャパン」始動

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