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燕三条工場の祭典2023現地レポート〜新団体KOUBAが刷新するクリエイティブ人材を呼び込む“産業ツーリズム”の新たなステージ〜

QUMZINEを運営するフィラメントの産業担当であり取締役 CXOでもある佐藤啓一郎が、地域オープンファクトリーのパイオニアとも言える「燕三条工場の祭典2023」に足を運んできました。新団体KOUBAの運営により、イベントはさらなる進化と幅の広がりを遂げています。QUMZINEを運営するフィラメントとしても2017年から3年間、燕市地域のプロジェクトに携わっていたこともあります。今回は久々に燕三条を再訪しました。金属加工からダンボール、メガネフレームまでさまざまな工場をまわった様子をレポートします。(文、写真/佐藤啓一郎 )


燕市産業資料館 金属加工業の歴史と変革を学ぶ

燕市と三条市で形成される燕三条地域は、金属加工業を中心とした魅力あふれる工場群が広がっています。まずは、燕市産業資料館でこの地の産業史を学び、各工場の奥深い魅力に触れる準備を整えました。江戸時代初期からの和クギから始まり、刃物や洋食器、研磨工業までさまざまな金属加工の工業の興りを俯瞰することができます。

玉川堂 伝統と革新が交錯する聖地

特設展示でも注目されている玉川堂さんでは、一枚の銅板から美しい急須が生まれるプロセスに息を呑みました。ちょうど先日のブラタモリでは弥彦山の銅鉱との歴史的な関係も説明され、その「なぜここで銅器?」という疑問が一気に解消されたところ。若い職人さんもいるけど、やって見せることで図面なしで作り上げるのをおぼえていくそう。価格を見るとバグってる?となるけど、その工程を見て納得。でも買えない...。

武田金型製作所 マジックメタルで魅せる高精度

次なる興味深い訪問先は、高精度のプレス金型を制作する「武田金型製作所」さん。何もないところから字が浮かぶようなマジックメタルというサンプルで有名な高精度の金型を作っています。一つの金型で打ち抜きから折り上げまで対応できる「順送金型」に感動しました。隣接するセレクトショップMGNETさんでは、その技術力が生かされた商品をはじめ、セレクトされた産品が並んでいます。

藤次郎 工場ブランディングの象徴

以前フィラメントでワークショップなどお手伝いさせていただいた包丁の「藤次郎」さん。藤次郎さんの工場はブランディングが行き届いており、その美学に相変わらず感銘を受けます。もともと一般客向けに公開されている工場なので説明などのホスピタリティもじゅうぶん。今回は包丁の名入れの技術でキーホルダーに名入れしたものを作っていただきました。

西山カートン ダンボール箱から生まれる多様な世界

ここからは今年充実していた金属加工じゃない工場へ。この地でできた製品を運ぶための段ボール箱を製作している「西山カートン」さん。
こちらでは製品に合わせて段ボールの板材を仕入れて箱にするための加工を行っています。大きな機械にかけると指定されたサイズや形状に切り出し、印刷までしてくれます。機械類の重量物からシイタケの箱まで幅広く対応。日常的に目にする馴染みのあるこの箱ができるプロセスにはアイデアがぎっしり。

E&E Ltd. 三条の地からメガネフレームの新たな境地

今回のイベントサイトを見ていて気になっていた「E&E Ltd.」さん。こちらはメガネと家具の工房ですが、実は国内では極めて珍しいオリジナルメガネフレームの一環生産をやっています。普段目にする量産タイプのメガネフレームは各パーツや工程で水平分業されていますが、ここは板材の切り出し以降すべての工程でここの場所で手掛けているので作家性の強い製品が生み出されてます。筆者はここで燕三条のダマスカス鋼と組み合わせたフレームを買ってしまいました。

長谷弘工業 バックロードホーンスピーカーで聞こえる新世界

ハイクオリティなバックロードホーンスピーカーの製造販売でそのスジでは有名なハセヒロオーディオの「長谷弘工業」さん。MDF材の切削加工で、小さな箱から豊かな低音が生まれます。ここでは視聴ルームも完備。帰りが飛行機じゃなければ買いそうでした。

このほかにもトークショーや体験会、ラーメンやスナック街など多くの魅力あふれた今年の工場の祭典。まさにローカルクリエイティブやその産業ツーリズムの楽しさを感じさせるものでした。

新団体KOUBAの運営によりますますパワーアップした燕三条工場の祭典2023の様子を現地よりお届けしました。さらに進化を遂げるであろう来年の工場の祭典も楽しみです!

QUMZINEを運営するフィラメントの公式ホームページでは、他にもたくさん新規事業の事例やノウハウを紹介しています。ぜひご覧ください!


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